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2026年の天気は「猛暑・多雨・台風」に注意|日本気象協会が長期予測を解説

2025.12.22

暖冬や猛暑といった季節の天候は、企業の調達・生産・在庫・マーケティング計画に大きな影響を与えます。
日本気象協会の長期気象予測では、2026年は「夏の到来が早く、猛暑で多雨」という特徴を持つ1年になると予想します。

本記事では、2026年の天候の特徴・季節別のポイント、ビジネスへの影響、そして長期気象予測の活用方法を解説していきます。

*2025年について:2025年の天候振り返り|寒冬と猛暑がビジネスに与えた影響とは

2026年の天候予想のポイント

  • 2026年春は寒暖の変動が大きいものの、暑さの立ち上がりは早い見込み。
  • 2026年夏は梅雨入り・梅雨明けが早めで猛暑となるが、2025年と比べて多雨傾向。
  • 2026年晩夏から秋は残暑が厳しい一方で、長雨・台風に注意。

目次

2026年の天候予想

2026年の天候の特徴

  • 梅雨入り・梅雨明けが早く、夏の到来が早い
  • 猛暑だが、2025年と比べると雨が多い
  • 晩夏から秋は、長雨や台風に注意が必要

これは、2025年まで続いていたラニーニャ現象傾向が次第に衰退し、夏の後半からは太平洋高気圧が強まりにくく、前線や台風の影響を受けやすくなる見込みであるためです。

【日本気象協会】2026年の天候予想 猛暑と多雨に注意
【日本気象協会】2026年の天候予想 猛暑と多雨に注意

2025/26年冬の天気|2年連続で寒冬傾向

2025/26年冬は、ラニーニャ現象に近い海面水温分布の影響で、2年連続の寒冬傾向が予想されます。
シーズンを通して厳しい寒さとなるものの、2月以降は寒気がやや緩み、春の訪れは2025年より早い可能性があります。

2026年春の天気|寒暖差は大きく、暑さの到来が早い

2026年春は、寒暖の変動が大きいものの、気温上昇が早い見込みです。
花粉の飛散量は北日本・東日本を中心に前シーズンよりも多いと予想され、春物衣料や外出需要、アレルギー対策商材の動き出しが前倒しになる可能性があります。

2026年夏の天気|猛暑だが多雨

2026年夏は、太平洋高気圧が強まるのが早く、梅雨入りや梅雨明けは早まる見込みです。
暑さの到来も早く、猛暑となる可能性があります。

一方で、太平洋高気圧の勢力が持続しにくく、高温多雨の夏となる見込みで、顕著な少雨となった2025年の夏とは異なるでしょう。

ビジネスでは下記のような影響に注意が必要となるでしょう。

  • 熱中症リスク
  • 電力需要ピークの前倒し
  • 顕著な猛暑による外出自粛や屋外スポーツの中止などに伴う需要の変化
  • 秋雨前線・台風による集中的な大雨

2026年秋の天気|台風・長雨による天候不順

2026年の晩夏から秋にかけては、ラニーニャ現象傾向の終息によって、前線や台風の影響を受けやすくなると予想されます。

2025年と同様に厳しい残暑が続くものの、2025年とは異なり、長雨や台風の接近などで雨が増え、天候不順によるビジネスリスクも高まる可能性があります。

2025年とどう違う?2026年の天候の注意点

2025年は、

  • 冬は強い寒気が南下
  • 夏は顕著な猛暑と少雨

という特徴が強い年でした。

一方、2026年は、

  • 冬は2025年同様に強い寒気が南下
  • 夏は猛暑で多雨傾向

となる点が大きな違いです。

特に、夏の後半以降はビジネスにおける雨のリスク対策を行う必要がある見込みです。

なぜ2026年はこのような天候になるのか

2026年の天候には、主に以下の要因が影響します。

ラニーニャ現象傾向の衰退と太平洋高気圧

  • 冬〜春:ラニーニャ現象傾向の影響
  • 夏前半:ラニーニャ現象傾向の名残を受けて太平洋高気圧の強まりが早く、梅雨入りや梅雨明けは早め
  • 夏後半〜秋:ラニーニャ現象傾向の名残がなくなり、太平洋高気圧が強まりにくく、前線や台風の影響を受けやすくなる

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象と日本の天候

暖冬や冷夏など、季節の特徴を左右するのが「エルニーニョ現象※1」「ラニーニャ現象※2」に代表される熱帯の海面水温の変化です。

太平洋熱帯域において海面水温が通常と異なる分布になることで(エルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生)、通常と異なる場所で積乱雲が発達しやすくなり、中緯度の偏西風の流れも通常と異なるルートを通りやすくなります。

これによって、日本を含むアジアや北米といった熱帯から離れた地域でも、通常と異なる天候が現れやすくなるのです。

※1 エルニーニョ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象。日本では冷夏・暖冬になりやすい傾向があります。

