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大雪とは?日本海側・太平洋側で異なる原因と企業が確認すべき気象情報

2026.10.30

大雪は、日本海側では強い寒気と冬型の気圧配置、関東など東・西日本の太平洋側では南岸低気圧などによって発生します。雪の降る地域や時間帯、降り方によって、輸送や拠点運営への影響も変わります。

物流・拠点運営・供給計画に関わる担当者は、冬全体の傾向を把握したうえで、数日前から当日までの気象情報を確認し、計画を更新していくことが大切です。

この記事のポイント

  • 日本海側と太平洋側では、大雪につながる主な気象条件が異なります。
  • 暖冬・少雪傾向でも、短期間・局地的な大雪は起こり得ます。
  • 企業の大雪対策としては、長期予報から直前の予測まで、対象期間に合わせて情報を使い分け、準備と判断を進めることが重要です。

この記事では、大雪の主な原因と、企業の判断に役立つ情報の見方を解説します。

目次

大雪とは?地域によって異なる雪の降り方と注意点

気象庁の予報用語では、大雪は「大雪注意報基準以上の雪」とされています。
季節予報や天候情報では、数日以上にわたる降雪によって、社会的に大きな影響をもたらすおそれのある雪を指します。

大雪警報・注意報の基準は全国一律ではなく、地域の災害特性に応じて設定されています。
平地と山地で基準が異なる場合もあるため、自社拠点や輸送経路に関わる地域の基準を確認しておくと、気象情報を読み取る際に役立ちます。

*【気象庁】特別警報の指標及び危険警報・警報・注意報発表基準一覧表

また、予報や観測に使われる「降雪量」と「積雪深」には、次の違いがあります。

用語 意味 確認する視点
降雪量 一定期間に新たに積もった雪の深さ これからどの程度、雪が増えるか
積雪深
(積雪の深さ)
その時点で地面に積もっている雪の深さ すでにどの程度、雪が積もっているか

例えば「24時間降雪量」と「積雪の深さ」は、異なる情報です。数値を比較するときは、対象期間や地点も合わせて確認する必要があります。

大雪は、道路の通行障害、鉄道・航空の運休や遅延、停電などを引き起こし、企業活動に影響します。

雪の少ない地域では、少量の積雪でも交通障害が発生しやすいため、降雪量の数字に加えて、地域や交通機関の状況を見ることが大切です。

大雪になりやすい主な気象条件

日本海側|冬型の気圧配置と強い寒気

日本海側の大雪は、西に高気圧、東に低気圧がある「西高東低」の冬型の気圧配置で起こりやすくなります。

【tenki.jp】冬型の気圧配置

大陸から流れ込む冷たく乾いた空気が、日本海から熱と水蒸気を受け取ることで、雪雲が発達します。この雪雲が日本列島に流れ込み、日本海側を中心に雪を降らせます。
一般に、強い寒気が流れ込むと雪雲が発達しやすくなります。また、冬型の気圧配置が続くと、降雪が長引き、大雪となることがあります。

日本海側|JPCZによる局地的大雪

JPCZは「日本海寒帯気団収束帯(Japan-sea Polar airmass Convergence Zone)」の略称で、冬の日本海上に形成される、季節風が合流する帯状の領域です。
この領域では雪雲が帯状に発達し、同じ地域に流れ込み続けると、短時間で顕著な大雪となることがあります。

日本海側の広い範囲が雪の予報でも、特に強く降る地域は限られる場合があるため、雪雲の流れ込む位置にも注意が必要です。

太平洋側|南岸低気圧と気温の組み合わせ

関東などの太平洋側では、本州の南岸付近を進む「南岸低気圧」が大雪の原因となることがあります。

【tenki.jp】南岸低気圧

雨になるか雪になるかは、低気圧の進路や発達の程度、地上付近から上空までの気温や湿度などによって変わります。
これらの予測の違いが、雪の降る範囲や降雪量の違いにつながるため、予報の更新に合わせて見通しを確認することが重要です。

大雪と風雪・荒天が重なる場合

強い風に雪が伴うと、見通しが悪くなることがあります。また、雪が降っていなくても、積もった雪が風で舞い上がる「地吹雪」が発生することがあります。輸送や屋外作業への影響を見る際は、降雪量に加えて、積雪の状況や風の強さも確認することが大切です。

