News

お知らせ
Topics

夏の振り返りと2024年秋後半の天候、秋冬の消費活動

2024.09.25

2024年夏(6~8月)の日本の平均気温は、2023年夏に並ぶ観測史上1位の高温となりました。
顕著な高温は日本だけでなく世界規模で起きており、7月22日には世界の日平均気温が1940年の観測開始以降で最高となりました。

2024年夏の特徴

  • 日本の平均気温は2024年夏全体(6~8月)と2024年7月で、1898年の統計開始以降最も高くなった。
  • 猛暑日地点数の積算は、2010年以降で最多を記録。
  • 世界的にも高温を記録し、昨年(2023年)に次いで1891年の統計開始以来2番目を記録

2024年夏(6〜8月)は、7月の全国的な高温(月平均気温は観測史上最高を記録)と、8月の高温の持続(月平均気温は観測史上2位を記録)により、猛暑となった2023年夏に並んで1898年の統計開始以降、最も高くなりました。

日本の夏の平均気温の基準値(1991~2020年の30年平均値)からの差(1898〜2024年)

6月中旬以降全国的に気温の高い状態が続き、特に7月は全国で記録的な高温となりました。

7月29日には栃木県佐野市で最高気温41.0℃を観測(今年全国最高)し、これまで日本で最も暑かった記録の41.1℃(2020年8月17日 静岡県浜松市、2018年7月23日 埼玉県熊谷市)に次いで日本国内歴代3番目の暑さとなりました。

8月も西日本を中心に顕著な高温が続き、全国アメダス地点で観測された猛暑日地点数の積算は、2010年以降で最も多かった昨年(2023年)を大幅に上回りました。

全国のアメダス地点で観測された猛暑日の地点数の積算
全国のアメダス地点で観測された猛暑日の地点数の積算
(気象庁「令和6年7月以降の顕著な高温と7月下旬の北日本の大雨の特徴と要因について」より)

西日本・東日本を中心に日照が多かった一方で、局地的な雷雨の頻発や台風の接近などにより、降水量も多く、異常猛暑と多雨の夏だったと言えるでしょう。

この気温上昇は世界規模で起きていて、日本付近のみならず、中央シベリア南部、ヨーロッパ南東部~地中海周辺、米国西部、カナダ南東部付近など北半球中緯度帯の各地で顕著な高温が観測されました。

世界の夏(6~8月)の平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)の平年(1991〜2020年の30年平均値)差は+0.57℃(速報値)で、昨年(2023年)に次いで1891年の統計開始以来2番目を記録しました。

また、コペルニクス気候変動サービスによれば、7月22日には、世界の日平均気温が1940年の観測開始以降で最高となる17.15℃を記録しました。

2024年の猛暑の理由

気象庁の異常気象検討会によれば、今年の夏の世界的な猛暑の要因は、地球温暖化に加え、春まで続いたエルニーニョ現象(太平洋赤道域の海面水温が広範囲で上昇する)の名残によって、中緯度を中心に大気全体の気温が記録的に高くなっていることがあげられます。

さらに日本付近では、日本近海の海面水温が顕著に高くなっていることや、日本の南海上で太平洋高気圧が強く、暖かく湿った空気が流れ込みやすかったことなどが、記録的猛暑や多雨に繋がりました。

秋後半から冬にかけての天候は?

この先、天候のカギを握るのが、冬にかけて発生が予想されるラニーニャ現象です。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、秋は残暑傾向から一転して急に寒くなる傾向があります。

10月までは夏のような暑さが残るとともに、台風や秋雨前線の影響も受けやすく、残暑と大雨シーズンが続くでしょう。
11月に入ると一転して、冬を感じさせるような寒さが到来する可能性があります。

地球規模の異常高温が続いていることもあり、平年と比べると気温は高めに推移する見通しですが、顕著な猛暑を経験したあとの冷え込みで、体感的には夏からいっきに冬が到来したように感じるかもしれません。

