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消費統計データから気象の社会影響を分析 ~高温・多雨が予想される2024年夏への影響は~
2024.05.13
クレジットカード消費の統計データから気象の影響を分析
消費者行動は日々の気象の変化に左右され、サービスや商品の売上に大きく影響します。
日本気象協会では店舗業種別のクレジットカード消費の統計データ(東京エリア、期間:2019~2023年 ※特定の個人・加盟店を識別できないように統計加工した情報)をもとに、日々の気象状況が消費に与える影響を業種ごとに分析しました。
降水量と消費金額の関係
表1は、東京都における業種別の、日降水量10mm増加する当たりの1日の消費金額の変化量(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)です。
プラスは日降水量が多いほど消費が増える(日降水量が少ないほど消費が減る)業種、マイナスは日降水量が多いほど消費が減る(日降水量が少ないほど消費が増える)業種です。
- データ:クレジットカード消費統計データ
- エリア:東京都
- ※長期トレンドを除去し季節調整を行った上で、日消費金額の日降水量に対する回帰分析を月別/業種別に実施
※統計的に有意(p値<=0.05)である期間/業種のみを対象として四半期別平均を算出
年間を通して、日降水量が多いほど消費が減る業種が多い結果となり、第1四半期(1-3月)は、ショッピングセンター、エンタメ_遊園地、百貨店、スーパー、ドラッグストア、衣料、家具・ホームセンター、家電、高速道路などで、日降水量が10mm増加すると1日当たりの消費金額が6%前後減ることが分かりました。
雨の季節を迎える第2四半期(4-6月)や、第3四半期(7-9月)は、第1四半期と比較して降水のインパクトが小さいように見えますが、降水量が多い時期となるため、むしろ降水の影響は大きくなると言えるでしょう。
一方、日降水量が多いと消費金額が伸びる業種もありました。
第1四半期は運輸・交通(おもにタクシー)や、宿泊施設(おもにビジネスホテル)で、日降水量が10mm増加すると消費金額が8%~10%増加することが分かりました。
第2四半期は、飲食が1.9%伸びる結果となりましたが、牽引しているのは社食でした。
新年度が始まり、社員同士の会食の機会が増える時期でもあり、雨の日は外出をせずに社内で昼食をとることが多くなるのかもしれません。
第4四半期(10-12月)は、台風の接近に伴う大雨の日に、ショッピングセンター(おもに駅ビル)で消費金額が増える傾向があることが分かりました。
気温と消費金額の関係
表2は、東京都における業種別の、日平均気温1℃増加する当たりの1日の消費金額の変化量(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)です。
プラスは日平均気温が高いほど消費が増える(日平均気温が低いほど消費が減る)業種、マイナスは日平均気温が高いほど消費が減る(日平均気温が低いほど消費が増える)業種です。
- データ:クレジットカード消費統計データ
- エリア:東京都
- ※長期トレンドを除去し季節調整を行った上で、日消費金額の日平均気温に対する回帰分析を月別/業種別に実施
※統計的に有意(p値<=0.05)である期間/業種のみを対象として四半期別平均を算出
第1四半期や第2四半期は、気温が高いほど消費金額が増える業種が多く、気温が上昇していく時期は暖かいほど消費行動が活発になることが分かります。
暑さがピークとなる第3四半期も、気温が高いほど消費が増える業種が多い結果となりましたが、スーパーは日平均気温が1℃上昇する当たり3%程度消費金額が減る結果となりました。
一般的にスーパーでは最高気温が30℃を超えると昼間の来店客数が減る傾向があり、暑さによる外出控えが影響しているのかもしれません。
衣料もわずかながら気温が高いほど消費金額が減る傾向にあり、秋物需要の遅れが要因として考えられます。
第4四半期は、全般に気温が高いほど消費金額が減少する(気温が低いほど消費金額が増加する)傾向があります。
日平均気温1℃上昇(下降)する当たりショッピングセンターや衣料で約3%の減少(増加)、家具・ホームセンターでは2.4%の減少(増加)が見られました。
冬物商品の需要のピークは、寒さが本格的になる前の第4四半期がピークになるため、この時期の寒さが、冬物商品を扱う店舗の売り上げを左右していると言えるでしょう。
また、エンタメ施設の中では、カラオケや、観光施設(温泉)が、気温が低いほど消費金額が伸びる結果となり、寒い日ほど来店客が増える傾向があるようです。
高温・多雨が予想される2024年夏への影響は
2024年夏は梅雨明けが前年よりも遅い傾向となり、前半にかけて雨が多い夏になることが予想されます。
*最新の2024年夏と梅雨明けの予想は2024年夏は高温多雨、梅雨明け後も安定した天気は続きにくく、残暑も厳しいをご覧ください。
夏の後半は太平洋高気圧が強まり、晴れの日が増え顕著な猛暑となる可能性がある一方で、湿った空気が流れ込みやすいため、秋雨前線や台風の影響を受けると、時に大雨となるリスクもあります。
*今年の台風については2024年8月以降は平年よりも台風の接近数が多い傾向をご覧ください。
降水量に影響されやすい業種
消費統計データの分析結果に基づくと、夏の期間(主に第3四半期)、降水に影響されやすいのは下記業種です。
- 衣料
- 家具・ホームセンター
- 百貨店
- スーパー
これらの業種は、雨の日は消費が落ち込みやすい一方で、雨が降らなければ消費が伸びる業種となり、2024年夏はその変動が大きくなる可能性があります。
百貨店、スーパーなどでは雨により客足が左右されやすいほか、家具・ホームセンターは、DIYなどを中心に雨の影響で消費が落ち込むことも考えられます。
気温に影響されやすい業種
- 飲食(うなぎ、焼肉、ビアホール、焼き鳥、東南アジア料理など)
- ショッピングセンター
- エンタメ(遊園地、カラオケ、映画館)
- 車両関連(レンタカー)
- 高速道路
- 宿泊施設
これらの業種は、気温の影響を受けやすく、猛暑の影響で、消費が伸びやすいでしょう。
一般的に、気温が高いとスタミナのつく食材や香辛料の売り上げが伸びる傾向があるため、飲食店の中でもうなぎや焼肉などのスタミナ料理や、東南アジア料理は、高温により消費が伸びると考えられます。
また、晴れる日ほど気温が上がる傾向があり、晴れることによる需要の増加が考えられるショッピングセンターやエンタメ(遊園地、カラオケ、映画館)、車両関連(レンタカー)や高速道路、宿泊施設は、梅雨明け後の夏後半に消費が伸びる可能性があります。
気象予測を活用して販売計画を
このように、あらゆる業種が天候の影響を受けて消費が変動しています。
気象予測を上手く活用することで、機会ロスや廃棄ロスを減らすことが可能です。
日本気象協会では天気をミカタに変えるビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」を開発しました。現在、法人のお客様に限り、期間限定で「biz tenki」β版を無償で提供しています。
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