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2025年春は寒暖差大、夏は猛暑に 夏商材の立ち上がりは東京で4月下旬頃【ウェザーマーケティングレポート】
2025.03.17
日本気象協会では以前より気象データとビジネスデータを用いて商品需要予測を行っており、2017年からはAIなどの最新技術と気象の専門知見を用いて「需要予測コンサルティング」を行ってきました。
これまでの知見を基に、気象データのビジネス活用を提案する「ウェザーマーケティングレポート」を発信しています。
今年の冬(昨年12月~2月)は記録的暖冬となった昨シーズンと異なり、繰り返し強い寒気が南下して冬商材の需要が高まりました。
2025年春は寒暖の変化が大きく、夏商材の立ち上がりは昨年と比較するとやや遅めになるでしょう。
一方で、2025年夏は平年よりもかなり気温が高く、観測史上1位の高温となった過去2年(2023年、2024年)には及ばないものの、近年の中ではかなりの猛暑になりそうです。
2025年 春の傾向と夏商材立ち上がりタイミング
2025年春は平年と比較すると北日本ほど高温傾向となる予想ですが、西日本を中心に寒気の影響を受けやすく、寒暖の変化が大きくなるでしょう。
観測史上3位の暖かさとなった昨年2024年の春と比べると気温の上昇ペースは遅く、夏商材の需要の立ち上がりも昨年よりは遅い見通しです。
最高気温20℃を超えると、アイスクリームやスポーツドリンク、制汗剤などの夏商材の需要が増加します。(夏物商材と気温の関係)
日本気象協会では夏商材のひとつである「アイスクリーム」を例に、気温が上がることによって夏商材の立ち上がりの目安を示す「アイスクリーム前線」を作成しました。
夏商材の立ち上がりは、鹿児島で4月上旬頃、大阪、名古屋、広島、高知で4月中旬頃、東京、福岡、長崎、長野などの本州の各地で4月下旬頃、仙台、金沢、新潟で5月上旬頃、青森などの東北北部で5月中旬頃、北海道では5月下旬頃の見込みとなっています。

札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の主要6都市で夏商材が売れ始める時期の目安と前年比較を下図「アイスクリームなどの夏商材が売れ始める時期」で示します。
3月下旬から4月にかけて高温傾向となった2024年と比較すると、各地で夏商材の立ち上がりは遅い見込みです。

ただし、平年と比較すると気温は北日本を中心に高めで推移することが予想され、季節を先取りした陽気の日もあるでしょう。寒暖の変動とともに、需要の変動も大きくなりそうです。
*人流や消費活動に影響する桜の予想は2025年桜開花・満開予想 気象台の満開トップは東京と高知で29日予想 インバウンド向け桜情報も(3月26日更新)をご覧ください。
2025年の夏について
2025年夏も全国的に猛暑が予想されています。鍵となるのが「ラニーニャ現象※1」です。
ラニーニャ現象とはエルニーニョ現象※2と対になり、太平洋熱帯域の海面水温が変化する現象です。
現在、ラニーニャ現象発生の定義は満たしていませんが、太平洋熱帯域の海面水温はラニーニャ現象寄りの分布となっています。ラニーニャ現象が発生すると、冬は寒く、夏は猛暑となる傾向があります。
今年の冬はたびたび強い寒波がやってきましたが、このあともラニーニャ現象寄りの影響が残り、夏は暑くなる予想です。
観測史上1位の高温になった過去2年の夏と比較すると、地球の大気全体の昇温はやや落ち着く予想となっています。そのため、過去2年には及ばないものの、気温は平年よりかなり高く、2025年も猛暑となるでしょう。
秋にかけても厳しい残暑が予想されます。
前年(2024年)ほどの顕著な高温にはならない予想ですが、冬商材の立ち上がりは今年もゆっくりでしょう。
*詳しい夏の予報は2025年の夏も全国的に猛暑 観測史上1位タイの高温となった2024年との違いは?をご覧ください。
※1 ラニーニャ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象。日本では猛暑・寒冬になりやすい傾向があります。
※2 エルニーニョ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象。日本では冷夏・暖冬になりやすい傾向があります。
※本予報は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象に代表される熱帯の海洋の変動をもとに予測を行っています。熱帯の海洋に明確なシグナルがない状況においては予測が難しく、精度が低下すると考えられます。
また、数週間程度の顕著な高温や低温、長雨などが予測できるのはひと月前を切ってからとなります。利用に当たってはご注意ください。
2025年春夏の気象が製造業・小売業・アパレル業へ与える影響
製造業
2025年も平年より気温の高い傾向が続くものの、春、夏、秋を通して顕著な高温となった前年と比較すると、気温はやや低めに推移する見通しです。
夏商材の需要は引き続き高いものの、前年との需要の違いに注意が必要です。
小売業
春は寒暖の変化が大きく、夏商材の需要も週ごとに大きく変化しそうです。
夏は暑すぎることによる外出控えや大雨による客足への影響が大きいでしょう。
アパレル業
春は、前年と比較すると気温が低めに推移するため、春物需要が長く続くでしょう。
夏は前年ほどではないものの残暑が厳しい予想のため、冬物需要の立ち上がりが遅く、夏物需要が長く続きそうです。
長期の気象予測を活かして、ビジネスのロスを減らす
2025年の夏も猛暑が予想されています。また、梅雨や台風による大雨の懸念もあります。
気象の変化はますます顕著になり、資材の高騰や人手不足などさまざまな社会問題が深刻化する中、気象は唯一「物理学的に未来を予測することができる」要素です。
全産業の3分の1が天候関連のリスクに直面していると推定されており、「気象予測」はビジネスにとって非常に重要です。
前年実績をベースに生産計画を立てるよりも、気象予測に基づいた計画を立てることで、気象要因にともなう廃棄ロスや機会ロスを3割から4割減らすことが可能となります。
日本気象協会では、直近の予報から最長2年先まで、さまざまな気象データの提供、専門知見からのコンサルティングを行っています。
2年先長期気象予測について
日本気象協会では、製造・発注・マーケティングなどの長期的な計画への活用ニーズにお応えし、気象業界で初めてとなる最長2年先までの長期間の気象予測「2年先長期気象予測」の提供およびコンサルティングを行っています。
2年先までの気象予測の提供に加え、特定商材の2年先までの需要予測も提供が可能です。
2025年後半から2026年にかけての気象傾向の予測・コンサルティングも行っています。
詳しくはお問い合わせください。
その他にも、天気をビジネスに手軽に活かすことができるビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」や、1kmメッシュで任意地点の気象データ(過去実況値、気象予測)を最大8週先まで取得できる天気予報APIWeather Data API、お客様のニーズに合わせた長期間の気象予測情報を提供する気象データ配信などのサービス提供も行っています。
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