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日本気象協会、「系統用蓄電池事業者向け蓄電池制御支援サービス」を提供開始~蓄電池の充放電計画や電力市場入札を最適化~
2025.05.01
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、2025年4月14日(月)から、新たに「系統用蓄電池※1事業者向け蓄電池制御支援サービス」(以下、「本サービス」)の提供を開始しました。
本サービスでは、系統用蓄電池事業者を対象に、蓄電池システムの充放電計画の最適化や電力市場への入札計画の最適化など、系統用蓄電池の最適制御に活用できる30分ごとの電力取引価格予測、電力需要予測を提供します。
日本気象協会は、本サービスを通じて、系統用蓄電池事業者による蓄電池の有効活用を支援し、分散型電源の効率的な利用と電力の安定供給に貢献していきます。
※1 系統用蓄電池:電力系統(送配電網)に直接接続される大規模な蓄電池。
電力網全体の安定化と需給調整を行う。
「系統用蓄電池事業者向け蓄電池制御支援サービス」の概要
本サービスは、系統用蓄電池事業者を対象に、30分ごとの電力取引価格予測、電力需要予測をオンラインで提供するサービスです。
お客さまの設備規模や利用目的に応じて、エネルギー分野の気象予測に精通した専門コンサルタントがお客さまの太陽光発電設備や蓄電池の実稼働データをもとに分析を行い、各種予測の最適な組み合わせと活用方法をご提案します。
本サービスは、蓄電池システムの充放電計画の最適化、アービトラージ※2を活用した電力市場への入札計画の最適化など、系統用蓄電池の最適制御に活用するだけでなく、産業用蓄電池※3や家庭用蓄電池※4にも活用いただけます。
また、再エネ併設型蓄電池向けのサービスとして、個別設備ごとの太陽光発電出力予測のご提供も可能です。

※2 アービトラージ:電力市場のうち、卸電力市場(JEPX)において電力の売買の差額で収益を得る方法。
※3 産業用蓄電池:工場や商業施設などで使用される中規模の蓄電池。
主にピークシフトや非常用電源として利用され、電力コストの削減や安定供給に貢献する。
※4 家庭用蓄電池:家庭での電力供給を補助する小規模な蓄電池。
太陽光発電システムと連携して余剰電力を蓄え、夜間や停電時に使用することができる。
サービス開発背景
近年、導入が拡大している太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーによる発電量は、天候や時間帯によって大きく変動するため、電力需給バランスの調整が課題となっています。
その解決策として、蓄電池の活用が注目されています。
蓄電池は、電力需要が低い時間帯に電力を蓄え、高い時間帯に放電することで、電力供給の安定化に貢献します。
特に系統用蓄電池は、大規模な電力供給や需給調整に優れており、電力市場への柔軟な電力供給も可能で、電力コスト削減や収益向上にも寄与します。
日本気象協会では、これまで主に再生可能エネルギー発電事業者やアグリゲーターを対象に、電力取引価格予測、電力需要予測、太陽光発電出力予測を提供してきました。
蓄電池ビジネスの拡大に伴い、系統用蓄電池の最適制御が社会的な課題となっていることから、このたび、新たに「系統用蓄電池事業者向け蓄電池制御支援サービス」の提供を開始します。
サービス詳細
提供仕様
本サービスは、以下の提供サービスから構成されています。提供仕様は一例です。
お客さまごとのカスタマイズが可能で、利用目的に応じて専門コンサルタントが最適な組み合わせと活用方法をご提案します。
提供サービス | 系統用蓄電池向け 再エネ併設型蓄電池向け |
再エネ併設型蓄電池向け | ||
---|---|---|---|---|
電力需要予測 | 電力取引価格予測 (プライス予測) |
太陽光発電出力予測(※) | ||
予測要素 | 電力需要 | 電力取引価格 | 太陽光発電出力 | |
提供単位 | エリア | エリア | 個別設備 | |
予測時間 | 78時間先まで | 翌日受渡分 | 翌日~14日先受渡分 | 78時間先まで |
更新頻度 | 2回/日 | 4回/日 | 1回/日 | 8回/日 |
時間粒度 | 30分 | |||
ファイル形式 | CSV |
※お客さまの太陽光発電設備情報をもとに予測情報を提供します。
発電設備ごとの発電量実績データを開示いただくことで、予測情報の精度をより高めることが可能となります。また、太陽光発電出力の信頼度階級予測の提供も可能です。
利用用途
- 系統用蓄電池事業者による蓄電池システムの充放電計画や電力市場への入札計画の最適化
- エネルギーマネジメント事業者による蓄電池充放電システム設計画
日本気象協会のエネルギー関連サービス
日本気象協会では「系統用蓄電池事業者向け蓄電池制御支援サービス」以外にも、気象データと技術を活用したエネルギー事業者様向けの情報提供を行っています。
- エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI
エネルギー事業者様向けに特化した高精度な気象情報を提供するWebAPIです。
エネルギーマネジメントに不可欠な電力需要や電力取引価格予測、太陽光発電に重要な日射量・太陽光発電出力の推定・予測情報もAPIで提供しています。
各APIの詳細は「ENeAPIの4つのカテゴリ」をご覧ください。お問い合わせはこちら。 - 日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
「SYNFOS-solar(シンフォスソーラー)」は、独自気象モデルによる高精度な日射量・太陽光発電出力予測サービスです。2つの独自技術によって予測精度を高めています。
これにより、従来の気象モデルに比べて約30%の予測精度向上を実現しました。
独自技術1. 気象モデルの改良 薄曇りなどのさまざまな雲の状態をより正確に表現するため、鉛直方向の空間解像度を細かくした上で、気象モデル内での雲の生成過程を高度化しました。
独自技術2. 予測値の統計補正 日射量の予測精度向上のため、観測データを活用した予測値の統計補正を行いました。
- 電力需要予測 (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
お客さまが取引する電力需要量を電力エリアごとに予測するサービスです。
電力需要は、気温、湿度、日射量、雨、雪などのさまざまな気象要素に大きく影響を受けます。過去の電力需要の特徴を、社会活動・気象条件等の変動要因に基づき解析(エネルギー需要変動解析)し、気象予測スペシャリストの技術と人工知能を融合させることにより、高精度な電力需要予測を実現しました。
お客さまのニーズにあったシステム構築からデータ提供サービスを行い、電力の市場取引や需給管理などに貢献します。 - プライス予測(電力取引価格予測) (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場取引価格(システムプライス・エリアプライス)を予測し、オンラインで配信するサービスです。
気温や日射量をはじめとした独自の気象予測データ、気象ビッグデータ解析や人工知能(AI)による解析技術などをもとに、翌日~1カ月先の電力取引価格を予測します。
*今冬の気温の傾向と電力市場取引価格への影響
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*今年の梅雨入り予想は2025年梅雨入りは関東~九州で平年並みの6月上旬予想 前年より早めの梅雨入り、生産・物流・販売でも準備ををご覧ください。
*夏の予報は2025年の夏も全国的に猛暑 観測史上1位タイの高温となった2024年との違いは?をご覧ください。