※2 ラニーニャ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象。日本では猛暑・寒冬になりやすい傾向があります。

2026年の天候がビジネスへ与える影響

アパレル業界への影響

  • 春夏商品の需要が前倒しで立ち上がる
  • 残暑が厳しく、秋物需要の立ち上がりは遅いものの、冬の到来も遅く、2025年と比べると秋物の需要期間が長くなる見込み

⇒ 長期の気温や季節の傾向を事前に把握することで、在庫ロスや機会ロスを減らすことができます。

エネルギー業界への影響

  • 冬の暖房需要の増加
  • 夏の冷房需要のピーク前倒しや長期化
  • 秋の長雨・台風の影響により、太陽光発電量が不安定化する可能性

⇒ 需給計画やリスク管理においては、中長期の気象予測の活用が重要となります。

製造業への影響

  • 冷感商品・飲料など夏商材の需要が早期に立ち上がる
  • 暑さによるライフスタイルの変化で需要傾向の変化に注意
  • 台風・長雨による生産・物流リスク

小売業への影響

  • 夏商材の売場展開を早める必要あり
  • 気温変動が大きく、短期予測による在庫調整が重要

物流業への影響

  • 夏後半〜秋の長雨・台風は、物流遅延や在庫偏りの原因となる可能性
  • 気温変動による物流量の変動対応
  • 労働環境対策(暑さ)

農業への影響

  • 早い暑さの到来により作柄への影響が出る可能性
  • 夏後半から秋の不順天候が品質や収量に左右するリスク

長期の気象予測をどう活かすべきか

観測史上1位の猛暑や、暖冬の翌年の寒冬など、季節の傾向は毎年異なり、短期の天気予報・気象情報だけでは、資源調達計画、生産計画、在庫計画、エネルギー需給計画を最適化することが難しくなっています。

長期の気象予測を参考に年間の計画を立て、短期の気象予測を用いて調整を行うことで、気象要因による廃棄ロス・機会ロスを総合的に削減することができます。

日本気象協会の「2年先長期気象予測」とは

日本気象協会では、気象業界で初となる最長2年先までの気象予測「2年先長期気象予測」を提供しています。

「2年先長期気象予測」でわかること

  • 月ごとの気温、降水量・降雪量、日照時間の数値予測
  • エリア別の梅雨入り時期・梅雨明け時期
  • 月別の台風発生数・接近数

※契約サービスによって提供内容は異なります。詳しくはお問い合わせください。

実際にどんな業界で使われている?2年先長期気象予測の活用シーン

日本気象協会の「2年先長期気象予測」は、2024年6月の提供開始以降、多くの企業で需要予測、資材調達、商品企画、生産調整、マーケティング計画などで活用されています。

業界 日本気象協会「2年先長期気象予測」の活用事例
電力小売 2年先までの電力需要予測
発電事業 燃料調達の最適化
アパレル製造小売 商品企画や販売計画
日用品小物製造卸 生産量調整
食品メーカー 季節商材の年間マーケティング計画/来年度の需要予測

特に、アパレル企業や日用品小物の製造、食品業界では、商品企画から販売までのリードタイムが長いことから、商品企画から生産調整まで幅広いシーンで活用が進んでいます。

また、電力・エネルギー業界からの反響も大きく、長期の電力需要予測や燃料調達の最適化に役立っているとの声が寄せられています。
利用企業からは「電力需要予測精度が30%向上した」という報告もあります。
*詳細:「2年先長期気象予測」の精度と活用事例

2026年の天候に関するエリア別・月別等の詳細を知りたい場合は、ご連絡ください。
2026年後半〜2027年にかけての気象傾向についても、最新データに基づきご提案可能です。

長期の天候リスクを、事前に経営・計画に組み込みたい企業様は、ぜひご相談ください。

*サービス詳細は2年先長期気象予測をご覧ください。

*2025年の振り返りは2025年の天候振り返り|寒冬と猛暑がビジネスに与えた影響とはをご覧ください。

FAQ|よくある質問

Q. 2年先までどの程度わかるのですか?

A. 月別の気温・降水量・降雪量・日照時間の予測の数値データを提供可能です。

Q. 情報は更新されますか?

A. 最新のデータをもとに、毎月、予報を更新しています。

Q. エリア別に分析できますか?

A. はい。地域別の傾向分析にも対応しています。

プロフェッショナル紹介

小越 久美(おこし くみ) 一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部

小越 久美(おこし くみ)

一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部 気象DX事業部 シニアデータアナリスト
気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士

筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学)卒。
2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。

現在は日本気象協会の商品需要予測事業にて、食品、日用品、アパレル業界などのマーケティング向け解析や商品の需要予測を行い、さまざまな企業の課題を解決するコンサルティングを行っている。

著書に「かき氷前線予報します~お天気お姉さんのマーケティング~」「天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん」がある。