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需給調整市場(三次調整力②)価格予測とは?
スポット市場との戦略的活用で電力取引戦略の高度化、収益最大化を支援
2026.02.20
本記事でわかること
- 需給調整市場価格が変動する要因
- なぜ30分単位の価格予測が重要なのか
- スポット市場との戦略的な使い分け方法
- 日本気象協会の電力取引価格予測サービスの特長
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力取引市場では、時期や商品によって価格の変動が大きくなる場合があります。
特に三次調整力②(注1)は、再生可能エネルギーの予測誤差への対応商品として設計されており、気象条件の影響を強く受けます。
さらに2025年3月からは「30分ブロック単位の入札」が導入され、より精緻な価格予測と戦略設計が求められる環境となりました。
こうした市場環境を踏まえ、日本気象協会は従来の「プライス予測(電力取引価格予測)」を拡充し、需給調整市場(EPRX(注2)が運営)に対応した「需給調整市場価格予測」の提供を2026年1月22日から開始しました。
注1) 三次調整力②
FIT特例制度①およびFIT特例制度③を利用している再生可能エネルギーの予測誤差に対応する商品。多様な電源リソースが参加できるように設計されている。
注2) EPRX(Electric Power Reserve eXchange)
一般社団法人 電力需給調整力取引所。電力の需給バランスを調整するための「調整力」を、広域的かつ効率的に取引する需給調整市場の運営主体。
目次
なぜ、需給調整市場価格の予測が重要なのか
需給調整市場価格(三次調整力②)は、以下の要素によって変動します。
- 再エネ発電量の変動(気象影響)
- 電力需要の変動
- 調整力募集量(注3)
- スポット市場価格との関係
特に、再エネ予測誤差は調整力募集量に直接影響します。
冬季寒波や猛暑による需要急増、春や秋の夕方の照明需要の立ち上がり、風況急変などによる再エネ予測誤差は、需給調整市場価格の変動要因となります。
そのため、価格予測には単なる過去価格分析だけでなく、気象予測とその不確実性情報を組み込むことが不可欠です。
需給調整市場価格はスポット市場以上に不確実性が高く、入札判断の巧拙が収益に直結します。価格変動を事前に把握できるかどうかが、競争力の差を生みます。
注3) 調整力募集量
需給調整市場において、一般送配電事業者が周波数調整や需給調整を行うために必要な調整力の調達量。
日本気象協会の「需給調整市場価格予測」とは
本サービスでは、需給調整市場における三次調整力②の翌日落札価格を30分単位(1日48コマ)で予測します。
電力需要予測および再エネ出力予測に関する豊富な提供実績を活かし、気象リスクを組み込んだ高精度な市場価格予測を提供します。
これにより、売電先市場の最適化、系統用蓄電池(注4)の収益最大化、売電計画の策定など、エネルギー関連事業者の戦略的な市場取引を支援します。
特徴
- 2025年3月から導入された「30分ブロック単位の入札」に対応
- 需給調整市場価格やスポット市場価格、電力需要に加え、気象予測データとその不確実性情報を考慮し、予測の信頼性を向上
- 卸電力取引市場(JEPX(注5)が運営)を対象とした「スポット市場価格予測」と組み合わせることで、売電先市場を戦略的に選択可能
注4) 系統用蓄電池
電力系統(送配電網)に直接接続される大規模な蓄電池。電力網全体の安定化と需給調整を行う。
注5) JEPX(Japan Electric Power Exchange)
卸電力取引所。発電事業者と小売電気事業者などが需給に基づいて電力の売買を行う。
「需給調整市場価格予測」の概要
提供仕様
| 予測種別 | 翌日予測 |
|---|---|
| 予測期間 | 翌日受渡分 |
| 発表回数 (発表時刻) |
1日2回 (受渡日の前々日15時、前日08時) |
| 予測対象 |
需給調整市場 三次調整力②(30分値、1日48コマ) 最高/平均/最低 落札価格 単位:円/kW |
| 提供方法 | オンライン配信(API連携、メール配信など) |
| ファイル形式 |
JSON形式・CSV形式(API) XML形式(メール) |
※今後、一次調整力・二次調整力①②・三次調整力①(注6)にも順次対応予定です。
注6) 一次調整力・二次調整力①②・三次調整力①
需給調整市場で取引される対象商品。十数分~数時間、数秒~数分といった調整力の応動時間や指令方式などの違いにより「一次調整力」「二次調整力①②」「三次調整力①」などに分類されている。
サービス仕様の詳細はプライス予測(電力取引価格予測)の需給市場調整価格予測をご覧ください。
スポット市場価格予測との併用で、売電先を最適化
本サービスは、卸電力取引市場(JEPX)の「スポット市場価格予測」と併用することで、より高度な市場選択が可能になります。
例えば、
- 需給調整市場の落札価格予測が前日スポット市場価格予測より高いときに需給調整市場に入札
- 逆(前日スポット市場価格予測が需給調整市場の落札価格予測より高い)の場合はスポット市場に入札
といった判断が可能になります。
「スポット市場価格予測」と「需給調整市場価格予測」の予測結果の例
※一般社団法人 電力需給調整力取引所「需給調整市場 取引実績データ」をもとに日本気象協会にて編集
詳しくはプライス予測(電力取引価格予測)をご覧ください。
想定される活用シーン
- エネルギー関連事業者による売電先電力市場の判断
- 蓄電所事業者による系統用蓄電池の売電収益の最大化
- リソースアグリゲーター(注7)による売電計画の策定、収益化
- 電力トレーディング事業者による売電収益性の検討
注7) リソースアグリゲーター
複数の分散型電源や蓄電池などを束ねて、需給調整市場などに一括して参加する事業者。リソースの集約により調整力を提供する。
今後の対応拡張
現在、本サービスは三次調整力②を対象としていますが、今後は一次調整力・二次調整力①②・三次調整力①への対応も予定しています。
調整力市場の拡大とともに、価格予測の重要性はさらに高まると考えられます。
需給調整市場価格予測のサービス詳細はこちら
需給調整市場価格予測は、日本気象協会が提供する「プライス予測(電力取引価格予測)」の新メニューです。
| スポット市場価格予測 | 【NEW】 需給調整市場価格予測 |
|
|---|---|---|
| 市場区分 | 卸電力取引市場(JEPXが運営) | 需給調整市場(EPRXが運営) |
| 予測対象 | 前日スポット市場 | 三次調整力② ※一次、二次①②、三次①にも順次対応予定 |
サービス仕様、API連携、スポット市場価格予測との組み合わせ活用については、以下をご確認ください。
導入検討や個別相談については、同ページからもお問い合わせいただけます。
*関連サービス:【日本気象協会】電力需要予測
よくある質問
Q.需給調整市場価格はどのように予測しますか?
A.日本気象協会の需給調整市場価格予測では、需給調整市場価格、スポット市場価格、電力需要、気象データなどを統合することで、高精度な予測を行います。
Q.取引単位の30分コマ化(3時間ブロックからの変更)には対応していますか?
A.はい、対応しています。
Q.API連携は可能ですか?
A.可能です。JSON・CSV形式で提供しています。