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2026年春の気象予測と電力需給・電力需要リスク|寒暖差・GW余剰への対応策

2026.02.26

春(3月~5月)は、寒暖差の拡大と再生可能エネルギー出力の増加が同時に起こる季節です。
そのため、電力需要予測の誤差拡大や余剰電力の発生など、需給バランスが不安定になりやすい時期といえます。

電力需要は気温との間に非線形の関係を持ちます。快適な気温帯では需要が低下し、それより高温・低温になると、増加する傾向があります(※1)
春はこの“最小需要帯”を挟みながら気温が大きく変動するため、需給管理の難易度が高まります。
さらに、暖かくなると日射量の増加により太陽光発電出力が伸びる一方、ゴールデンウィーク期間は需要が減少し、出力制御や余剰電力リスクが顕在化しやすくなります。

本記事では、気象庁の3か月予報(2026年2月24日発表)をもとに2026年春の天候傾向を整理し、電力・再エネ事業者にとって想定される需要変動リスク、太陽光発電出力リスク、余剰電力リスクを解説します。

<参考文献>
※1 [電力中央研究所, 2025.気象影響を考慮した電力需要動向把握の基礎的検討 研究報告]

2026年春の電力需給・電力需要のポイント

  • 3月は寒の戻りにより暖房需要が高止まりするリスク
  • 5月は高温傾向で、晴れた日には冷房需要が増加する可能性
  • 4月以降、快適な気温となる日が増えると電力余剰リスクも。
    土日祝日や、日射量の増加で太陽光発電出力の高まるGWは、電力余剰リスクが拡大。東京エリアでも出力制御を含む需給調整が必要となる可能性あり。

目次

春の気象条件は電力需給にどのような影響を与えるか

春(3月~5月)は季節の変わり目で気温や天気が大きく変化します。
3月から4月にかけては、寒の戻りによる低温や南岸低気圧による太平洋側の地域の低温・寡照など、需給ひっ迫につながるリスクがあります。

一方、5月に入ると気温が30℃以上になることも珍しくありません。
5月に30℃以上の気温を観測した日数は、過去10年平均で東京は1日、福岡は1.8日、名古屋では2.4日で、東京では2019年に30℃以上を観測した日が4日に達し、過去最多となりました。
気温が30℃以上になると冷房需要の増加が顕著となり、電力需要の急増に注意が必要です。

3月後半~5月中頃にかけては電力の余剰リスクにも考慮が必要です。
春は太陽光発電による供給量が増加する一方で、電力消費の少ない快適な気温帯となる日が増え、出力制御などシビアな需給調整が求められます。
特に近年は春の高温が顕著で、より早い時期から余剰リスクを考慮する必要が高まっています。

2026年春の天候から、今年の春に予想される電力需給リスクを見ていきます。

2026年春(3~5月)の天気・気温の傾向 3月までは寒の戻りに注意

2026年春は、期間を通して暖気が優勢となる見通しですが、3月までは寒気の影響も無視できません。3月の気温は平均すると平年並か平年より高い予想ですが、日によって寒暖差が大きくなる見込みです。
特に3月中頃の寒気の強さは気象予測モデル間でばらつきが大きく、予想より強い寒気が流れ込み、低温傾向に変わる可能性もあります。
また、本州付近を低気圧が通過したタイミングでは、太平洋側の地域でも低温・寡照・降雪の可能性があり、注意が必要です。

4月は暖気が優勢となり、高温傾向となる確率が高い見通しです。

5月は前半を中心に高気圧に覆われ、晴れる日が多い予想です。
後半は梅雨の走りの影響で東日本や西日本の太平洋側を中心に曇りや雨の日が多くなる見込みです。
気温は期間を通して平年より高めに推移し、晴れた日には気温が30℃を超えるような季節外れの高温となる可能性があります。

2026年春の気象を踏まえた電力需給へのリスク

春の気象条件は電力需給にどのような影響を与えるか?

  • 3月は寒暖差によって電力需要予測の誤差が拡大しやすい
  • 5月は高温による需給バランスの変動にも注意が必要
  • GW期間は1年で最も余剰が生じやすい時期

時期ごとの詳しい電力需給リスク解説

3月は2025年同様、寒暖差が大きく電力需要の見通しに影響するため、こまめな需給調整が求められます。
特に3月中頃は低温傾向となる可能性があり、数日以上の長いスパンで暖房需要の高止まりが想定されます。また、太平洋側の地域では南岸低気圧に伴い、1日~2日程度の短い期間で低温・寡照により需給がひっ迫するおそれもあり、注意が必要です。

日本気象協会では高精度な電力需要予測サービスを提供しています。

【日本気象協会】電力需要予測

一方、4月以降は高温傾向となる確度が高まります。
特に5月は高温が予想され、晴れた日には気温が30℃以上となる可能性が十分あります。
季節外れの電力需要の増加が生じるほか、工場や企業などの需要が減少する土日祝日などを中心に余剰リスクへの対応も必要です。

なかでもGWは需要が減少する一方、日射による供給量が多く、1年で最も余剰が生じやすい時期です。太陽光発電の出力予測を事前に把握しておくことが大切です。

【日本気象協会】日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar

2025年のGWは低気圧や前線が周期的に通過しましたが、2026年のGWは晴れる日が多い予想で、東京エリアでも初の出力制御が行われる可能性もあります。
供給過剰への対応や火力発電の調整、出力制御など、より厳密な調整が求められます。細かな調整にはデータのシステム連携も必要になるでしょう。

