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物流に影響した大雨をどう予測したか?GoStopマネジメントシステム活用事例(2025年8月8日(金)~11日(月) 九州地方の大雨)
2025.10.02
大雨の影響で配送計画に影響が出たことはありませんか?
物流の維持には、気象データを活用し、リスクを回避することが重要です。
特に夏季は前線や台風、線状降水帯による大雨の影響を受けるため、気象リスクの回避・リスク情報の共有が、トラックドライバーの安全確保や物流網の維持に欠かせない要素となります。
日本気象協会では「GoStopマネジメントシステム」にて、気象が道路に与える輸送影響リスクを早期に予測し、ドライバーと貨物を守るための輸送判断を支援する情報を提供しています。
今回は、GoStopマネジメントシステムの予測が実際にどのように役立つのかを、2025年8月8日(金)~11日(月)の九州道の予測事例をもとに紹介します。
2025年8月8日(金)~11日(月)大雨と道路への影響
8月7日(木)~12日(火)の九州北部地方の大雨
九州北部地方付近に前線が停滞し、太平洋高気圧の縁を回る水蒸気と中国大陸からの水蒸気が前線付近で合流したことで、大量の水蒸気が九州地方に流れ込み大雨となりました(図1,図2)。

高速道路は緑線で表示

高速道路は緑線で表示
8日(金)には鹿児島県で、11日(月)には熊本県で大雨特別警報が発表されました(表1)。
また、8日(金)は奄美地方を除く鹿児島県で、9日(土)以降は九州北部を中心に線状降水帯がたびたび発生し、顕著な大雨に関する気象情報が複数回発表されました(表2)。
発表対象時間 | 対象 |
---|---|
8日(金)05:00 ~ 8日(金)13:30 | 鹿児島県(霧島市) |
11日(月)00:20 ~ 11日(月)15:45 | 熊本県(玉名市・長洲町) |
11日(月)05:25 ~ 11日(月)15:45 | 熊本県(宇城市・八代市・氷川町) |
11日(月)08:10 ~ 11日(月)15:45 | 熊本県(上天草市) |
11日(月)09:15 ~ 11日(月)15:45 | 熊本県(天草市) |
発表時刻 | 対象 |
---|---|
8日(金)01:07 | 鹿児島県(奄美地方を除く) |
8日(金)04:47 | 鹿児島県(奄美地方を除く) |
9日(土)23:47 | 福岡県 |
10日(日)12:17 | 福岡県 |
10日(日)13:37 | 山口県・福岡県 |
10日(日)18:17 | 福岡県 |
10日(日)19:57 | 福岡県・大分県 |
10日(日)22:07 | 熊本県 |
11日(月)00:17 | 長崎県・熊本県 |
11日(月)03:27 | 長崎県 |
11日(月)04:37 | 長崎県・熊本県 |
11日(月)08:47 | 熊本県 |
大雨による高速道路への影響
この大雨により、東九州道や九州道、大分道などの高速道路で通行止めが相次ぎました。
特に九州道では8日(金)から12日(火)にかけて、主に以下の区間で通行止めとなりました(表3)。
区間 | 開始時間 | 解除時間 |
---|---|---|
鹿児島北IC~鹿児島IC | 8日(金) 00:06 | 8日(金)11:18 |
鹿児島北IC~溝辺鹿児島空港IC | 8日(金)00:06 | 9日(土)06:00 |
溝辺鹿児島空港IC~栗野IC | 8日(金) 00:06 | 11日(月)02:00 |
南関IC~菊水IC | 11日(月)13:20 | 12日(火)07:27 |
菊水IC~植木IC | 11日(月)00:05 | 12日(火)07:27 |
植木IC~熊本IC | 10日(日)21:42 | 12日(火)07:27 |
松橋IC~八代IC | 11日(月)02:45 | 12日(火)07:27 |
八代IC~人吉IC | 11日(月)04:40 | 12日(火)19:21 |
GoStopマネジメントシステムによる道路の輸送影響リスク予測
8月5日(火)の予報
GoStopマネジメントシステムでは、九州道において8月5日(火)の段階で、8日(金)以降に通行警戒(速度規制が強化される・事故のリスクが高まる)や厳重警戒(輸送影響リスクが最も高く、最悪通行止めとなる可能性)を予測しました(図3)。

8月7日(木)朝の高速道路影響予測
8月7日(木)5時の段階では、インターチェンジ単位での影響予測表において、8日(金)0時以降、雨による通行止めが1日以上続いた区間において厳重警戒や通行警戒を予測し、輸送影響リスクが高いことを予測していました(図4)。

8月8日(金)17時の高速道路影響予測
8日(金)の17時の予測では、10日(日)21時以降、通行警戒を、11日(月)明け方には厳重警戒を予測し、大雨により通行止めとなった区間において輸送影響リスクが高いことを予測していました (図5)。

予測情報が物流業務に与える効果
GoStopマネジメントシステムでは「6日先予報」として、最大6日前から、今後の荒天可能性による輸送影響リスクをお伝えします。予測の対象は高速道路、国道、鉄道、海運(港湾・航路)、航空で、様々な輸送機関における気象リスクの把握が可能です。
最大6日前から輸送リスク情報を把握することで、リスクが見込まれるエリアでの荷主企業との事前調整、輸送計画の見直しができ、遅延・未納品の回避につながります。
また、荒天が近くなると「高速道路影響予測」で、1時間単位のICやJCTごとの詳細な予測を提供します。
予測情報は、通行注意(速度規制などの可能性がある)、通行警戒(速度規制が強化される・事故のリスクが高まる)、厳重警戒(輸送影響リスクが最も高く、最悪通行止めとなる可能性)に分かれています。
この情報から、配送継続の可否や輸送の代替手段を検討、ドライバーだけでなく倉庫員を含めた従業員全員の安全確保に配慮して施策を決定することができます。
*F-LINE株式会社様のGoStopマネジメントシステム活用事例
GoStopマネジメントシステムについて
GoStopマネジメントシステムは全国の高速道路、国道、鉄道、海運(港湾・航路)、航空を対象に、気象状況が各種道路・施設に与える輸送影響リスクを、悪天候の最大6日前から地図や表によりひと目で確認できるWebサービスです。
GoStopマネジメントシステムをご利用いただくことで、物流に影響を及ぼすような気象災害時に、事前の輸送計画作成や輸送モードの切り替え、荷主企業との円滑な調整を実現します。
さらに、GoStopマネジメントシステムでは夏季には大雨や台風時の暴風・越波による輸送影響リスク情報、冬季には大雪や吹雪における輸送影響リスク情報を提供しており、通年ご活用いただけます。
GoStopマネジメントシステムは月額定額制にてご利用可能です。
提供情報や利用料金などの詳細は、お問い合わせください。
その他、日本気象協会では海洋向け気象海象情報を提供する「海洋向け気象情報サービス」、1kmメッシュの高精度な気象データ(過去実況値、気象予測)を取得できる「Weather Data API」、資材調達・生産総数策定にも役立つ「2年先長期気象予測」など、様々な気象データの提供・コンサルティングを行っています。
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