Cases
森永製菓株式会社様

森永製菓株式会社様
1899年創業。
菓子食品、冷菓、健康などの事業を展開する老舗メーカー。
「チョコモナカジャンボ」、「inゼリー」は、それぞれ業界のトップシェア商品です。
※部署名・役職・内容は取材当時(2019年2月)のものです。
お話をうかがった人
物流部 SCMグループ
食品・健康担当リーダー
(inゼリー担当)
内田 和秀さん
日本気象協会の「商品需要予測サービス」を導入したいきさつを教えてください。

私は導入の当事者ではありませんが、アイス事業で気温と出荷量の関係性をデータにし始めたのが3年ほど前のことです。
気温が突然上がると急な出荷増となり、製品を輸送する車の手配に手間取ることになります。予期していない手配は費用がかさむので、それを少しでも是正できないか、ということで取り組みが始まりました。当初はエクセルを使って、社員が個人的にデータを作っていたのだと思います。
その翌年、猛暑などの異常気象もあったのですが、そのデータを基にいい結果が残せたのです。それを見ていた経営企画室のメンバーが、「こんなユニークなサービスがあるよ」と日本気象協会を紹介してくれました。最初はアイス事業で展開する予定だったのですが、inゼリーも夏に需要が高まる商品なので、
気温と関係があるのではないかということになりました。
2016年から週に1度、データをいただいていて、実際に運用するようになったのは2017年からです。
日本気象協会から受け取っているデータはどのように活用されていますか?
全国を5つの地域に分け、それぞれの地域の需要予測データを送っていただいています。そのデータを見て、全国8ヶ所にある配送センターに適した数の商品を配分します。各エリアの気温の変化に応じた需要を予測してもらえるので、それを参考に翌週の出荷量を調整することができます。
以前は、過去の売上を基に平均値を算出し、「この時期の出荷量はこれぐらい」という予測をしていました。ところが、ちょうど日本気象協会とお付き合いを始めた年の夏は関西で例年にない猛暑になり、一方、東京は雨の日が多く、寒かったのです。過去の売上から算出すれば、人口の関係で東京の出荷が多く組まれ、関西は少なくなります。しかし気象データと照らし合わせることで、「関西は暑いので出荷量は東京を上回るだろう」という予測が出てきた。やはり気温との関係が大きいということがわかり、日本気象協会のデータに準じて配送の手配をしています。
需要予測データを使うことで生まれたメリットを教えてください。

各配送センターに特定の在庫が多くならないように管理しているのですが、わたしたちが目指す在庫偏在の減少が実現できました。在庫の量が適正であれば、作ってからお客様に届ける期間が短縮できます。
反対にその期間が長くなれば保管料をはじめとするさまざまな費用が発生します。
以前の需要予測は個人がやっていた仕事なので、いわば職人芸のようなものでした。ある人の考えをもとに、経験と勘で出荷量を決めていたのです。それを目に見えるデータでいただけると、そこにきちんとした理由が生じます。このデータには、こういう事情があって、だから今週、この配送センターに運ぶ量はこれだけになります、と。
個人が計算していた数量で、在庫が薄くなって得意先に迷惑をかけるようなことが起きると、「すみません」と頭を下げるしかありませんでした。しかし日本気象協会のデータという根拠があれば、「予想できないほどの猛暑なので、納品を1日待ってください」と説明することができます。
具体的に在庫回転率はどれくらい改善されているのでしょうか。
在庫回転率を数字で表すのは難しいのですが、3ヶ月先までの気象データをいただいて先が見通せるようになったことで、作業効率は10%ぐらい改善していると思います。それぞれの商品の製造は、専用のラインでずっと作り続けるわけではありません。そのラインで許容されている範囲の中で、在庫率や賞味期限、納品期限など、さまざまな条件を考えながら、優先順位をつけて製造していきます。直近の出荷数量だけ見て仕事を進めてしまうと、作業効率はかなり落ちてしまうので、先を見て調整しながら動けるというのは大きなメリットになっています。
今後はどのように活用シーンを広げていきたいですか?

いまは夏がメインの商品に使っていますが、ココアなどの冬型の商品でも何かできないかな、と画策しているところです。
また個人的には、日中の寒暖差に興味がありますね。1日のうちの寒暖差によって出荷数量が左右されるのではないかと。例えば、朝は暑かったけれど夕方にはもう涼しくなった場合、出荷はどう変わるのか見てみたいです。
日本気象協会との3年のお付き合いの中で、いろいろな視点で気象データをいただけることがわかったので、今後も面白いことができるのではないかと思っています。

F-LINE株式会社様
F-LINE出資メーカーをはじめとする荷主の食品・飲料商品の物流。
常温・冷凍・冷蔵などさまざまな温度帯や商品ごとの物流特性、さらに環境負荷低減にも考慮した効率的な物流ネットワークを構築しています。

株式会社若松屋様
1937(昭和12)年創業。花火大会の尺玉から身近なおもちゃ花火まで幅広く製造販売。
花火ができる場所検索アプリ「Hanabi-Navi」のリリース、花火の遊び方のマナー向上のためのワークショップを開催するなど活動の幅を広げています。