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日本気象協会「2年先長期気象予測」の精度と活用事例を公表 ~2025年夏の顕著な猛暑を事前にとらえ、「ビジネスにおける気象リスク」への備えに貢献~

2025.09.30

一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、2024年6月に発表した気象業界初※1「2年先長期気象予測」サービスの提供開始から1年を迎え、予測精度の検証結果および業界別の活用事例を発表しました。

2025年夏(6~8月)の日本の平均気温は平年差+2.36℃となり、過去2年(2023年・2024年)の+1.76℃を上回り、観測史上最高を記録する顕著な猛暑となりました。

日本気象協会は「2年先長期気象予測」のデータ提供を開始した2024年10月時点で、2025年夏の気温が「平年よりかなり高い」気温となる確率を73%と予測しており、顕著な猛暑を予測することができていました。

※1 日本気象協会調べ

「2年先長期気象予測」精度検証の結果

【ポイント1】早い梅雨明けと猛暑の到来

2025年夏は、太平洋高気圧の勢力が強く、梅雨前線の北上が顕著に早まりました。このため、東日本・西日本では平年よりかなり早い5月の梅雨入り、6月中の梅雨明けとなり、6月から7月にかけては記録的な高温と少雨になりました。

一方で、8月は一時的に太平洋高気圧が弱まり、前線が停滞したことにより、日本海側を中心に降水量がかなり多くなった所がありました。

日本気象協会が2024年12月に公開したウェザーマーケティングレポートでは、2025年夏を「梅雨明け早めで猛暑戻り梅雨に注意」と予想しています。
梅雨前線の北上が早く顕著な高温であることや、夏の後半に多雨の時期があることなど、概ね傾向を捉えることができていました※2

※2 2025年の天気傾向 冬は寒冬で春の訪れが早く、夏は猛暑のメリハリ型か【ウェザーマーケティングレポート】(2024年12月20日)

【ポイント2】2025年夏(6~8月)の日本の平均気温は平年差+2.36℃

日本気象協会が2024年10月に予測した2025年夏の平均気温は平年差+1.03℃(+0.37~+1.69℃)で、「平年よりかなり高い」(+0.63℃以上※3)の確率は73%、「前年超え」(前年の+1.76℃以上)の確率は13%と予想していました。

一方、過去10年平均値(2015~2024年)に基づく評価では「平年よりかなり高い」確率は54%、「前年超え」は5%にとどまり、「2年先長期気象予測」を活用することで極端な高温リスクをより的確に捉えることが確認できました。

※3 「かなり高い(+0.63℃以上)」は、 気象庁が定める1991~2020年基準の季節予報用区分(上位約10%に相当)に基づいて算出しています。

予測手法 予測値
※()内は70%の確率で入る範囲
階級 「かなり高い」
+0.63℃以上の確率
「前年超え」
+1.76℃以上の確率
過去10年平均値
(2015~2024)
+0.69℃
(+0.04~+1.34℃)
平年並み~かなり高い 54% 5%
本手法での予測
(2024年10月時点)
+1.03℃
(+0.35~+1.71℃)
高い~かなり高い 73% 13%

業界別の導入状況と主な活用シーン

「2年先長期気象予測」は、2024年6月にレポート提供を開始、同年10月からはデータ提供も拡充しました。
提供開始から1年3カ月のあいだに、多くの企業にご活用いただいています。
実際のビジネスシーンでの導入状況と主な活用事例をご紹介します。

業界 日本気象協会「2年先長期気象予測」の活用事例
電力小売 2年先までの電力需要予測
発電事業 燃料調達の最適化
アパレル製造小売 商品企画や販売計画
日用品小物製造卸 生産量調整
食品メーカー 季節商材の年間マーケティング計画
来年度の需要予測

アパレル企業や日用品小物の製造、食品業界では、商品企画から販売までのリードタイムが長いことから導入が進み、商品企画から生産調整まで幅広いシーンでご活用いただきました。

さらに電力・エネルギー業界からも想定以上の反響があり、長期の電力需要予測や燃料調達の最適化に役立っているとの声が寄せられています。利用企業からは「電力需要予測精度が30%向上した」という報告もありました。

政府は「2050年カーボンニュートラル」実現に向け、非効率な石炭火力のフェードアウトを掲げており、石炭火力から天然ガス火力への切り替えによる環境負荷の低減にも、本サービスの長期見通しが大きく貢献することが期待されます。

各業界での利用を踏まえたフィードバックは、予測の改善や提供価値の向上にもつながっています。

「2年先長期気象予測」サービス概要

  1. レポート提供(1年半先までの天候解説)
    • 月別・エリア別の気温・降水量・降雪量・日照時間
    • エリア別の梅雨入り時期・梅雨明け時期
    • 月別の台風発生数・接近数
  2. データ提供
    • 【データ内容】2年先までの月別気温・降水量・降雪量・日照時間の予測の数値データ

*サービスの詳細は、2年先長期気象予測をご覧ください。
サービス利用料金については、お問い合わせください。

今後の展望

日本気象協会の「2年先長期気象予測」と、POSデータ、広告出稿データ、アパレル販売データ、人流データ、レセプトデータ(医療報酬の明細書)などのさまざまなデータと組み合わせて分析することで、最長2年先までの需要予測の提供が可能になります。

これにより、企業は1年以上先の天候による社会影響や商品需要を把握でき、精緻な生産計画、調達計画、販売計画、経営計画の立案が可能となります。

日本気象協会は今後も、高度な解析力と高精度な気象予測であらゆる企業活動を支援してまいります。

※「2年先長期気象予測」で用いている技術は特許を取得しています(特許第7569539号)。

参考情報

*需要予測導入の経済効果
日本気象協会、需要予測の導入による経済効果の試算数値を7年ぶりに更新
~気象の影響を受ける食料品・日用品は年間約5,100億円と試算~

*2年先長期気象予測を提供開始
気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始
~気象がビジネスに大きく影響するなか、より長期間の高精度な気象予測で支援~

*電力業界での2年先長期気象予測の活用事例、「2024年度NIKKEI脱炭素アワード」も受賞
「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会

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