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2026年春はいつから暖かくなる?長期気象予報で読む「春物」需要の切り替わり
2026.02.17
2026年の冬から春の切り替わりは例年より早くなる一方、寒暖差が大きいため、春物需要への切り替えは“段階的”に進むと考えられます。
2026年春は「立ち上がりは早いが、寒暖差で需要が安定しにくい年」といえるでしょう。
冬から春への切り替わりは、毎年天候のブレが大きく、売場づくりや商品投入の判断が難しい時期です。
日本気象協会ではビジネスユーザーが「いつから暖かくなるか/寒くなるか」を早い段階で把握したいというニーズに応え、長期の気象予測を提供し、実際のビジネス判断に活用されています。
本記事では、長期気象予報をもとに、2026年冬から春にかけての天候の見通しを整理し、それをMD・販促・需給調整などのビジネス判断にどう活かせるのかを解説します。
この記事のポイント
- 2026年春の訪れは例年並み〜やや早め。2月後半から暖かい日が増え、3月以降は気温が高めで寒暖差が大きくなる見込み。
- 最高気温15℃前後が春物需要本格化の目安。ただし寒暖差が大きく、冬物と春物が並行して動きやすい。
- 実際の売場、在庫、販促判断では、日単位での天候の傾向が活用されている。日本気象協会では、その判断をさらに先読みできる最大46日先までの日単位での気象予測を提供中。
目次
2026年春にかけての天候見通しは?天気傾向と季節需要への影響
ポイント
- 春の進みは例年並み〜早めで、3月以降は気温が高めかつ寒暖の変動が大きくなる見込み
- その結果、春物・季節商品の需要は“一気に”ではなく、地域差・日別差を伴って段階的に移行しやすい
2026年の冬から春にかけては寒暖差が大きく、3月前半までは日本海側で雪や積雪リスクが続きます。
一方で春の進みは例年より早く、3月以降は気温が高めながらも寒暖の変動が大きくなり、春らしい暖かさや季節の進行が例年並み〜早めとなる見込みです。
2月上旬は強い寒気の影響を受け、日本海側を中心に大雪となり、太平洋側でも積雪となる日がありました。
2月半ば頃からは、北日本から西日本にかけて気温が高めとなる日が増え、春を感じる暖かさとなるタイミングが出てくるでしょう。太平洋側では晴れる日が多く、降水量は平年並み〜やや少ない傾向となる見込みです。
寒暖差も大きくなる予想であることから、季節商品の需要や動き方にはばらつきが出やすく、春物・季節商品の需要は一気に切り替わらないでしょう。
暖かい日には春物の売れ行きが先行しつつも寒い日には冬物需要も残るなど、立ち上がり時期や売れ方に地域差・日別差が出ると考えられます。
春物立ち上がりの判断においては、直近の天候だけでなく、数週間〜数か月先までを見通した長期の気象予報を前提に意思決定することが重要です。
冬から春へ、春物商材への切り替わりのポイントは?
