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食パンと気温の関係

2024.06.27

こんにちは。True Data流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。

毎朝の食事はパンという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
季節や気温に関わらず購入されているように感じる食パンですが、実は少し、気温との関係性があります。

どんな関係か、購買データの分析結果をご紹介します。

食パンの購買データ

そもそも「食パン」が略語であること、みなさんご存じでしょうか。
正式名称は「主食用パン」で、True Dataのカテゴリ名もそれに準拠しています。
その購買データを時系列グラフで紹介します。

食パンの週別買物指数(点数)の推移(対象:全国)
図1 食パンの週別買物指数(点数)の推移(対象:全国)

グラフでまず特徴的なのは、12月末の一時的な売上個数(買物指数)の落ち込みです。

お正月に向けてパン需要が一時的に縮小するのに加えて、当週はおせち料理用食材を中心とした売場に大きく変わるため、前後と比較して売上個数が大きく落ち込むことが考えられます。

それ以外の期間は一見、季節による売上個数の波がないように見えますが、よくよく見ると気温が高い時期に多く、気温が低い時期に少ない関係があります。

食パンと気温の関係

食パンの売上個数と気温の関係をもう少しわかりやすく可視化するため、散布図を示します。

食パンの週別買物指数(点数)と最高気温週平均値との関係(対象:全国)
図2 食パンの週別買物指数(点数)と最高気温週平均値との関係(対象:全国)

12月末に売上個数が大きく落ち込むプロット(2年分のデータなので、2個のプロット)がありますが、それ以外はプロットのばらつきが小さくなっています。

最高気温がおおむね20℃以下の時期は、気温による売上個数の上下はほとんどないようです。
それに対して20℃以上の温度帯では、気温上昇とともに売上個数が減少する傾向が見られます。

目見当でも、35℃以上の温度帯の時期の売上個数は、20℃程度の温度帯の時期より10%程度少なくなっています。
食パンは、“暑いと売上が減る関係がある”といって良いでしょう。

まとめ

気温と売上の関係は、分析結果を確認するだけでなく、その理由を考察し、仮説を立てることも重要です。

今回取り上げた食パンの場合、夕食需要は比較的少なく、主に朝食、昼食(お弁当を含む)需要と考えられるため、そこで気温に関わる食習慣を考察してみましょう。

朝食メニューは、季節や気温の影響が小さい家庭が多いと考えられますので、食パンの売上個数は昼食時の陽気の影響を受けている可能性が考えられます。

つまり夏場、暑い陽気の日はそうめん、冷やし中華などいわゆる冷やし麺の需要が大きく伸びることに対応して、パン食の需要が減ることが仮説として考えられます。

ちなみに気象庁発表の季節予報によると、今夏は全国的に気温が高めの予想となっています。
今夏、食パンの売上はやや苦戦するかもしれません。パンメーカーさんや小売り各社さんが夏場にパンを売り込む際の参考になるかもしれません。

※抽出データ
株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「主食用パン」カテゴリ(業態:スーパーマーケット、期間:2022年6月6日~2024年6月2日、データ抽出日:2024年6月13日)の週次の買物指数(点数)(買物指数は来店者100万人における購入点数)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美 氏

株式会社True Data流通気象コンサルタント常盤 勝美〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。
著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。
気象予報士、健康気象アドバイザー。