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「2年先長期気象予測」の活用による食料品・日用品の作りすぎや販売機会ロス削減を試算
~2年先の計画でも1,700億円のロス削減効果(経済効果)を見込む~
2024.10.25
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、2024年6月に発表した気象業界初の長期予測「2年先長期気象予測」(特許取得済み)を商品需要予測に活用することで気象の影響による商品の過剰生産や販売機会の損失を解消した結果、食料品・日用品等のカテゴリーでおよそ1,700億円の経済効果が見込めると試算しました。
これは日本気象協会が発表した気象の影響を受ける食料品・日用品※1(約5,100億円※2)のおよそ1/3に該当します。
およそ1,700億円の金額は約270カテゴリーにおよぶ食料品・日用品の「2年先長期気象予測の活用で削減できるロス」を合算した金額となります。
精度の高い長期気象予測の提供により、日本気象協会は社会の経済損失を防ぎ、生産性を高めることにより持続可能な社会を目指し、企業の発展に貢献していきます。
※1 インテージSRI+(全国小売店パネル調査)データに登録のある食料品・日用品等約270カテゴリーをもとに日本気象協会が解析。全国のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど約6,000店舗での販売実績をもとに推計している。
※2 前年実績を使った場合と比べ、気象を考慮した場合の経済効果額。
詳細は日本気象協会、需要予測の導入による経済効果の試算数値を7年ぶりに更新を参照。
「2年先長期気象予測」による売上予測
日本気象協会では、気象業界で初めてとなる最長2年先までの長期間の気象予測「2年先長期気象予測」を筑波大学 生命環境系 植田宏昭教授の助言・協力のもと開発し、2024年6月に発表しました。
*気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始
「2年先長期気象予測」は、これまでの長期予報よりもリードタイムが長く予測精度も高いことが特徴です。
また月ごとの平均気温、日照時間、降水量について具体的な数値の予測が可能で、台風の接近数や梅雨明け時期などの事象も具体的な数値で予測することができます。
企業では次年度の予算計画や事業計画を立てる際、今年度実績や昨年度実績をもとに売上予測を行うことが一般的です。
しかし気象条件はその年によって異なります。
気候変動の影響でこれまでに経験のない気象現象が発生している昨今、気象予測のビジネス活用ニーズはますます高まっています。
「2年先長期気象予測」は企業での次年度の予算計画や事業計画などで活用いただくことで、根拠ある意思決定を支援しています。
上の図は、前年実績をもとに実施した場合と「2年先長期気象予測」を使って売上予測を実施した場合とでどれほど違いが出るかをシミュレーションしたものです。
たとえば、夏に気象の影響を受けやすい商品である「アイスクリーム」、「日焼け&日焼け止め」、冬に気象の影響を受けやすい商品である「使い捨てカイロ」、「スープ類」では、気象データを売上予測に活用することにより、2年前のタイミングからでも作りすぎや販売機会ロスを3割以上減らせることが分かりました。
夏物商材における気象の影響
2024年夏(6~8月)の日本の平均気温は、2023年夏に並ぶ観測史上1位の高温となりました。
*夏の振り返りと2024年秋後半の天候、秋冬の消費活動
ここ数年の夏を振り返ると「暑かった」という印象が強く残りますが、実は夏の気象の推移や特徴はその年ごとに異なります。
夏物商材の需要が活発に伸び、経済にも強く影響を及ぼす「7月」の気温を振り返ると、2017・2018年は高温で推移しましたが、2019・2020年は一方低温になり、2021年からまた右肩上がりに高温に転じています。
気候変動によりこれまで経験しなかった高温になる年もある一方で、気温の振れ幅は大きく、急に低温に転じる年もあります。
例えば2018年の売上実績を使って2019年の夏物商品の売上予測を行う場合、作りすぎによる廃棄ロスが大量に生じます。
日本気象協会では、このような気象の特徴から生じる需要予測と実績とのズレを少なくし、過剰生産や販売機会の損失などのロスを削減する「商品需要予測コンサルティング」を2014年から実施しています。
従来よりも長期間の気象データをビジネスで活用いただくために、2024年10月からは「2年先長期気象予測」のデータ提供も開始しました。
お客さまの利用形態に合わせたデータ提供のほか、気象データと企業の持つデータを掛け合わせた、2年先までの商品需要予測モデルの開発および提供も可能です。
「2年先長期気象予測」サービス概要
Step1:レポート提供
【レポート内容】
1年半先までの天候解説(項目は以下)
- 月別・エリア別の気温・降水量・降雪量・日照時間
- エリア別の梅雨入り時期・梅雨明け時期
- 月別の台風発生数・接近数
- ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」(→お問い合わせ)
アプリで、30日先までの天気や気温、体感の変化、前年の気象データとの比較、2週間先までの大雨確率・暴風確率などを確認できます。
この先の天気を確認するだけでなく、体感指数の変化から季節の変わり目を捉え、前年値との比較で需要を予測し、気象災害リスク予報で台風の影響の把握・事前対策するなど、手軽に気象データのビジネス活用を始められます。
現在法人のみ、期間限定でβ版アプリを無償提供中。ご希望の方はお問い合わせください。 - Weather Data API(→お問い合わせ)
1kmメッシュで任意地点の高精度な気象データ(過去実況値、気象予測)を取得できる天気予報APIです。
天気、気温、降水確率のほか、日本気象協会独自の人の気温の感じ方の違いを含む「体感指数API」も提供しています。
Weather Data APIは日本域のJapan版、日本国内外のGlobal版どちらもWEBからの申込が可能です。(一部データを除く)
お問い合わせ、お申込みはこちら。
Step2:データ提供 ※2024年10月から提供開始
【データ内容】
2年先までの月別気温・降水量・降雪量・日照時間の予測数値
サービス詳細はこちらをご覧ください。料金詳細はお問い合わせください。
※「2年先長期気象予測」は、特許を取得しています。
日本気象協会の「商品需要予測コンサルティング」では、あらゆる企業やデータホルダーと連携し「2年先長期気象予測」を活用することで、POSデータや広告出稿データ、アパレル販売データ、人流データ、レセプトデータ(医療報酬の明細書)といったさまざまなデータと組み合わせた最長2年先までの需要予測の提供を行う予定です。
これにより、企業では1年以上先の天候による社会影響や商品需要を具体的に把握し、生産計画や販売計画、経営計画を立てていただくことが可能となります。
日本気象協会が提供するビジネス向けの気象データ活用
ビジネスと気象には多くの関連性があり、「世界の全産業の1/3は何らかの気象によるリスクを抱えている」と言われています。
唯一、物理学的に未来を予測することができる「気象」を使って、より正確にビジネスの未来を見通し、ロスを減らしませんか?
日本気象協会では「2年先長期予測」だけでなく、さまざまな高精度予測を使用した気象データの提供と需要予測コンサルティングを行っています。
自社で気象データを活用して、ビジネスの廃棄ロスや機会ロスを減らす場合には、APIやアプリを活用いただくと、手軽に気象データの活用が可能です。
日本気象協会は今後も、高度な解析力と高精度な気象予測であらゆる企業活動を支援してまいります。皆さまの課題をお聞かせください。
お問い合わせはこちら。
*2024年の冬については2024年冬はラニーニャ現象発生で昨年より厳しい寒さと早い春の到来 冬物商品の需要の増減に注意をご覧ください。