ポイント
- 最高気温15℃前後を超える日が増えるタイミングが、春物需要本格化の目安。東京では3月中旬~下旬ごろ。
- ただし寒暖差が大きく、冬物と春物が並行して動く期間が生じやすい
では、具体的に「いつ」春物が動き出すのでしょうか。
春物商材の需要立ち上がりの気温の目安は、最高気温が15℃前後を超える日が増え始めるタイミングがひとつのポイントとなります。
2月後半からは、日によっては春物が動き出す気温(最高気温15℃前後)となることがあり、例年よりも早い段階で春物需要が顕在化する場面が出てくるでしょう。一方で、寒暖差が大きい時期でもあるため、需要は一気に切り替わるのではなく、冬物と春物が並行して動く期間が生じやすい点には注意が必要です。
東京では、最高気温が15℃前後を超える日は3月中旬〜下旬頃からと見込まれており、桜の開花時期と重なることで、春物需要が本格化しやすいタイミングになるでしょう。
冬→春の寒暖差で何が起きる?売場・在庫・販促判断が難しくなる理由
ポイント
- 冬から春は寒暖差が大きく、季節需要が安定しにくい時期
- 気温の急上昇や寒の戻りが起こると、購買行動が短期間で変化しやすい
- 気温変動が大きい年は、売場・在庫・販促の判断が難しくなりやすい
- そのため、長期予報を踏まえた売場・在庫・販促のタイミング判断が重要となる
冬から春への季節変化は、気象条件が大きく変動しやすい時期であるため、需要変動が読みづらいという特徴があります。冬物から春物への切り替えは、寒暖差や天候の不安定さが影響し、消費者の体感や購買行動も揺れやすくなります。
例えば、昨年2025年3月は春を通り越して初夏の陽気になったかと思えば、急に真冬の寒さが戻るなど、全国的に気温の変動が大きくなりました。急な寒の戻りによって、花粉関連商材や、紫外線関連商材、春物の衣類の売り上げが落ち込むなどの影響を受けました。
今年は3月から4月にかけて全国的にやや暖かい傾向が続き、春の訪れが早まりそうです。
日本気象協会のビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」では、このような長期予報(体感マップ)を毎月更新しています。予報の解説コメントもありますので、これらの情報を参考に、ビジネスにおける計画を立てることができます。
アパレル業界:気温上昇と寒暖差で春物需要はどう動く?立ち上がり判断のポイント
ポイント
- アパレル需要は体感気温の影響を受けやすい
- 最高気温15℃前後を超える日が増えると、春物需要が立ち上がりやすい
- 日本気象協会の長期気象予測により、数週間先の気温変化を見据えた商品投入が可能
- 長期気象予測を活用し、気温上昇に伴う夏商材の立ち上がり時期を数週間前から見通すことで、商材準備に活かされた事例もある
冬物から春物への切り替え判断は顧客の体感気温に大きく左右されます。気温の上昇が早ければ春物商材の需要が前倒しになり、逆に寒さが戻ると手持ち消費が中心になるなど、天候変動による在庫や売場タイミングの調整が求められます。
アパレル業界への影響の詳細
2026年春は、冬から春への季節の移り変わりが例年より早く、かつ寒暖差が大きくなるでしょう。春は寒暖の変動が大きいものの気温上昇が前倒しになる傾向があり、春物・外出関連需要が早めに立ち上がる可能性があります。
日中最高気温が15℃前後以上となる日が増え始める時期は、体感として「春らしさ」を感じやすく、春物需要が増える目安になります。
日本気象協会では、全国6エリアの1年半先までの天候(気温、降水量、日照時間等)をまとめたレポートを配信しており、年間計画・商品企画にご活用いただけます。
過去には、気温の上昇に伴う夏商材の立ち上がりが見込まれる時期を数週間前から予測し、飲料の出荷量調整や季節メニューの準備に活用された事例もあります。
食品・飲食業界:気温上昇でメニュー需要はどう変わる?切り替えの判断軸
ポイント
- 食品・飲食業界では、気温変化によりメニュー需要が大きく変動する
- 最高気温15℃前後を超える日が増えると、冷たい麺類やドリンク需要が伸びやすい
- 寒気の影響で気温が下がると、温かいメニュー需要が再び強まる可能性
- 日別・週別の気温予報を踏まえた段階的な販促・メニュー切り替えが重要
気温や天候によって食材の需要が変動しやすくなります。寒さが続けば鍋つゆなど温かい食品・飲料、前日よりも気温が上昇する日には、冷たい麺類やドリンクへの需要が強まるといった消費行動の変化が見られます。
食品・飲食業界への影響の詳細
食品・飲食業では、気温の上昇タイミングに応じてメニューや季節商品の需要が段階的に立ち上がる動きが想定されます。
最高気温が15℃前後に達する日が増えると、温かい鍋料理や煮込み系メニューの需要が徐々に落ち着き、サラダ、冷やし麺、さっぱり系惣菜、冷たい飲料など春・初夏向け商品の注文が増え始める傾向があります。一方で、寒気の影響で気温が下がる日には、再び温かいメニューや汁物の需要が戻るなど、日ごとに需要が変動しやすい売れ方となる可能性があります。