日本気象協会ではエネルギー事業者様に特化した高精度な気象情報をWeb APIで提供しています。

エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI

春の需給管理に必要な気象予測とは

春は「需要急増リスク」と「余剰リスク」が同時に存在する季節です。気象予測を使った各種予測の精度差がコストに影響します。
長期予報で傾向を捉えて計画を立て、各種気象要素や再エネ出力予測、電力需要予測など、エネルギーに特化した予測を活用することで、リスクとコストを削減し、安定した需給管理につなげましょう。

  • 2年先長期気象予測
    日本気象協会は業界で初めて、従来よりも精度が高く、予測期間の長い予測手法を開発しました。
    最長2年先までの気温や降水量、降雪量などの長期の傾向を把握することで、供給計画や燃料調達計画のコストを最適化できます。
  • 日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar *日本気象協会コーポレートサイトへ
    日射量予測は、最終的には前々日や前日断面の精度が重要になります。SYNFOS-solarでは、30分ごとの日射量・太陽光発電出力を78時間先まで予測します。
    予測値の面的な統計補正により、電力エリアごとの日射量分布予測(メッシュ予測)も提供可能です。独自技術(気象モデルの改良・予測値の統計補正)を組み合わせることで、予測の高精度化を実現します。
  • エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI
    ENeAPIは、エネルギー事業向けの気象情報をWebAPI形式で提供するサービスです。太陽光APIでは日射量や太陽光発電出力の推定・予測情報を提供します。
    エネマネAPIでは個々の工場・ビル・住宅から、マイクログリッド、スマートシティ、さらには電力エリア単位までの高度なエネルギーマネジメントに不可欠な気象情報のほか、戦略的な電力取引を支援する各種情報を提供します。
  • 電力需要予測 *日本気象協会コーポレートサイトへ
    電力需要は気温や湿度、日射量、雨、雪などさまざまな気象要素により大きな影響を受けます。
    気象予報士の知見や、人工知能(AI)・機械学習の解析技術を組み合わせ、高精度な電力需要予測サービスを提供します。

*余剰電力の予測については日本気象協会「個別需要家を対象とした余剰電力予測サービス」を開始~ビルや商業施設・家庭など、1地点ごとの余剰電力予測が利用可能に~をご覧ください。

FAQ

Q1.春の気象条件は電力需給にどのような影響を与えますか?

A.春(3月~5月)は寒暖差が大きく、低温による暖房需要の増加と、高温による冷房需要の増加が短期間で入れ替わるため、電力需給の変動幅が拡大しやすい季節です。
特に2026年春は、

  • 3月:寒の戻りにより暖房需要が高止まりする可能性
  • 4月~5月:高温傾向で冷房需要が増加する可能性
  • GW:日射量増加により太陽光発電出力が増え、余剰リスクが拡大

といった需給両面のリスクが想定されています。

Q2.春に電力需要は増えるのですか、それとも減るのですか?

A.一概に増減は言えず、「変動幅が大きくなる」ことが特徴です。

  • 3月は寒気の影響で暖房需要が高止まりする可能性
  • 5月は30℃以上の高温日が発生すると冷房需要が急増
  • 一方、快適な気温帯では需要が減少

このため、春は日ごとの需要振れ幅が大きく、需給管理の難易度が高まります。

Q3.2026年春の気温の特徴は何ですか?

A.2026年春は期間を通して高温基調と予想されています。

  • 3月:平年並~高めだが寒暖差が大きい
  • 4月:高温傾向の確率が高い
  • 5月:晴天時に30℃以上の季節外れの高温となる可能性

ただし、3月中旬は寒気の影響が予測モデル間でばらついており、想定以上の低温となる可能性もあります。

Q4.太陽光発電は春に不安定になりますか?

A.春は日射量が増加するため、太陽光発電の出力自体は増加しやすい季節です。
しかし同時に、

  • 需要が少ない快適な気温帯の日が増える
  • GWなど産業需要が減少する期間がある

これらが重なることで、供給過剰による余剰リスクが高まります。
2026年GWは晴天が多い予想で、東京エリアでも出力制御が行われる可能性があります。

Q5.なぜGWは電力の余剰が発生しやすいのですか?

A.GWは以下のような「需要減+供給増」が同時に発生するため、1年で最も余剰が生じやすい時期です。

  • 企業・工場の稼働停止により需要が減少
  • 日射量が多く太陽光発電出力が増加

2026年は晴れる日が多い可能性があるため、より厳密な需給調整が必要になる可能性があります。

Q6.春の気象リスクに対して電力事業者は何に注意すべきですか?

A.電力事業者が春の気象リスクに対して注意すべきことは、主に以下の3点です。

  1. 3月の寒の戻りによる暖房需要の高止まり
  2. 低気圧通過時の低温・寡照による短期的な需給ひっ迫
  3. 5月およびGWの高温・日射量増加による余剰リスク

寒暖差と日射量の変動の両方を考慮した需給調整が重要になります。

Q7.電力需要予測において気象はどこまで重要ですか?

A.電力需要は、気温や日射量などの影響を強く受けます。
特に春は寒暖差や寡照、高温などの変動が大きく、気象の見通しが需給計画の精度に直結します。

Q8.2026年春の電力需給管理のポイントは何ですか?

A.2026年春は以下の両面管理が重要です。

  • 需要側リスク:寒の戻り・季節外れの高温による需要急増
  • 供給側リスク:日射増加による余剰拡大

短期的な需給ひっ迫と、GWを中心とした供給過剰の両方に備えた調整が求められます。