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気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始 ~気象がビジネスに大きく影響するなか、より長期間の高精度な気象予測で支援~
2024.06.11
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、1か月以上先の天候を予測する季節予報の精度向上と、予測期間の延長を可能にする技術を筑波大学 生命環境系 植田宏昭教授の助言・協力のもと開発しました。
本技術を活用し、気象業界で初めてとなる最長2年先までの長期間の気象予測「2年先長期気象予測」の提供およびコンサルティングを開始します※。
なお、日本気象協会と筑波大学は、本技術において特許を共同出願しています。
※日本気象協会調べ
技術革新や紛争、気候変動によってこれまでに経験のない事象が世界規模で発生しています。
先が読めないVUCA(ブーカ:変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)時代である昨今、物理学的手法によって未来を予測することができる「気象データ」の重要性が一層増しています。
特にビジネスシーンでは、海外への資材発注や経営計画の最適化のため、1年以上先の気象予測のニーズが高まっています。
一方、これまでの予測技術で担保できる長期予報の精度には限界があったことと、国の予報業務許可制度で認められていた予報の期間は6か月先までだったため、そのニーズに応えることが難しい状態にありました。
日本気象協会は、2019年度より植田宏昭教授の助言・協力のもと、季節予報の新たな技術開発に取り組んできました。
その結果、従来よりも精度が高く、予測期間の長い予測手法の開発に成功しました。
さらに2023年に国の予報業務許可制度が改正され、気象業界初となる最長2年先までの長期気象予測の提供について気象庁から認可を受け、企業に向けてサービスを開始することになりました。
長期気象予測の解釈や、気象がビジネスにどう影響するのかのアドバイスを含めた気象コンサルティングも併せて実施いたします。
「2年先長期気象予測」は企業における翌年度の年間計画策定や資材発注、製造・販売・CM計画、新商品の開発といった重要なビジネスシーンにおいて、根拠ある意思決定を支援します。
「2年先長期気象予測」の特徴
- 従来の長期予報よりもリードタイムが長く予測精度が高い
- 月別・エリア別の定量的予測が可能
- 台風の接近数や梅雨明け時期などの事象も予測できる
1:従来の長期予報よりもリードタイムが長く予測精度が高い
日本気象協会では、現在最長で6か月先までの月次の気象予測を企業に提供しています。
6か月先までの予測において、従来の手法と、今回の「2年先長期気象予測」の手法による予測の精度を比較したところ、予測誤差に20~40%の改善が見られました。
また、今回の「2年先長期気象予測」を使って2023年の月次気温予測を実施したところ、予測が非常に難しかった3月の極端な高温や、7月から9月の記録的な猛暑といった特異な天候も、1年以上前から傾向を予測することができました。
2:月別・エリア別の定量的予測が可能
「2年先長期気象予測」では、月ごとの平均気温、日照時間、降水量について具体的な予測数値を提供します。実数値が分かることで、前年や過去5年平均などとの具体的な比較が可能です。
また、全国平均だけではなくエリアごとの予測もあり、地域別の生産計画・販売計画等にお役立ていただけます。
3:台風の接近数や梅雨明け時期などの事象も予測できる
「2年先長期気象予測」では、気温、降水量、日照時間のほか、月別の台風発生数・接近数、梅雨入り時期、梅雨明け時期など、ビジネスにおいて影響の大きい事象の予測も提供します。
たとえば「梅雨明け日予測」では、地域ごとに具体的な日付で予測するなど、数値データを提供します。気象予報士による解説レポートも発行します。
「2年先長期気象予測」サービス概要
2段階でサービス提供を開始します。
Step1:レポート提供2024年6月より提供開始
- 【レポート内容】1年半先までの天候解説(項目は以下)
- 月別・エリア別の気温・降水量・日照時間
- エリア別の梅雨入り時期・梅雨明け時期
- 月別の台風発生数・接近数
Step2:データ提供2024年秋から提供開始予定
- 【データ内容】
- 2年先までの月別気温・降水量・日照時間の予測数値
サービス利用料金の詳細はお問い合わせください。
本技術を活用した需要予測シミュレーション(ファッションロス削減の事例)
日本気象協会は2014年から「商品需要予測コンサルティング」を開始しました。
現在はあらゆる商材の廃棄ロスおよび機会ロスの削減に向けて取り組みを広げています。
長期気象予測が事業活動と社会課題の解決に大きく貢献できる業界のひとつとして、アパレルがあります。
新品、中古にかかわらずまだ着られるのに大量廃棄される「ファッションロス(衣料品廃棄)」は、社会課題のひとつになっています。
衣料品は企画から販売までのリードタイムが長いことから、製造数をコントロールするためには10か月以上先の需要予測が必要です。
今回「ファッションロスのない世界」をサステナビリティのビジョンの一つに掲げる株式会社アダストリアからアパレル販売データの提供協力を受け、「2年先長期気象予測」を活用した場合のファッションロス改善率をシミュレーションしました。
東京都内の店舗における冬物アウターのシーズン合計売上金額について、発注が行われる10か月前時点の長期気温予測を用いて予測をした結果、前年実績を使って生産計画をする場合と比較して、誤差が14%改善するという結果が得られました。
※事例協力:株式会社アダストリア
今後の展開
日本気象協会の「商品需要予測コンサルティング」では、あらゆる企業やデータホルダーと連携し「2年先長期気象予測」を活用することで、POSデータや広告出稿データ、アパレル販売データ、人流データ、レセプトデータ(医療報酬の明細書)といったさまざまなデータと組み合わせた最長2年先までの需要予測の提供を行う予定です。
これにより、企業では1年以上先の天候による社会影響や商品需要を具体的に把握し、生産計画や販売計画、経営計画を立てていただくことが可能となります。
日本気象協会は今後も、高度な解析力と高精度な気象予測であらゆる企業活動を支援してまいります。