10月~12月(第4四半期)の気温・降水量と消費金額の関係

日本気象協会では、店舗業種別のクレジットカード消費の統計データ(東京エリア、期間:2019~2023年、特定の個人・加盟店を識別できないように統計加工した情報)をもとに、日々の気象状況が消費に与える影響を業種ごとに分析しています。

*年間の分析は消費統計データから気象の社会影響を分析をご覧ください。

日平均気温の1℃上昇あたりの1日の消費金額の変化

プラスは日平均気温が高いほど消費が増える(日平均気温が低いほど消費が減る)業種、マイナスは日平均気温が高いほど消費が減る(日平均気温が低いほど消費が増える)業種です。

第4四半期における日平均気温が1℃上昇する当たりの1日の消費金額の変化量
(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)
第4四半期における日平均気温が1℃上昇する当たりの1日の消費金額の変化量(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)

第4四半期(10月~12月)は、寒さによる経済効果が年間でもっとも高くなります。
全体としては指標がマイナスの業種が多く、つまりは気温が高いほど売上が減少する一方で、気温が低いほど売上が増加することを意味します。

日平均気温1℃上昇(下降)する当たりショッピングセンターや衣料で約3%の減少(増加)、家具・ホームセンターでは2.4%の減少(増加)が見られました。

冬物商品の需要のピークは、寒さが本格的になる前の第4四半期がピークになるため、この時期の寒さが、冬物商品を扱う店舗の売り上げを左右していると言えるでしょう。

また、エンタメ施設の中では、カラオケや、観光施設(温泉)が、気温が低いほど消費金額が伸びる結果となり、寒い日ほど来店客が増える傾向があるようです。

日降水量の10mm増加あたりの1日の消費金額の変化

プラスは日降水量が多いほど消費が増える(日降水量が少ないほど消費が減る)業種、マイナスは日降水量が多いほど消費が減る(日降水量が少ないほど消費が増える)業種です。

第4四半期における日降水量10mm増加する当たりの1日の消費金額の変化量
(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)
第4四半期における日降水量10mm増加する当たりの1日の消費金額の変化量(同時期の平均的な日消費金額に対する割合)

第4四半期(10月~12月)は、台風の接近に伴う大雨の日に、ショッピングセンター(おもに駅ビル)で消費金額が増える傾向がありますが、行楽シーズンとなるため降水量の増加によって消費金額が落ちる業種が多くなっています。

*鍋具材などの秋冬食材の立ち上がり気温目安については涼しさを感じ始めると売れる秋冬の食材と気温の関係をご覧ください。

消費活動に影響する天気・気温・降水量を知るには?

ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」

前年の気象データとの比較や気象データをビジネス活用するためのヒントコメント、1kmメッシュで30日先までの天気予報などを掲載しています。

人の体感を指数化した「体感指数」の30日先までの予測もアプリ内に掲載しており、変化の大きいこれからの季節のビジネス予測に役立ちます。

現在法人のみ、期間限定でβ版アプリを無償提供中。
ご希望の方はお問い合わせください。

Weather Data API

1kmメッシュで任意地点の高精度な気象データ(過去実況値、気象予測)を取得できる天気予報APIです。
天気、気温、降水確率のほか、ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」でも公開している「体感指数」もAPI形式で提供しています。

Weather Data APIは日本域のJapan版、日本国内外のGlobal版どちらもWEBからの申込が可能です。(一部データを除く)
お問い合わせ、お申込みはこちら

気象業界初の「2年先長期気象予測」

日本気象協会では、製造・発注・マーケティングなどの長期的な計画への活用ニーズにお応えし、気象業界で初めてとなる最長2年先までの長期間の気象予測「2年先長期気象予測」の提供およびコンサルティングを開始しました。

気象予測の提供から、特定の商材まで落とし込んだ2年先までの需要予測も提案いたします。
来年度の年度策定や生産総数の決定などでお役立ていただける情報となっています。
お問い合わせはこちら

*詳しくは2024年秋以降の天候は?「2年先長期気象予測」と気象データ活用をご覧ください。

お気軽にお問い合わせください。