News

お知らせ
Topics

2026年6月の落雷は例年の半分程度|雷が少なかった要因と夏・秋の企業リスク

2026.07.31

2026年6月の全国の落雷数は、例年(2018~2025年平均)の約半分となりました。全国的に降水量が多かった一方、雷雲が発達しにくい気象条件が重なり、「雨は多いのに雷は少ない」特徴的な月となりました。

今後、高温傾向からの局地的な雷雨や、夏から秋にかけて台風に伴う雷が増える可能性があるため、企業では施設周辺の雷の実況・予測に基づく備えが重要です。

本記事では、発電施設や工場の設備管理、建設・保守点検などの屋外作業に携わる事業者に向けて、2026年6月に雷が少なかった気象的な要因と夏から秋の見通し、企業が備えるべき落雷リスクを解説します。

この記事のポイント

  • 2026年6月の全国の落雷数は、例年(2018~2025年平均)の約半分となり、九州エリアをのぞくすべての地域で例年より少なくなりました。
  • 全国的に降水量が多かった一方で、太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、大気の状態も比較的安定していたため、降水量が多くても雷は少ない6月となりました。
  • 夏から秋は高温傾向や台風の接近に伴い、雷の発生が増える可能性があるため、施設周辺の落雷位置や雷活動度の実況・短時間予測を設備管理や作業判断に活用することが重要です。

目次

2026年6月の落雷傾向|雨は多かった一方、落雷数は例年の約半分

2026年6月の全国の落雷数は例年の約半分

2026年6月の全国の落雷数は、例年(2018~2025年平均)の半分程度となりました。

日本気象協会は、気象庁の雷監視システム(LIDEN※1)による観測データに基づき、2026年6月の落雷(対地放電※2)の発生状況を分析しました。

図1は、日本付近を10kmメッシュで区切り、各メッシュ内の1カ月間の落雷発生数を集計し、色分けしたものです。2026年6月は全国各地で落雷が発生したことがわかります。九州・四国・近畿・東海・関東にかけては帯状の落雷分布がみられたほか、北海道や東北でも広い範囲で落雷が発生しました。

日本気象協会 2026年6月の落雷数
図1 2026年6月の落雷数

6月上旬は梅雨前線が沖縄付近から本州の南海上に位置していましたが、6月中旬以降は前線が北上し、九州から関東にかけて広い範囲で雨となり雷も発生しました。
また、6月13日には北海道や東北で上空の寒気の影響により大気の状態が不安定となり、落雷が集中する事例も確認されました。

※1 LIDEN:LIghtning DEtection Network systemの略称で、気象庁の雷監視システムのこと。雷の種類、位置、発生時刻を観測する。

※2 対地放電:雷雲と大地の間の放電で、落雷ともいう。

図2は、同じくLIDENによる観測データをもとに、日本全域(図1のエリア)の月ごとの落雷数について、例年※3の値と2026年度(6月まで)の集計値を比較したものです。

例年(グレー)の棒グラフから、毎年、6月頃から全国的に落雷数が増加し、8月にピークを迎える傾向がみられます。これは、夏季特有の熱雷※4や、台風の接近・通過に伴って発生する雷が大きく影響しているためです。

しかし、図2の2026年度(赤)の棒グラフを見て分かるように2026年6月の全国の落雷数は例年の半分程度となりました。

日本気象協会 日本全域の月ごとの落雷数(例年・2026年度)
図2 日本全域の月ごとの落雷数(例年・2026年度)

※3 例年:ここでは過去8年(2018~2025年度)の月ごとの平均値

※4 熱雷:強い日射で地表付近が加熱され、発生した上昇気流に伴い発達した積乱雲による雷。

2026年6月の地域別の落雷傾向は九州エリアを除いて例年より少ない

表1は、2026年6月の日本全域および地域別の落雷傾向を示したものです。
例年と比較すると、2026年6月の落雷数は、九州エリアを除くすべての地域で少ない結果となりました。

表1 2026年6月の落雷数
エリア 例年(2018~2025年)6月との比較 前年(2025年)6月
との比較
日本全域 少ない やや多い
北海道 やや少ない やや少ない
東北 少ない 多い
東日本 少ない やや少ない
近畿・中国・四国 少ない やや少ない
九州 同程度 やや多い
沖縄・奄美 少ない やや多い
本レポートでの落雷数の比較・エリア区分に関する用語