「爆弾低気圧」と呼ばれる急速に発達する温帯低気圧では、暴風や高波に加え、気温などの条件によって大雨・大雪となることがあります。対象地域で、雪・風・波のどの影響が、いつ強まるかを確認することも重要です。

暖冬・少雪傾向でも大雪への備えが必要な理由

冬全体の気温が高い、あるいは降雪量が少ないという見通しでも、一時的な強い寒気やJPCZなどによって、大雪になることがあります。季節全体の傾向と、局地的・短期的な大雪のリスクは、分けて捉える必要があります。

季節予報や長期予報は、冬季の体制や計画を検討するための情報です。その後、早期天候情報や数日前の予報を使って、影響する地域や時期を絞り込んでいきます。

長期的な気候変動についても、気象庁の「日本の気候変動2025」では、平均的な降雪量が減っても、本州の山間部など一部地域では、極端な大雪時の降雪量が増える可能性が示されています(確信度:中程度)。
なお、この評価は長期的な将来予測であり、今冬の見通しとは区別して考える必要があります。

今冬の全体傾向は今冬の予報で解説しています。

暖冬でも大雪による交通障害が発生した事例

2023~2024年の冬は、全国的に気温がかなり高く、日本海側の降雪量も少ない傾向となりました。しかし、暖冬だったからといって、雪の影響がなかったわけではありません。

2024年1月24日にはJPCZによって北陸地方や滋賀~岐阜県境方面で記録的な大雪となり、名神高速道路の関ケ原付近で車両の立ち往生が発生し、2月5~6日には南岸低気圧によって関東地方で大雪となり、交通機関や物流に影響が生じました。

日本気象協会では、関ケ原付近の事例で「GoStopマネジメントシステム」により事前に輸送影響リスクを予測していました。また、関東地方の大雪についても、「気象災害リスク予測API」で数日前から降雪の可能性が高まることを予測していました。

詳しくは下記ページをご覧ください。

*関連記事

大雪に備えるために、いつ・何を確認するか

大雪への備えでは、冬全体の傾向を把握する情報と、数日前から直前の状況を確認する情報を組み合わせて活用することが大切です。時期に応じて確認するポイントは、次のとおりです。

確認する時期の目安 確認するポイント 主な情報
シーズン前〜
数週間前
冬全体・地域別の雪の傾向 今冬の予報、雪の傾向予報、季節予報
6〜14日先 雪がかなり多くなる可能性のある地域・時期 早期天候情報(降雪量)
5日前〜2日前 警報級の大雪の可能性、雪が強まる地域・時期 早期注意情報(警報級の可能性)、気象解説情報
前日〜当日 最新の降雪・積雪の見込みと道路・交通の状況 時系列情報、天気分布予報、降雪短時間予報、警報・注意報、道路・交通情報

※降雪量に関する早期天候情報は、11月〜3月に、日本海側を中心とした対象地域で発表されます。

*【気象庁】大雪に関する情報

*【気象庁】早期天候情報について

業務で活用する際は、利用する輸送経路や拠点に合わせて、雪の強まる時間帯や降雪・積雪の見込みを確認することが有効です。

輸送経路への影響リスクを把握する情報や、拠点ごとの気象データを継続的に取得する仕組みを組み合わせることで、業務に必要な情報を利用しやすくなります。

大雪時に見直す輸送・拠点・供給計画

物流・運行管理|前倒し・迂回・停止を判断する

輸送への影響を見る際は、出発地と到着地に加えて、経路上の雪が強まる場所・時間帯・継続時間を確認します。拠点周辺の降雪が少なくても、経路上の大雪が輸送に影響する可能性があります。

こうした雪に関連した見通しは、前倒し出荷、代替経路、運行中止の検討や、荷主との納品時刻・配送条件の調整に活用できます。国土交通省からも大雪時の大型車立ち往生防止対策として、在庫の積み増しや配送時間の前倒し、物資の融通などによって、不要不急の運送依頼を控えるための協力が求められています。

