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猛暑や夏季の天候が電力需給・スポット市場価格に与える影響は?夏季特有の考え方について気温・日射量・天候から解説
2026.07.13
夏季の電力需給(特に需要)やスポット市場価格は、気象条件とそれにともなう人間活動の変化に影響を受けるため、季節特有の傾向を示します。
電力の実需給や小売電気事業者が電力調達を行う日本卸電力取引所のスポット市場価格には様々な季節特有の傾向が見られるため、効率的な電力需給運用には夏季特有の傾向を把握することが効果的です。
この記事で分かること
- 夏季の気温・天候が電力需要に与える影響
- 高温日や日射量の変化がスポット市場価格に与える影響
- 電力需要予測・市場価格予測に気象データを活用する考え方
本記事は、電力会社、小売電気事業者、需給管理・市場取引担当者向けに、夏季の気象変化を需給管理や調達判断にどう活用できるかを整理します。
目次
電力需要と気象の関係は?気象要素を考慮することの重要性
電力需要は、私たちの日々の行動に影響する様々な要因によって変動します。
これらの要因には社会的なものと気象的なものがありますが、その中でも、気温は特に影響の大きい要素の一つです。
| 社会要因 | 気象要因 |
|---|---|
|
|
電力需要の季節変化
季節ごとに見ると、春や秋は需要変動が比較的穏やかです。
一方で夏と冬は、気温の影響が強く、需要の変動が大きくなります。特に夏季は、高温になるほど需要が増加しやすくなります。
また、需要は地域特性にも左右されます。都市部では人口が多いため冷房需要が集中しやすいといった特徴がある他、人口構成や産業構造の違いも影響します。そのため、対象エリアに応じた気象情報を把握することが重要です。
夏季の電力需要:気象予測の精度が大きく影響
電力需要の特徴とは
夏季の電力需要は、地域差も見られるものの、高温時ほど顕著に増加します。
気温が上昇するほど冷房需要が増え、エリア全体での需要量は増加します。東京エリアでは高温時ほど気温が1℃上昇する毎の需要増加量(気温感応度)が高くなるため、猛暑の時ほど高精度な気象データの必要性が高まるといえます。
加えて、同じ気温であっても天候によって需要は変わります。図2では、30℃付近までの気温帯では、同じ気温帯でも晴天時は電力需要が相対的に低く、曇天時は高くなる傾向が見られます。
これは主に、以下のような要因が影響している可能性が考えられます。
- 天候による太陽光発電の自家消費量の違い
- 天候による照明需要の変化
- 曇天時の湿度上昇に伴う体感不快度の増加
このような点を考慮すると、気温だけでなく複数の気象要素を組み合わせて考える必要があります。
ビジネスで発生する課題
夏季は天候や気温による電力需要への影響が大きいため、以下のような課題が生じやすくなります。
- 天候や気温のわずかな変化により、電力需要予測が外れ、計画値と実績値に差が生じやすい
- 需要変動が大きくなることで、需給調整が難しくなり、インバランスが発生しやすい
これらの課題は、短期の需給運用だけでなく、市場取引にも影響します。
気象データの活用
こうした状況では、気象データの活用が重要です。気温だけでなく、日射量や雲量など複数の要素を把握する必要があります。対象とするエリアに適した気象情報を用いることで、需要予測の精度向上が期待されます。結果として、需給運用の安定化にもつながります。
スポット市場価格への影響
スポット市場価格とは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場で翌日に受渡される電気の取引価格です。価格は30分単位で決定され、エリアごとのエリアプライスとして公表されます。また、全国の入札結果を合成して算出した指標としてシステムプライスも公表されています。
スポット市場価格の特徴
電力需要の変動は、スポット市場価格とも関連します。夏季は需要の増加や余力の低下により、価格水準が高くなりやすい傾向があります。それに加えて、価格の変動幅も大きくなりやすい点が特徴です。
図3は東京および九州エリアにおけるスポット市場エリアプライスの日最大値、日内レンジ(48点中の最大値 – 最小値)を示します。両エリアとも、日最高気温30℃前後を境として、日最大値及び日内レンジが一段階増加する日が増えています。
気温が高い日には需要が増加し、夕方以降に価格が上昇しやすくなります。一方で日中は、太陽光発電の出力が増加することで、価格が低下する場合があります。この結果、日中と夕方の価格差が広がる傾向が見られます。