※本レポートの落雷数の比較に関する用語

かなり多い 例年(前年)の200%以上
多い 例年(前年)の150%以上~200%未満
やや多い 例年(前年)の110%以上~150%未満
同程度 例年(前年)の90%以上~110%未満
やや少ない 例年(前年)の60%以上~90%未満
少ない 例年(前年)の30%以上~60%未満
かなり少ない 例年(前年)の30%未満

※本レポートでのエリア区分

エリア区分

「雨は多いのに雷は少ない」特徴的な6月に

2026年6月は「雨は降った」一方で「雷は少なかった」月となりました。

台風の影響もあり、図3のとおり全国的に平年を上回る降水量となりましたが、図1に示すように陸上で50回以上の落雷が発生したメッシュは一部にとどまりました。

日本気象協会 2026年6月の平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布
図3 2026年6月の平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布
2026年6月の天候(2026年7月1日 気象庁発表)

なぜ2026年6月は例年より雷が少なかったのか

梅雨前線が北上しにくく、東北・東日本エリアでは雷雲が発達しにくかった

2026年6月は、オホーツク海高気圧がたびたび発達した一方、日本付近では太平洋高気圧の北への張り出しが例年より弱い状態が続きました。そのため梅雨前線が北上しにくく、東北エリアや東日本エリアでは梅雨前線に伴う雷雲が発達しづらかったことから、落雷の回数も少なくなったと考えられます。

西日本では雨が多くても大気が安定し、積乱雲が発達しにくかった

近畿・中国・四国エリアや九州エリア、沖縄・奄美エリアでは、梅雨前線や台風の影響を受ける日があり、図3のとおり日照が少なく気温も低い傾向となりました。さらに上空への寒気の流入が少なく、大気の状態が比較的安定していたため、積乱雲が発達しにくい状況となりました。

その結果、降水量は多かったものの、落雷数は例年と同程度か例年より少なくなったと考えられます。

前年(2025年6月)より落雷数が多い地域は、前年の落雷数が少なかったため

一方、前年の2025年6月と比較すると、日本全域では落雷数がやや多い傾向となり、東北エリア、九州エリア、沖縄・奄美エリアでは前年を上回る落雷数となりました。

2025年6月の東北エリアは平年に比べて梅雨入りが遅く、6月上旬・中旬は晴天の日が多くなりました。同じく前年の九州エリアおよび沖縄・奄美エリアでは、6月中旬の後半以降に太平洋高気圧が本州付近へ張り出す日が多く、晴天の日も多くなりました。

このように、これらの地域では前年の6月は梅雨前線の影響を受ける日が少なく、落雷数も少なかったと考えられます。2026年6月は、各地で梅雨の時期と重なり雨の日も多かったことから、前年の6月と比べると相対的に落雷数が多くなったと考えられます。

2026年8月~10月は台風に伴う雷に注意

気象庁が7月21日に発表した3か月予報によると、2026年8月~10月の平均気温は、沖縄・奄美では平年より高く、その他の地域では平年並みか平年より高くなる見通しです。
高温傾向が続いて、日中の強い日射による対流活動も活発になると、局地的な雷雨が発生しやすくなります。

また、日本気象協会が発表した2026年の台風の見通し※5では、日本列島への台風の接近数が8月は「平年並みか多い」、9月は「平年並み」となっています。

気象庁によると、2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみられ、秋にかけてエルニーニョ現象が続く見込みです。エルニーニョ現象が発生している年は、台風が発生してから日本付近へ接近するまでに海上を進む距離が長くなり、十分に発達した状態で接近するおそれがあります。接近数が多くなくても台風の影響が大きくなる可能性があります。

今後は局地的な雷雨と、台風による落雷の両方に注意が必要です。

※5 2026年の台風傾向 8月は日本列島への接近に注意、秋は発達した台風の影響も

落雷数だけでは判断できない、夏から秋の事業リスク

落雷数が少ない月でも、局地的な被害は発生し得る

全国の落雷数が例年より少ない月でも、特定の地域や施設周辺で落雷が集中する可能性があります。

2026年6月にも、北海道や東北で落雷が集中した事例が確認されており、全国の月間落雷数だけで個別施設のリスクを判断することはできません。また、一度の落雷でも、重要な設備や通信機器の近くで発生すれば、事業への影響が大きくなるおそれがあります。離れた位置での落雷でも、事業拠点に関わる送電線への影響から瞬時電圧低下が発生し、設備への影響の可能性もあります。

