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2023年夏の振り返りと気象予測のビジネス活用

2023.09.19

2023年夏の気象トピックス

    【日本】
  • ・夏の平均気温が、統計開始以降最高を記録
  • ・夏の平均気温の平年差も、統計開始以降最高を記録
  • ・東京では7/6~9/7の64日間最高気温30℃以上の真夏日が続き、過去最長を記録
    (最高気温35℃以上の猛暑日も22日で過去最多)
  • ・全国のアメダス地点で観測された猛暑日地点数の積算数も2010年以降最多
    【世界全体】
  • ・世界の夏の平均気温も1891年の統計開始以降最高を記録(速報値)
  • ・地中海沿岸や米国南部では最高気温が45℃を超え、ギリシャのアテネでは観光地アクロポリスを一時封鎖

2023年の夏は7月後半から8月にかけて非常に暑くなり、日本の夏(6月~8月)の平均気温は1989年の統計開始以降、最も高くなりました。

日本の平均気温の平年差は+1.76℃で、1898年の統計開始以降で最も高かった2010年(+1.08℃)を大きく上回り、こちらも夏として最も高くなりました。

日本の夏の平均気温の基準値(1991~2020年の平年値)からの差は、2023年が最も大きくなり+1.76℃となった。

各地で最高気温30℃以上の真夏日、最高気温35℃以上の猛暑日が連日観測され、東京では7/6~9/7の64日間真夏日が続き、2004年の40日を超えて過去最長を記録、猛暑日も22日と過去最多を更新しました。

また、全国のアメダス地点で6月~8月に観測された猛暑日地点数の積算でも、夏の平均気温が特に高かった年(2010年、2013年、2018年、2022年)と比べ、7月下旬以降に猛暑日地点数が大きく増加し、2010年以降最多となりました。

さらに、2023年の夏は世界の平均気温も1891年の統計開始以降最高となり(速報値)、地中海沿岸や米国南部では最高気温が45℃を超えるなど、平年を大きく上回る高温を観測しました。

7月にはギリシャの首都アテネで「パルテノン神殿」のある古代遺跡アクロポリスが、暑さで観光客が健康を害さないよう一時封鎖されるなど、各地で高温による影響がありました。


2023年夏の暑さの理由

なぜ、今年の夏は世界的に暑くなったのでしょうか。この理由は主に下記4点が考えられます。

    【日本】
  • ・ラニーニャ現象の名残の影響による太平洋高気圧の張り出し
  • ・黒潮続流(※)の北上や日射などによる日本近海の海面水温の上昇
    ※黒潮続流とは、日本南岸に沿って流れる黒潮の房総半島以東の流れを呼びます。
    【世界全体】
  • ・エルニーニョ現象の発生による太平洋の広範囲での海面水温の上昇
  • ・地球温暖化によるベース気温の上昇

日本の今夏の暑さの理由の1つは、2022/2023年冬まで続いたラニーニャ現象の名残の影響を受けた太平洋高気圧の張り出しです。

ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域で貿易風と呼ばれる東風が強まり、暖かい海水がインドネシアなど東南アジア側に押し寄せる現象で、付近で積雲対流が活発となりやすく、その北側の日本付近では太平洋高気圧が強まる傾向があります。ラニーニャ現象は今年の冬までで終息しましたが、この影響が夏まで残り、日本付近は太平洋高気圧に覆われやすくなりました。

平常時とラニーニャ現象時の違い

2つ目は、日本近海の海面水温の上昇があります。

近年、日本近海の海面水温は上昇傾向にありますが、今年の夏は黒潮続流の北上や日射などにより、三陸沖を中心に北日本周辺で海面水温が記録的に高くなりました。これにより海風が入っても気温が下がらず、北日本の記録的な高温につながったと考えられます。

また、世界的な高温には、2023年春から発生したエルニーニョ現象の影響が要因のひとつとして考えられます。

エルニーニョ現象とは、ラニーニャ現象とは逆に、太平洋赤道域で東風が弱まり、暖かい海水が南米沿岸にかけて広がる現象で、これにより太平洋の広い範囲で海面水温が上昇します。このため、熱帯域を中心に大気全体の気温が上昇したと考えられます。

平常時とエルニーニョ現象時の違い

これらの今夏の気象現象に加えて、地球温暖化による世界的な高温傾向もあり、2023年の夏は世界各地で記録的な高温となったと推察されます。


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1.今年の夏が暑くなると知らなかった
=気象予測を知らなかった・入手していなかった方 ⇒ こちら

2.今年の夏が暑くなると知っていても、何を準備したらいいのかわからなかった
=気象と自社ビジネスの関係性を知らなかった方 ⇒ こちら