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大雨による高速道路の輸送影響リスクを2日前に予測―2026年6月の山陽道の通行止め事例でGoStopの予測を検証
2026.09.11
2026年6月25日(木)~27日(土)の大雨により、山陽道では岡山県から山口県にかけて広い範囲で通行止めが実施され、尾道ICではのり面崩落が発生しました。
日本気象協会の「GoStopマネジメントシステム」では、災害発生2日前の6月24日(水)20時時点で、尾道IC周辺の高い輸送影響リスクを予測していました。
輸送影響リスクとは、大雨や暴風などの気象条件によって、道路・鉄道・海運・航空などの輸送に影響が生じる可能性を段階的に示す情報です。
台風・大雨時に配送計画を担う物流事業者や荷主企業にとって、輸送経路ごとの影響を早めに把握することは、配送可否や代替ルート、出荷前倒し、輸送モードの変更、荷主・納品先への連絡を検討するうえで重要です。
本記事では、2026年6月の大雨による山陽道の通行止め事例をもとに、GoStopが高速道路への輸送影響リスクを何日前から捉えていたのか、実際の通行止め区間・時間帯と予測を比較します。
あわせて、物流事業者・荷主企業が大雨・台風時の配送判断に予測情報を活用する方法を解説します。
この記事のポイント
- 6月19日(金):後に台風7号となる熱帯低気圧が、日本付近へ接近する可能性を早い段階から予測。
- 実際の台風7号は、6月19日時点に示した複数の進路シナリオのうち、シナリオ1に近い経路で日本付近へ接近。
- 6月24日(水):尾道IC周辺を含む山陽道の高い輸送影響リスクを、道路災害発生2日前に予測。
- 実際の道路影響:尾道IC周辺では、のり面崩落が発生した6月26日(金)午後に「通行警戒」または「厳重警戒」を予測。
- 業務への活用:出荷前倒し、代替ルート、輸送モード変更、配送計画の見直し、荷主・納品先との調整などを早い段階から検討可能。
なお、GoStop マネジメントシステムは気象による輸送影響リスクを予測するものであり、道路管理者による通行止めの実施区間や開始・解除時刻を直接予測するものではありません。
目次
2026年6月25日~27日の大雨と山陽道への影響
2026年6月26日(金)から27日(土)にかけて、日本付近には台風7号と台風8号が相次いで接近しました。
どちらの台風も日本への最接近は27日(土)でしたが、本州付近に停滞した前線に向かって台風由来の暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、25日(木)から西日本を中心に大雨となりました。(図1・図2)
出典:【tenki.jp】過去の実況天気図(2026年06月25日)
出典:【tenki.jp】中国地方の過去の雨雲レーダー(2026年06月25日)
25日(木)以降、中国地方では大雨が続きました。
広島県や山口県では、6月25日(木)0時~27日(土)0時の48時間降水量の解析値が300mmに迫るところがありました(図3)。
この大雨の影響で、山陽道では岡山県から山口県にかけて、広い範囲で通行止めが実施されました。
高速道路は緑線で表示
このような広域的な影響が生じる中、広島県尾道市では25日(木)22時13分にレベル4 土砂災害危険警報が発表されました。その後、山陽道の尾道ICでは26日(金)にのり面崩落が発生し(図4)、大阪方面の流入・流出ランプでは、27日(土)20時14分まで災害通行止めが継続しました。
GoStopマネジメントシステムは台風接近から高速道路への影響までを段階的に予測
GoStopマネジメントシステムでは、広域的な気象変化を把握する防災気象情報と、道路・鉄道・海運・航空への影響を区間・時間帯別に示す輸送影響リスク情報を提供しています。
今回の事例では、6月19日時点で熱帯低気圧の日本付近への接近可能性を示し、6月24日時点では山陽道の区間・時間帯別の輸送影響リスクを予測していました。
台風7号となる熱帯低気圧の接近を早い段階から予測
GoStopマネジメントシステムで提供している防災気象情報では、後に台風7号となる熱帯低気圧について、19日(金)18時の時点で、フィリピンの東で北寄りに進路を変え、日本の南を通って本州付近へ接近する進路を予測していました(図5左)。
当時の気象庁の進路予報は、5日先の6月24日(水)15時までを対象としており、それ以降の日本付近への接近については予報期間外でした(図5右)。
左:GoStopマネジメントシステムで提供した防災気象情報
右:同時点の気象庁の進路予報(5日先まで)
実際の台風7号は、GoStopマネジメントシステムで6月19日時点に示していたシナリオ1(赤線)に近い経路を進んで日本付近へ接近しました(図6)。
このように、本事例では、気象庁の進路予報ではまだ予報期間外だった段階から、日本付近への接近可能性を示していました。広域的な気象リスクを早い段階から把握することで、影響が見込まれる地域や輸送経路の確認、関係者との情報共有を始めるための判断材料になります。
