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日本気象協会、全国を対象とした「JWA積雪情報」を新たに開発 ~1km四方の高解像度な積雪情報を96時間先まで予測~
2025.11.25
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、1km四方の高解像度な積雪情報を1時間ごとに推定するモデルを新たに開発し、2025年11月25日(火)に「JWA積雪情報」としてサービスの提供を開始します。
「JWA積雪情報」の概要
今回開発したモデルでは、降水量、気温、日射量などを入力データとして、新たに積もる雪の量、とける雪の量、とけた水が積雪層内を浸透して地表に染み出る量等を1時間ごとに計算して、積雪深等の積雪情報を出力します。
実況と96時間先までの積雪情報を用いることで、雪によるリスク把握が可能となり、除雪計画や運行規制の早期判断などに役立ちます。
また、気候変動に伴って、重く湿った雪の増加や局地的で極端な大雪の発生、春先の融雪期の早まりにより農業用水の確保が難しくなる可能性が懸念されます。
「JWA積雪情報」は気候変動に伴う積雪リスクに対して、早期判断と迅速な対策に有効です。
これまで日本気象協会では特定顧客向けに個別に開発した積雪予測や融雪予測を提供してきました。これまでの知識や経験を生かして全国に適合するように開発した「JWA積雪情報」は、高解像度で面的(メッシュ情報)な予測情報をリアルタイムで活用いただくことができます。
「JWA積雪情報」の3つの特徴
1.1km四方の高解像度な積雪情報を最大96時間先まで利用可能
今回開発したモデルでは、1kmの格子ごとに降水量、気温、日射量などの入力データをもとにして積雪の深さを計算しています。
実況値は、気象庁のアメダスの積雪観測値を用いて補正することで精度を高めています。
予測には高解像度・高精度な「JWA統合気象予測※1」のデータを使用しており、96時間先までの積雪予測は、さまざまな用途に活用いただけます。
<活用例>
- 効率的な除雪計画
- 通行、運行規制の早期判断
- 積雪に伴う配送遅延リスクの事前把握
- 需要予測
- 積雪に伴う太陽光発電の発電効率の低下の事前把握
※1 JWA統合気象予測:国内外の複数機関による数値気象予測モデルを統合することにより、精度の高い気象予測を行う新たなモデル。日本気象協会が2023年に開発。
2.積雪密度、積雪相当水量、地表到達水量を活用して雪によるリスク把握に貢献
積雪深だけではなく、積雪密度、積雪相当水量、地表到達水量を活用することで防災・維持管理コストの最適化にさらに貢献します。
<積雪密度、積雪相当水量、地表到達水量の活用例>
- 設備の積雪荷重管理
- 屋根雪や雪崩リスクの評価
- 春先の水力発電の発電ポテンシャル予測
- 融雪出水の防災態勢
- 代(しろ)かき期※2の供給水量の把握
※2 代(しろ)かき期:田植えの前に田んぼに水を張り、土を細かく砕いて泥状にして平らに整える作業期間。
3.さまざまなデータ形式で利用可能
「JWA積雪情報」は、用途に合わせてさまざまな形式でご利用いただけます。
特定の地点や、道路・鉄道など特定区間のみのデータが必要な場合は、APIでピンポイントにデータの取得が可能です。詳細はお問い合わせください。
また、より広いエリアをまとめたデータの配信や、webでの表示など、ご要望に合わせた提供方法にも対応しています。
「JWA積雪情報」の詳細
データ仕様
- 格子間隔:1km
- 計算時間単位:1時間単位
- 計算頻度:実況と78時間先までの予測は1時間ごと、79~96時間先までの予測は6時間ごと
- 計算範囲:日本全国(一部島しょ部を除く)
- 発行期間:10月~翌年5月末
出力要素一覧
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 積雪深 | 地面に積もった雪の高さ |
| 積雪密度 | 積もった雪の中で、どれくらい雪が詰まっているかを表すもの |
| 積雪相当水量 | 積もった雪を全部とかしたときに、どれくらいの水になるかを表した量。 1km2あたりの雪の重さ |
| 地表到達水量 | 雨や雪どけの水が雪の中を通って、地表までしみこんで出てくる水の量 |
今年の12月は寒気の南下が早く、急な冷え込み・日本海側では大雪の可能性があります。
冬の予報や「JWA積雪情報」の詳細についてはお問い合わせください。
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