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日本気象協会「個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス」を開始~ビルや商業施設・家庭など、1地点ごとの余剰電力予測が利用可能に~
2025.03.18
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、2025年2月12日(水)から、新たに「個別需要家(※)を対象とした余剰電力予測サービス」(以下、「本サービス」)の提供を開始しました。
※電気の供給を受ける個人や法人など、任意の需要家1拠点・1軒単位のこと。
本サービスでは、高圧需要家(ビルや商業施設、工場など)から低圧需要家(家庭、店舗など)まで、任意の個別需要家1地点ごとの太陽光発電出力・電力需要量・買電量・余剰電力量の予測情報を提供します。
日本気象協会は、本サービスの提供を通じて、余剰電力の活用に取り組む事業者を支援し、再生可能エネルギーの最大限の活用とCO2排出量削減に貢献していきます。
個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス 概要
本サービスは、任意の個別需要家を対象に、30分ごとの太陽光発電出力・電力需要量・買電量・余剰電力量を提供するサービスです。
高圧需要家・低圧需要家を問わず任意地点の予測情報をオンラインで提供します。
お客さまから事前に提供いただく「太陽光発電設備情報」および「個別需要家ごとの電力需要量・買電量の実績値」と、日本気象協会独自の気象データをもとに予測します。
日本気象協会が開発した太陽光発電出力予測モデルと需要予測モデルを組み合わせることによって、高精度な余剰電力予測を実現します。
PPA※1サービス事業者や小売電気事業者による余剰電力を活用した発電計画の作成、蓄電池事業者による蓄電池システムの最適化、リソースアグリゲーター※2によるVPP※3技術を活用した電力システムの最適運用などに活用いただけます。

※1 PPA:Power Purchase Agreementの略称で、電力販売契約モデルを指す。企業や個人が保有する敷地や屋根を事業者が借り、事業者が無償で発電設備の設置・運用・保守を行い、電力を供給する。
※2 リソースアグリゲーター:需要家が保有する太陽光発電や蓄電池などのエネルギーリソースを集約し、集約したリソースを活用したさまざまなサービス(例:再生可能エネルギー電源の接続サービスやエネルギーマネジメントサービスなど)を提供する事業者。
※3 VPP:「バーチャルパワープラント」のことで、情報通信技術などにより、分散するエネルギーリソースを統合的に制御し、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所のことを指す。
個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス 開発背景
太陽光発電の導入が急速に拡大するなかで、事業所や家庭で発電された太陽光の余剰電力を活用する取り組みが広がっています。
余剰電力は、太陽光発電出力から電力使用量を差し引くことで算出されますが、その量は気温や日射量などの気象条件によって大きく変動します。
そこで日本気象協会は、2019年11月から「卒FIT世帯※4を対象とした余剰電力予測」を展開し、電力エリア単位または都道府県単位の平均的な家庭1軒あたりの余剰電力予測サービスを提供してきました。
このたび、ビルや商業施設・工場などの施設1拠点ごとや一般家庭1軒ごとといった「任意地点の余剰電力予測」に対するニーズの高まりを受け、本サービスを開発しました。
※4 卒FIT世帯:太陽光発電の固定価格買取制度(FIT制度)による10年の調達期間が終了する世帯。
個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス 詳細
提供仕様
提供サービス | 太陽光発電出力予測 | 電力需要予測 | 余剰電力予測 |
---|---|---|---|
予測対象 | 高圧需要家(ビル、商業施設、工場など)から低圧需要家(家庭、店舗など)まで任意の個別需要家 | ||
予測対象 | 太陽光発電出力 | 電力需要量買電量 | 余剰電力量 |
提供単位 | 任意地点(国内) | ||
予測時間 | 78時間先まで | ||
時間粒度 | 30分ごと | ||
ファイル形式 | CSV形式 |
- ※「太陽光発電設備情報」、「個別需要家ごとの電力需要量・買電量の実績値」はお客さまからの提供をお願いしています。
- ※ 提供仕様は一例です。お客さまごとのカスタマイズも可能ですのでご相談ください。
利用用途
- PPAサービス事業者や小売電気事業者による余剰電力を活用した発電計画の作成
- 蓄電池システムの充放電最適化計画
- VPP技術を活用した電力システムの最適運用
- V1G※5/V2G※6技術を用いたEV最適制御
- EMSとの連携によるエネルギー需給管理の最適化
- エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI
エネルギー事業者様向けに特化した高精度な気象情報を提供するWebAPIです。
太陽光発電に重要な日射量・太陽光発電出力の推定・予測情報や、エネルギーマネジメントに不可欠な電力需要や電力取引価格予測もAPIで提供しています。
各APIの詳細は「ENeAPIの4つのカテゴリ」をご覧ください。お問い合わせはこちら。 - 卒FIT世帯を対象とした余剰電力予測 (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
日本気象協会の独自情報である「日射量・太陽光発電出力予測」と「電力需要予測」の技術を組み合わせ、卒FIT世帯を予測対象とした余剰電力予測サービスを提供しています。
卒FIT世帯を対象とした太陽光発電出力予測、電力需要予測、余剰電力予測の提供を通じて、余剰電力買取事業者(リソースアグリゲーターや小売電気事業者など)の余剰電力活用を支援します。 - 電力需要予測 (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
お客さまが取引する電力需要量を電力エリアごとに予測するサービスです。
電力需要は、気温、湿度、日射量、雨、雪などのさまざまな気象要素に大きく影響を受けます。過去の電力需要の特徴を、社会活動・気象条件等の変動要因に基づき解析(エネルギー需要変動解析)し、気象予測スペシャリストの技術と人工知能を融合させることにより、高精度な電力需要予測を実現しました。
お客さまのニーズにあったシステム構築からデータ提供サービスを行い、電力の市場取引や需給管理などに貢献します。 - 日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar (日本気象協会コーポレートサイトへリンク)
「SYNFOS-solar(シンフォスソーラー)」は、独自気象モデルによる高精度な日射量・太陽光発電出力予測サービスです。2つの独自技術によって予測精度を高めています。
これにより、従来の気象モデルに比べて約30%の予測精度向上を実現しました。
独自技術1. 気象モデルの改良 薄曇りなどのさまざまな雲の状態をより正確に表現するため、鉛直方向の空間解像度を細かくした上で、気象モデル内での雲の生成過程を高度化しました。
独自技術2. 予測値の統計補正 日射量の予測精度向上のため、観測データを活用した予測値の統計補正を行いました。
※5 V1G技術:電力系統から電気自動車への単方向の充電制御を行う技術。
※6 V2G技術:電気自動車のバッテリーを利用して、電気自動車から電力系統に電力を供給する双方向の充放電制御技術。
日本気象協会のエネルギー関連サービス
日本気象協会では「個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス」以外にも、気象データと技術を活用したエネルギー事業者様向けの情報提供を行っています。
お気軽にお問い合わせください。
*2025年の夏の予報は2025年の夏も全国的に猛暑 観測史上1位タイの高温となった2024年との違いは?をご覧ください。