山陽道の高い輸送影響リスクを2日前に予測
GoStopマネジメントシステムの高速道路影響予測では、気象条件の悪化に伴う輸送影響リスクを、「通行警戒」「厳重警戒」などの段階で示しています。
「通行警戒」は、気象条件の悪化に伴う速度規制強化・通行規制等の実施可能性があることを示します。降雨・風・降雪等に起因する事故発生リスクが高まり、運転により一層の注意が必要な状況です。
「厳重警戒」は、通行規制の実施可能性が高い気象予測であることを示します。特に「厳重警戒」が長時間継続する予測の場合、大規模かつ長時間におよぶ輸送障害が発生するリスクが高まっていることを示します。
尾道ICでののり面崩落発生日の2日前にあたる24日(水)20時発表の予測では、高速道路影響予測表において、のり面崩落が発生した26日(金)の午後に、尾道ICを含む笠岡IC~河内IC間(図7)で「通行警戒」または「厳重警戒」が示されていました(図8)。
(2026年6月24日20時発表予測)
実際の通行止め時間帯は黒枠で表示。斜線部は片側通行止めを表す。
このように、今回の事例では、実際に道路災害が発生した尾道IC周辺で、気象による輸送影響リスクが高まる可能性を発生日の2日前の時点で捉えていました。
また、笠岡IC~山口JCT間(図7)でも広く「通行警戒」または「厳重警戒」が示されていました。
図8では、実際の通行止めの時間帯を黒枠で示しており、通行止めが実施された区間・時間帯と、高い輸送影響リスクが予測されていた区間・時間帯の対応を確認できます。
高速道路影響予測表では、実際に通行止めとなった時間帯の多くで、気象による輸送影響リスクが高い予測となっていたことが分かります(図8)。
検証結果から分かる大雨・台風時の輸送判断
今回の事例では、後に台風7号となる熱帯低気圧の接近可能性を早い段階から示し、尾道IC周辺の高い輸送影響リスクを災害発生2日前に捉えていました。
このように、広域的な気象リスクと輸送経路ごとの影響リスクを段階的に確認することで物流事業者や荷主企業は、次のような判断につなげられます。
| 時期 | GoStopで確認する情報 | 判断・対応例 |
|---|---|---|
| 数日前 | 台風・大雪などの広域的な気象リスク、今後の天気傾向 | 出荷前倒し、代替ルート、輸送モード変更の検討を始める |
| 3~1日前 | 区間・時間帯別の輸送影響リスク | 配送計画を見直し、荷主・納品先・ドライバーと調整する |
| 当日 | 最新の輸送影響リスク、防災気象情報、道路情報 | 運行継続・待機・中止を判断し、ドライバーの安全を確保する |
輸送影響リスクが高い気象状況が予測されている場合は、気象情報に加え、道路管理者が発表する最新の道路情報をこまめに確認することが大切です。
そのうえで、輸送影響リスクの高い時間帯・区間を避けるための代替ルートの準備や、配送計画の見直しなどを検討します。
こうした対応について早い段階から関係者間で共通認識を持つことで、悪天候が迫ってから調整を始める場合に比べ、輸送計画の変更や荷主・納品先への連絡を段階的に進めやすくなります。
台風時の物流への影響については、関連記事「台風は物流にどう影響する?運行判断・配送遅延・輸送ルート別リスクを解説」でも解説しています。
大雨・台風時の輸送判断を支援するGoStopマネジメントシステム
GoStopマネジメントシステムは、全国の道路(高速・国道)、鉄道(貨物)、海運(港湾・航路)、航空を対象に、気象状況が各種道路・施設に与える輸送影響リスクを、悪天候の最大6日前から地図や表によりひと目で確認できるWebサービスです。
冬季には大雪や吹雪による輸送影響リスク情報、夏季には大雨や台風に伴う暴風・越波による輸送影響リスク情報を提供しており、年間を通じてご活用いただけます。
GoStopマネジメントシステムを利用することで、物流に影響を及ぼすような気象災害時の輸送計画作成、出荷前倒し、代替ルートや輸送モードの検討、荷主企業・納品先との円滑な調整などに活用できます。
道路・鉄道・海運・航空への輸送影響リスクを最大6日前から確認できるGoStopの提供情報や画面例については、サービスページをご覧ください。
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FAQ|大雨・台風時の輸送影響予測
Q.大雨・台風による輸送影響リスクは何日前から確認できますか?
A.GoStopマネジメントシステムでは、悪天候による輸送影響リスクを最大6日前から確認できます。今回の事例では、尾道IC周辺の高い輸送影響リスクを、のり面崩落発生2日前の時点で予測していました。
Q.物流事業者や荷主企業は、予測情報をどのような判断に使えますか?
A.出荷前倒し、代替ルート、輸送モード変更、配送計画の見直し、荷主・納品先への事前連絡、ドライバーの安全確保などの検討に活用できます。