*【国土交通省】物流・自動車局での大雪時の大型車立ち往生防止対策について

施設管理・BCP|出勤・安全確保・物資を確認する

拠点運営では、雪が降り始める時刻、積雪が増える時間帯、降雪後の気温や風の予測が判断材料になります。

例えば、通勤時間帯に雪が強まる見通しは出勤体制の検討に、夜間に積雪が増える見通しは翌朝の構内対応の準備に活用できます。拠点の気象と周辺交通の情報を合わせることで、従業員・来訪者の移動や物資の受け入れに影響する時間帯を捉えやすくなります。

製造・小売・供給計画|入荷遅延と需要変化を分けて考える

供給計画では、自社拠点に加えて、仕入れ先や物流拠点、主要な輸送経路の気象を確認します。一方、大雪の際は、店舗への来店客数の大きな変化や、気温・降雪による商品の需要の変化もあります。合わせて店舗など販売地域の情報と影響を考慮しましょう。

店舗の地域の詳しい時間帯ごとの気象情報を確認することで、次のようなことが検討できます。例えば、前日に翌日分の買い物をお客様に促すことで、来店客数が落ち込む日の売上をカバーしたり、店員の安全で最適な配置を調整したりすることができます。また、過去の入荷・販売データを分析し、適切な量の在庫配置や補充計画を組むことも検討しましょう。それにより、販売チャンスロスや過剰発注・過剰在庫による廃棄ロス削減効果が見込まれます。

大雪リスクへの備えに役立つサービスと関連情報

輸送・拠点運営の判断に活用する

日本気象協会では、輸送経路への影響リスクを把握したい企業や、拠点ごとの気象データを自社システムで利用したい企業に向けたサービスを提供しています。

輸送への影響を先に把握したい場合は「GoStopマネジメントシステム」

日本気象協会の「GoStopマネジメントシステム」は、気象による道路・鉄道・海運・空港への輸送影響リスクを最大6日先まで予測するWebサービスです。

雪の予測と輸送経路への影響を合わせて確認したい場合に役立ちます。時間帯ごとの影響リスクや気象予報士の解説を、運行計画の検討や荷主・納品先との調整に活用できます。

*GoStopマネジメントシステムのサービス詳細を見る

気象データを自社システムに組み込みたい場合は「Weather Data API」

「Weather Data API」は、降雪・気温・風などの気象データに加え、積雪情報をAPIで取得できるサービスです。

複数拠点の降雪・気温などの気象データや積雪情報をまとめて扱い、既存の業務データと組み合わせたい場合に役立ちます。
拠点ごとのデータを自社システムやダッシュボードに取り込み、輸送・施設・供給計画での情報共有や、自社データと組み合わせた分析に利用できます。

*Weather Data APIのサービス詳細を見る

今冬・地域別の見通し

冬全体の傾向や地域別の見通しは、次の関連記事で解説しています。

  • 今冬の予報:冬全体の気温や降水・降雪の傾向を把握する。

大雪に関するFAQ

Q.大雪は日本海側だけで起こりますか?

A.太平洋側でも起こります。関東などでは南岸低気圧が主な原因の一つです。低気圧の進路や地上・上空の気温によって、雪の範囲や降雪量が変わります。

Q.暖冬や少雪の予報でも、大雪は起こりますか?

A.起こり得ます。冬全体の傾向が暖冬・少雪でも、一時的な強い寒気や発達した雪雲によって、短期間・局地的に大雪になる場合があります。

Q.企業は何日前から、何を確認すればよいですか?

A.シーズン前には季節予報で全体の傾向を把握します。その後、対象地域では早期天候情報、5日前〜数日前には早期注意情報や最新の予報を確認し、直前には警報・注意報、「今後の雪」、道路・交通情報を合わせて判断します。日本気象協会の「GoStopマネジメントシステム」では、気象による輸送影響リスクを最大6日前から予測しています。

Q.大雪警報・注意報の基準は地域によって違いますか?

A.異なります。地域の災害特性に応じて設定され、平地・山地で基準が分かれる場合もあります。気象庁の警報・注意報発表基準で、拠点や輸送経路に関わる地域の基準を確認できます。