企業では、全国的・月間の傾向に加え、事業拠点周辺の落雷位置や雷活動の状況を確認することが重要です。

落雷が発電設備・工場・屋外作業に与える影響

落雷は、設備の故障や停電だけでなく、作業の中断や復旧対応など、企業活動に幅広い影響を及ぼします。

  • 太陽光・風力発電施設、蓄電設備:発電設備や制御・通信機器の故障、設備停止につながるおそれがあります。
  • 工場:生産設備や情報通信機器の停止により、製品の品質低下の他、生産計画や出荷に影響が生じる可能性があります。
  • 建設現場・設備の保守点検:作業員の安全確保のため、雷の接近状況に応じて作業の継続や中断を判断する必要があります。

夏から秋は施設周辺の実況・短時間予測が重要

夏から秋にかけては、局地的な雷雨や台風に伴う雷が急速に発達する可能性があるため、施設周辺の実況と短時間予測に基づく判断が重要です。

落雷位置の実況から実際に雷が発生した場所を確認し、雷活動度の実況・予測から雷の接近や今後の活発化を把握することで、設備管理や屋外作業の判断に活用できます。複数の施設を管理する場合は、各地点の雷情報を自社の監視システムに取り込み、通知や警戒態勢の切り替えにつなげる方法もあります。

こうした判断を迅速に行うためには、施設周辺の落雷位置や雷活動度の実況・短時間予測を、継続的に確認できる仕組みが重要です。

雷の実況・予測データを設備管理や作業判断に活用する

これから夏本番、本格的な雷シーズンを迎えます。工場や建設現場、再生可能エネルギー施設、イベント会場などでは、効率的な態勢判断や設備管理、作業の安全確保のため、雷への適切な備えが必要です。

日本気象協会では、これらの現場で活用できる雷サービスとして、「エネルギー事業者向けAPIサービス 『ENeAPI』」「雷アラートWeb」「オンライン気象情報サービスMICOS」「雷メール通知サービス」など、さまざまな事業者さまの用途に応じた雷監視・予測サービスを提供しています。

  • エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI

    エネルギー事業者様向けに高精度な気象情報を提供するWebAPIです。
    リスク情報APIとして、落雷位置を返す「LIDEN 落雷位置実況API」、雷活動度の実況と予測を返す「雷ナウキャスト 雷活動度実況API」「雷ナウキャスト 雷活動度予測API」を提供しています。
    各APIの詳細は「ENeAPIの4つのカテゴリ」をご覧ください。お問い合わせはContact Usまで。

  • 雷アラートWeb

    「雷アラートWeb」は、雷の発生を速やかに検知し、Web画面のポップアップと音声で通知するPCブラウザ向けWebサービスです。お客さま自身で、検知対象の雷の種類や雷検知エリアを自由に設定することができます。

    日本気象協会 雷アラートWebの提供イメージ
    雷アラートWebの提供イメージ
  • オンライン気象情報サービスMICOS

    オンライン気象情報サービス「MICOS(マイコス)」は、使いやすくデザインされた気象情報Webサービスです。お客さまのご利用用途に合わせて必要な気象情報をカスタマイズ可能で、雷の情報は「雷観測情報」「雷ナウキャスト」「JWA1kmメッシュ予測(落雷確率)」を提供しています。
    ※「雷メール通知サービス」はMICOSのオプションサービスです。

雷アラートWeb、オンライン気象情報サービスMICOSの詳細は【日本気象協会】エネルギー事業者向け雷監視・予測サービスをご覧ください。

本レポートのプロフェッショナル紹介

永松 慎平(ながまつ しんぺい)一般財団法人 日本気象協会 環境・エネルギー本部 エネルギー事業部 予測システム課

永松 慎平(ながまつ しんぺい)

一般財団法人 日本気象協会 環境・エネルギー本部 エネルギー事業部 予測システム課

岡山大学大学院(地球科学専攻)修士課程修了。
システム担当としてエネルギー事業者向けに気象情報提供を行う一方、気象情報提供分野の統括として、雷サービスの企画・開発を行っている。

当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。
本資料は、当社が信頼できると判断した執筆時点の各種データに基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。
本資料のご利用に際しては、ご自身の判断にてなされますようお願い申し上げます。
また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。

本資料の全文または一部を転載・複製する際は著作権者の許諾が必要ですので、日本気象協会までご連絡ください。
商品ごとの情報やコンサルティングにつきましても当社までお問い合わせください。