また、春の気温上昇や花粉飛散の本格化、桜の開花といった季節要因により、外出機会や行楽需要が変動すると、テイクアウト商品や軽食、ドリンク類の需要が一時的に高まる動きも見込まれます。こうした要素が重なることで、春先は「冬向け・春向けメニューが同時に動く期間」が長くなりやすい点が特徴です。
日別・週別の気温予報を確認しながら、販促やメニュー切り替えを段階的に進める運用が重要です。例えば、最高気温が一定期間15℃前後を超える予報が出たタイミングで冷たいメニューや季節商品の露出を強化し、寒さが戻る予報がある場合には温かいメニューの訴求を継続するなど、柔軟な調整が必要となるでしょう。
なお、商品カテゴリによっても需要が切り替わる温度の目安は異なります。
実際に、購買データと気温データを用いた分析では、ホットコーヒーとアイスコーヒーの需要が入れ替わる目安は、最高気温22~23℃前後とされています。気温がこの水準を超えると冷たい飲料の需要が増え、下回ると温かい飲料の需要が高まりやすい傾向が確認されています。
小売・流通:花粉・桜・気温で季節商材が動く—売場切り替えの考え方
ポイント
- 小売・流通では、気温上昇や花粉飛散が季節商材の売上に影響する
- 春の気温上昇により、ガーデニング・殺虫剤・制汗剤・UV関連商品が動き始める
- 地域別の気温差や花粉飛散、桜の開花予想を踏まえた売場切り替えが売上機会の最大化につながる
2025年は東北を除いて、花粉が多めに飛散したこともあり、3月は2024年よりも鼻炎治療剤や目薬の市場規模が前年よりも20%近く伸びました。
桜が咲き始め、ガーデニングを始める人が増え、殺虫剤などの売上が伸び始めるのもこの時期です。暖かさを感じ始めることで、制汗剤や日焼け止めクリームなども売れ始めます。
*2026年 春の花粉飛散予測(第3報)~まもなく花粉シーズン 暖かい日は要注意 飛散のピークは2月下旬から~
小売・流通業界への影響の詳細
小売・流通の現場では、売場の切り替え時期が一律にならず、地域差を意識した対応がより重要になります。寒暖差による冬商材と春商材が同時に動く「併売期間」が長引く売れ方が想定されます。
また、花粉飛散の本格化や桜の開花時期によって、外出関連需要や季節需要が地域ごとにずれて立ち上がる可能性があり、地域別の売場構成や販促タイミングの調整が、売上機会の最大化につながります。
日別の気温予報や花粉・桜の予測を活用し、エリアごとに段階的な売場切り替えや販促調整を行うことが重要です。特に春先は天候変動が大きいため、週間予報や日別予報をこまめに確認しながら柔軟に対応することが、需要ミスマッチの抑制につながります。
気象予報をMD・販促判断にどう活かすか
気象予報には長期から短期まで、さまざまな種類があります。
長期予報は大まかな季節や傾向を知ることに役立ち、短期予報は精度が高く多くの要素の予報が可能です。予報する期間が近づくほど、予報精度は向上するため、長期予報と短期予報を組み合わせてビジネスに活用することで、機会ロスや廃棄ロスを減らすことができます。
気象データの活用を始めるタイミングでは、ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」や簡易版需要予測サービスお天気マーケット予報など、指数や画像、解説やコメントがあるサービスの活用もおすすめです。
気象データの扱い方や自社ビジネスの予測への活用については、日本気象協会のコンサルティングサービスでも支援します。
予報期間別の気象データ
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月次予報
月ごとの傾向を示します。大まかな傾向の変化、昨年との比較ができ、長期の調達・生産・販売計画に活用いただけます。
*2年先長期気象予測:月別気温・降水量・降雪量・日照時間の予測(定量)、梅雨情報・台風情報など
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週次予報
週ごとの変化を示します。季節の変わり目を捉え、製造や売り場の切り替え判断に活用いただけます。
*ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」:12週先までの気温・体感の変化を確認可能
*気象予測配信サービス:ニーズに合わせてデータ配信
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日次予報
ピンポイントな地点の各種気象要素を提供可能です。気温や天気の変化の影響を受けやすい日配品・食品・小売業などの需要・来店予測、販促判断にも活用いただけます。
*ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」:30日までの天気・気温・降水確率・日射ランク・体感気温を確認可能
*Wether Date API:JSON形式のAPI(各種気象要素、指数情報等)
業界別の需要予測コンサルティング
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アパレル事業者様向けに分析・データ提供・活用支援を行います。株式会社アダストリア様のデータの協力を受け、日本気象協会が行ったシミュレーションでは、前年の実績から予測するよりも、気象データを活用することで売上金額の誤差が14%改善することが分かりました。
*詳細:2年先長期気象予測を活用した株式会社アダストリア様のファッションロス削減事例
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製造事業者様向けに商品の気象の影響の受けやすさを分析し、予測式を開発・需要予測データを提供して、データ活用の支援を行います。
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気象の変動を加味した高精度で使いやすい予測モデルを構築し、雨や気温などの影響を受けやすい小売事業者様の業務を、日々の発注業務の効率化などでサポートします。
まとめ|春物立ち上がり判断で押さえるポイント
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冬から春は寒暖差が大きく、季節商品の需要は一気に切り替わらず段階的に移行しやすい
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同じ気温でも、地域差や需要の感応度によって売れ方が異なる
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長期気象予報を活用した、柔軟な投入・販促判断が重要
冬から春にかけては、寒暖差が大きく、暖かい日と寒い日が交互に現れやすいほか、地域ごとに季節の進み方に差が出やすいことにより、季節商品の需要が一気に切り替わらず、段階的に移行していく特徴があります。
また、この時期の需要の変動は、商品ごとに気温への感応度や需要立ち上がりのタイミングが異なり、同じ気温条件でも、売れ方や需要の動きが異なることに注意が必要です。
このような状況では、過去の感覚だけでは需要のタイミングを読み切れないことを踏まえ、数週間〜数か月先の天候傾向を前提に意思決定することが重要になります。
今年2〜4月は気温の上昇が比較的早い一方で、寒の戻りを含む寒暖変動が繰り返されやすいといった天候傾向のポイントを事前に把握することができると、投入時期や数量を段階的に調整し、販促の開始時期を見極めることができます。
春物立ち上がりの判断では、2026年春は昨シーズンに比べて気温上昇のタイミングが早く、2月中旬以降に春らしい暖かさを感じる日が出やすい一方で、寒暖差が大きく需要が不安定になりやすいという天候ポイントを踏まえ、天候の変化を前提に柔軟に判断する姿勢を持つことが重要といえるでしょう。
FAQ|よくある質問
Q. 長期気象予報とは
A. 長期気象予報とは、一般に1か月以上に及ぶ期間の気象予報のことです。
短期予報のように日々の天気を当てるものではなく、「暖かくなりやすい/寒さが残りやすい」「季節の進みが早い/遅い」といった大きな流れを捉えるといった傾向把握を目的として活用されます。
アパレル・食品・小売・流通などの現場では、商品投入時期や生産量・発注量を検討するための判断材料といった中長期の意思決定材料として使われています。
Q. 寒暖差とは
A. 寒暖差とは、一定期間の中で気温の高い日と低い日の差が大きくなる状態を指します
冬から春にかけては、日中は気温が上がり、コートなしでも過ごしやすさを感じるような春の陽気の日と、気温が上がらず、風や冷え込みによって冬物の防寒対策が必要と感じられる寒い日が繰り返し現れやすく、体感気温の変化が大きくなります。
寒暖差が大きい年は、冬物と春物、あるいは季節商材同士の需要が同時並行で動きやすく、需要の切り替えが分散するという傾向が見られます。
Q. 春の訪れとは
A. 春の訪れとは、気温や日照、体感の変化を通じて、人々が「季節が春に移行した」と感じ始める状態を指します。
気象学的な「春」(3月~5月)と、消費行動に影響する「春の訪れ」は必ずしも一致しません。
実際の購買行動は、日中の気温が上がり、屋外での活動がしやすくなることや、厚手の衣類が不要だと感じる体感の変化などに左右されます。
春の訪れが早いか遅いかは、春物商品の動き出し、季節メニューや売場切り替えのタイミング、販促開始時期に影響を与える要因となります。