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日本気象協会の天気予報精度検証結果(2023年)
2024.04.03
「自然界と調和した社会の創生」という企業ミッションを掲げている日本気象協会は、「気象のチカラ」を活用して、社会的な課題解決と新たな価値創造に向けた取り組みを推進しています。
「気象のチカラ」で人や社会の価値を創造していくために鍵となるのが「気象予報の精度の高さ」です。
日本気象協会は2023年に気象予測モデル「JWA統合気象予測」を開発し、日本気象協会が提供している各種気象サービスに対して高精度・高頻度・高解像度の気象予測を提供しています。
*「JWA統合気象予測」については【日本気象協会】JWA統合気象予測をご覧ください。
2023年の天気予報精度検証結果
今回は2023年1月から12月までの毎朝5時に発表した全国の天気予報において、「雨が降ると予報した日に、実際に雨が降ったか」という点に着目した「朝5時発表の当日の降水の有無の適中率」(以降、「当日の降水の有無の適中率」と表記)について、気象庁と日本気象協会を比較しました。
この結果、日本気象協会「JWA統合気象予測」の2023年の1年間の「当日の降水の有無の適中率」は88%になりました。
同じ評価結果を公開している気象庁の各月の当日の降水の有無の適中率と比較したところ、7月を除く11ヶ月において「JWA統合気象予測」の当日の降水の有無の適中率が気象庁を上回るか同等の結果となりました。
「当日の降水の有無の適中率」の算出方法
「当日の降水の有無の適中率」は気象庁が定めている天気予報の検証指標に基づき、予報と実況の降水の有無を比較して予報の適中・不適中を判定し、集計しています。
検証の対象とする予報と時間帯
- 予報の発表時間:朝5時発表の予報
- 対象となる実況の時間:その日の5時から24時
予報と実況の地点
- 実況:発表官署の所在している一次細分区域内のアメダス地点(約600地点)
- 予報:実況のアメダス地点に対応する「JWA統合気象予測」の予測地点
降水の有無の評価
- 降水あり:降水量1mm以上
- 降水なし:降水量1mm未満
予報と実況の対比表(分割表)
予報 (JWA統合気象予測) | ||||
---|---|---|---|---|
降水あり | 降水なし | 計 | ||
実況 (アメダス地点観測) |
降水あり | A | B | N1=(A+B) |
降水なし | C | D | N2=(C+D) | |
計 | M1=(A+C) | M2=(B+D) | N=(A+B+C+D) |
N:全予報数
適中率は期間中の全予報に対する総適中回数の割合となり、下記で算出されます。
適中率(%) = (A+D)÷N×100
対象期間
- 対象期間:2023年1月~12月(1ヶ月ごと)
- Weather Data API
1kmメッシュで任意地点の気象データ(過去実況値、気象予測)を最大8週先まで取得できる天気予報API(Web API/JSON形式)です。 - ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」
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気象データのビジネス活用ヒントや前年比較、30日先までの1kmメッシュ予報、大雨・暴風・降雪の気象災害リスク情報など、アプリで手軽にビジネスに関連する気象データを確認できます。 - 気象予測配信サービス
過去の実況値から、直近の天気予報、3か月以上先の天気や気温の傾向まで、ニーズに合わせて情報を提供します。 - 売りドキ!予報
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日本気象協会では波浪解析技術を使って、精度の高い海洋向け気象海象情報を提供します。
過去データも豊富に蓄積しているため、波浪や潮位の長期変動や局地的な統計解析をコンサルティング含めて提供します。 - 物流向けGoStopマネジメントシステム
気象状況が輸送手段に与える輸送影響リスク情報を提供し、物流業務において命と荷物を守る判断をサポートするWEBサービスです。
*検証方法の詳細は【気象庁】降水有無の検証をご覧ください。
予報精度の評価や精度指標の使い方
今回の精度検証で使用した「当日の降水の有無の適中率」は、朝5時発表の予報をもとに、その日の5時から24時までに合計で1mm以上の降水があるかどうかを評価しています。
このため、ある地点で雨が降る時間帯が予報と実況で異なっていたとしても当日のどこかの時間帯で雨が降れば(もしくは雨が降らなければ)、天気予報が当たった(適中)として評価されます。
これにより、精度の高いという結果が算出されやすい指標であるとも言えます。
日本気象協会では、ある地点で当日どこかの時間帯で雨が降るという予報だけでなく、“その日の14時に雨が降り出すと予想したら、実際にその時間帯から雨が降り出す”といった1時間ごとの天気予報も適中させることが必要であると考えており、予報精度の向上に努めています。
「JWA統合気象予測」と予報精度向上の取り組み
日本気象協会では、独自開発した「JWA統合気象予測」を2023年から運用し、防災、道路鉄道向け情報、商品需要予測、再生可能エネルギー活用支援、メディア向けやコンシューマ向け情報など、あらゆる気象サービスで提供してきました。
この予測は、独自の数値予報モデルSYNFOS(シンフォス)を含めた国内外の複数機関による数値気象予測モデルを統合し、高精度・高頻度・高解像度な気象予測を実現しました。
「JWA統合気象予測」は、高度な気象データであらゆるビジネスを支えるコア技術として展開しています。
記録的な大雪となり、大規模な立ち往生が発生した2022年12月18日の新潟県での24時間累積降雪量の事例では、「JWA統合気象予測」の予測は、守門・金山・只見の大雪を予想していて、降雪の範囲・量ともに、観測値(アメダス)とよく一致していることが分かります。
「JWA統合気象予測」は、過去の気象データや気象学的な知見を用いて、各モデルに存在する「予測の癖」を直す補正処理や、各モデルの予報精度に応じた統合処理を行うことにより、精度の高い予測をより細かく算出します。
これにより、雨が降ると予想したのに実際には降らなかった(予報の空振り)事象や、雨が降らないと予想したのに実際には降ってしまった(予報の見逃し)事象が少ない、バランスの良い天気予報を実現しました。
*日本気象協会の予測技術についてはFactもご覧ください。
日本気象協会の天気予報サービス
気象は原材料の生産、商品の製造、物流から商品売上、来店客数など、ビジネスのあらゆる面に影響を与えます。
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