ビジネスで発生する課題
このような価格変動は、業務上の課題につながります。
- 市場価格の見通しが不安定になりやすい
- 調達コストが日々変動しやすい
- 時間帯別の価格差への対応が必要になる
気象データを電力需要予測・市場価格予測に活用するには
電力需給や市場価格は、気象条件の影響を強く受けます。特に夏季は、気温や日射の変動が大きく、需給や価格の変動も拡大しやすくなります。このため、気象予測を需給や市場分析に取り入れることが重要です。
日本気象協会では、気象情報を活用した電力需要予測や価格予測のサービスを提供しています。これらのデータは単独でも有効ですが、発電量予測などと組み合わせることで、より幅広い活用が可能です。
エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI
ENeAPIは、エネルギー事業向けの気象情報をWebAPI形式で提供するサービスです。
高度なエネルギーマネジメントに不可欠な気象情報のほか、電力需要予測、市場価格予測、太陽光発電出力予測など、戦略的な電力取引を支援する各種情報を提供します。
プライス予測(電力取引価格予測)
「プライス予測(電力取引価格予測)」は日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場取引価格(システムプライス・エリアプライス)・電力需給調整力取引所(EPRX)の需給調整市場取引価格を予測し、オンラインで配信するサービスです。
高精度な電力取引価格予測は戦略的な発電・調達・充放電計画を可能にし、エネルギー事業者様の収益の最大化と事業の安定運用を可能にします。
電力需要予測 *日本気象協会コーポレートサイトへ
電力需要は気温や湿度、日射量、雨、雪などさまざまな気象要素により大きな影響を受けます。
気象予報士の知見や、人工知能(AI)・機械学習の解析技術を組み合わせ、高精度な電力需要予測サービスを提供します。
2年先長期気象予測
日本気象協会は業界で初めて、従来よりも精度が高く、予測期間の長い予測手法を開発しました。最長2年先までの気温や降水量、降雪量などの長期の傾向を把握することで、供給計画や燃料調達計画のコストを最適化できます。
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まとめ
- 電力の実需給や小売電気事業者が電力調達を行う日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格には夏季特有の傾向が見られ、気象との関係性から説明できる点も複数存在します。
- 効率的な電力需給運用には精度の高い予測データ活用が効果的です。
- 日本気象協会の気象データ・電力需要予測・電力取引価格予測は、効率的な需給管理、市場取引、調達計画、蓄電池の充放電計画などの判断材料として活用できます。
よくある質問|FAQ
Q.電力需給や市場価格の予測に、気象データをどのように活用すべきですか?
A.気象データは、発電量予測、需給管理、市場対応、事業計画など幅広い用途で活用されます。目的に応じて適切なデータを使い分けることで、運用から経営までの意思決定精度を高めることができます。自社の課題に応じた活用方法については、お気軽にお問い合わせください。
Q.電力需要予測において気象はどのように影響しますか?
A.電力需要は、気温、湿度、日射量、雨、雪などの気象要素に大きく影響を受けます。特に気温は電力需要に強く影響し、再エネの発電量変動とも組み合わさることで、需給バランスに影響を与えます。気象条件の変化を適切に捉えることで、需要予測の精度向上につながります。
日本気象協会の電力需要予測については、電力需要予測をご覧ください。
Q.夏季の電力需要はなぜ増加しやすいのですか?
A.夏季は気温が上昇するほど冷房需要が増え、エリア全体の電力需要が増加しやすくなります。高温時ほど気温が1℃上昇するごとの需要増加量が大きくなる傾向があり、特に都市部等ではこの傾向が強く見られるため、気温や湿度、日射量などを踏まえた需要予測が重要です。
Q.夏季のスポット市場価格に影響する気象要因は何ですか?
A.夏季のスポット市場価格は、気温上昇による需要増加や、日射量・雲量の変化に伴う太陽光発電量の変動の影響を受けます。
エネルギー事業向け気象データAPI、電力需要予測、スポット市場価格予測の活用をご検討の方は、各サービスページをご覧ください。