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2023年~2024年冬の振り返りと暖冬が商品売上に与えた影響

2024.03.18

今冬(2023年12月~2024年2月)のトピックス

  • 今年の冬の平均気温は全国的に平年よりかなり高く、統計開始以降で冬として第2位の高温を記録。
  • 冬全体では気温は平年を上回る時期が多かったが、気温の変動は大きく、12月後半は全国的に、1月下旬は西日本と沖縄・奄美で、2月下旬は北日本中心に顕著な低温となった。
  • 冬型の気圧配置が長続きせず、一時的に大雪となった時期・地域はあったものの、日本海側の地方の降雪量は少なかった。

2023年12月~2024年2月の冬は、2月を中心に南から暖かい空気が流れ込んだ時期があったため、平均気温は全国的にかなり高くなりました。

今冬の平均気温と日本の平均気温の平年値(1991~2020年の30年平均値)の差は+1.27℃で、1898年統計開始以降で最も高かった2020年(+1.43℃)に次いで、2番目に気温の高い冬となりました。

日本の冬の平均気温の基準値からの差
日本の冬の平均気温の基準値(1991~2020年の30年平均値)からの差

今冬は特に12月前半や年末年始、1月中旬、1月末から2月はじめ、2月中旬のように、全国的に平年を大きく上回る時期が多くありました。

特に2月の中旬には、2月19日に北日本を中心に気温が上がって200地点以上で2月の最高気温を更新し、2月20日には群馬県伊勢崎市などで最高気温が25℃以上の夏日になるなど、2月とは思えない高温を記録しました。

一方、寒気が流れ込むことで顕著な低温や大雪となることもあり、変動の大きな冬となりました。
2月5日から6日にかけては南岸低気圧の影響で、東京を含む関東地方の平地でも大雪となりました。

*2月5日から6日にかけての大雪については暖冬でも東京で大雪、その理由と日本気象協会の「降雪確率API」の予測結果をご覧ください。

強い寒気が南下してきた時期には日本海側を中心に大雪となったものの、冬全体としては冬型の気圧配置は長続きせず、日本海側の降雪量は少なく、特に北日本日本海側ではかなり少なくなりました。

2023年〜2024年冬の暖かさの理由

暖冬や冷夏など、季節を通しての天候や気温の傾向を左右するのが、熱帯の海面水温の変動です。

昨年秋から今年の冬にかけては、熱帯のペルー沖の海面水温が上昇するエルニーニョ現象や、インド洋西部の海面水温が上昇する正のインド洋ダイポールモード現象が起きていました。

今年の冬の気温が期間を通して高かった理由は、地球温暖化などの影響で地球全体として気温が高かったことに加えて、エルニーニョ現象や正のインド洋ダイポールモード現象の影響で、亜熱帯の上空を吹く偏西風が北へ蛇行しやすく、南からの暖かい空気に覆われやすかったことが上げられます。

さらに、北極圏で蓄積された寒気を中緯度帯に南下させるのが亜寒帯上空を流れる偏西風の蛇行ですが、今年の冬はこの偏西風が日本付近で北に蛇行しやすかったため、寒気が南下せず高温となった期間が長くなりました。

観測史上1位の暖冬となった2020年冬と比べると、今年の冬は北半球全体でこれらの偏西風の蛇行が大きく、顕著な高温期間が続いたあとに急激に低温となるなど、気温の変動が大きくなりました。

2023年~2024年冬の商品の売上への影響

今年(2024年)の冬は前年(2023年)の冬に比べて、平均気温が1.23℃高くなりました。

前年の冬よりも売上が伸びた商材と、売上が落ちた商材のランキングを見ていきます。
表のピンク色のセルは暖かいほど売上が伸びる商材、水色のセルは寒いほど売上が伸びる商材です。

前年の冬より売上が伸びた商材
順位 アイテム
1位 アイスクリーム
2位 牛乳
3位 ミネラルウォーター
4位 栄養ドリンク
5位 スポーツドリンク
6位 液体茶
7位 生麵、ゆで麺
8位 総合感冒薬
9位 カップインスタント麺
10位 リップクリーム
前年の冬より売上が落ちた商材
順位 アイテム
1位 焼酎
2位 使い捨てカイロ
3位 日本酒
4位 殺菌用消毒剤
5位 サラダ油、天ぷら油
6位 家庭用手袋
7位 ビタミンB1剤
8位 ハンド・スキンケア
9位 中華風食材
10位 入浴剤

※インテージSRI+データより日本気象協会が解析
(集計期間:2023年11月27日週~2024年2月19日週の速報値)

前年の冬より売上が伸びた商材は、アイスクリームのほか、牛乳、ミネラルウォーターなどの飲料類です。
これらは、ふだん暖かいほど売上が伸びる商材です。この冬の記録的な暖冬が売上の伸びに大きく影響したと考えられます。

一方で、生麺やゆで麺、総合感冒薬、カップインスタント麺、リップクリームなど、暖冬にも関わらず、普段寒いほうが売れる商材も上位にランクインしました。
総合感冒薬の伸びは、インフルエンザやコロナウィルスなどの感染症の流行が、ほかのアイテムは物価の上昇やインバウンドの回復などが影響しているのかもしれません。

ただ、やはり寒いほど売上が伸びる商材の多くは、暖冬の影響で売上が落ちています。

前年の冬より売上が落ちた商材には、焼酎や使い捨てカイロ、日本酒、殺菌消毒剤、家庭用手袋やハンド&スキンケア、入浴剤などがランクインしました。
今年の冬の記録的暖冬は、多くの商材に影響を及ぼしました。

日本気象協会の予測情報と活用

日本気象協会では、半年前から今年の冬の暖冬を予想し、情報提供を行ってきました。

現在は2024年の梅雨明け予報・夏の気温傾向予報を含む、夏の予測も提供しています。
実際に夏の暑さの予測を活用している企業様では、在庫回転率の上昇や機会・廃棄ロスの削減、作業効率化をされています。

株式会社Mizkan様
冷やし中華の梅雨の売れ始めと需要の終わりの予測を活用。
夏季終盤の需要を予測し、余剰や不足のないように生産調整を行っている。

在庫は減少傾向にあり、需要予測データが在庫効率を上げながら機会ロスを減らすことに寄与している。

*株式会社Mizkan様の詳しい導入事例はこちら

森永製菓株式会社様
アイス事業とinゼリーで需要予測データを活用。
地域ごとの暑さや需要の変化によって出荷量を調整し、在庫の偏りを削減、作業効率化を行っている。

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*2024年の予報と梅雨明け予報・夏の気温傾向予報の詳細については2024年の夏は梅雨が長く、梅雨明け後は猛暑の予想をご覧ください。

お気軽にお問い合わせください。