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超長期予測はビジネスで何に使える?年間計画に役立つ2年先気象予測の活用

2026.06.17

年間計画、商品計画、生産計画、調達計画の策定において、前年実績だけでは需要変動や在庫リスクを見通しきれない場合があります。超長期予測は、こうした年単位の業務判断に気象傾向を反映するための判断材料です。

気温、降水量、日照時間などは、需要、在庫、売上、販促時期に影響するため、気象の影響を受ける商品・サービスを扱う企業では、数か月先から最長2年先までの見通しが重要になります。

本記事では、一般的な長期予報とビジネスで求められる超長期予測の考え方を整理し、日本気象協会の2年先長期気象予測のビジネス活用を解説します。

*予測期間ごとの気象データの使い分けについては、気象データはどう使い分ける?短期・中期・長期・超長期予測の違いとビジネス活用をご覧ください。

*サービス詳細は2年先長期気象予測をご覧ください。

目次

なぜビジネスでは超長期予測が必要なのか

ビジネスでは、当日や数日先の天気だけでなく、数か月先、翌年、再来年までを見据えた判断が必要になる場面があります。

こうした判断が求められる業務として、年間計画、商品計画、生産計画、調達計画、在庫計画、販促計画などの策定があります。これらの計画策定では、前年実績や直近の天気予報だけでは判断材料が不足することがあります。

気温、降水、降雪、日照、季節進行などの気象傾向は、需要や売上、在庫、調達、生産量に影響します。
前年の販売実績や出荷実績、在庫実績をもとに計画を立てる場合でも、翌年の需要や在庫の動きが前年と同じように推移するとは限りません。夏の暑さ、冬の寒さ、梅雨の時期、降水量、降雪量、日照時間などの気象条件が変わると、商品の売れ始めや需要のピーク、在庫の動きが変わる可能性があるためです。

そのため、年単位の計画では、前年の販売・出荷・在庫などの実績だけでなく、将来の気象傾向も踏まえて需要変動やリスクに備えることが重要です。超長期の気象予測は、前年実績だけでは捉えきれない将来の需要変動や供給リスクを見通し、年間計画や商品・生産・調達・在庫・販促計画に気象要因を反映するための重要な判断材料となります。

一般的な長期予報をビジネスに使う際の課題と、求められる気象データ

一般的な長期予報で分かること

気象庁の予報では、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などを通じて、月ごとの傾向、平年差に関する情報が提供されています。主に、気温や降水量などが平年と比べて高いか低いか、多いか少ないかといった傾向を把握することができます。

一方で、企業の年間計画や商品計画、生産計画、調達計画などに活用する場合には、季節傾向の把握だけでは十分でないことがあります。業務計画では、より長い予測期間に加え、月別・要素別・地域別といった細かな粒度での気象情報が求められるためです。

ビジネス活用で課題になりやすいポイント

気象庁の長期予報など、一般的な長期予報をビジネスに活用する際は、予測の長さや予測の粒度の面で課題が生じることがあります。

観点 ビジネス活用で課題となる例
予測の長さ 数か月先までの見通しでは、翌年・再来年の商品計画や生産計画には不足する場合があります。
予測の粒度 月別、要素別、地域別など、計画に使いやすい単位で気象データを確認したい場合があります。

こうした課題があるため、年単位の計画では、より長い予測期間や、月別・要素別・地域別などの粒度で確認できる気象データが求められます。

なお、需要や売上は、気象だけでなく、市場、価格、販促、在庫、消費者行動にも左右されます。また、長期予測は確定値ではありません。そのため、気象データは予測値だけで判断するのではなく、自社のデータと組み合わせながら、リスクや機会を把握する材料として活用することが重要です。

年単位の計画に求められる気象データ

年単位の計画では、次のような気象データが求められます。

  • より長い時間軸をカバーできること
  • 月別・要素別・地域別など、計画に使いやすい粒度であること
  • 販売データ、出荷データ、POSデータ、在庫データなど、自社の計画・実績データと組み合わせられること
  • 不確実性を前提に、リスクや機会を判断できること

一般的な長期予報で把握しやすい情報と、年単位のビジネス計画で求められる気象データを整理すると、次のようになります。

比較 一般的な長期予報で把握しやすいこと(例:気象庁) 年単位のビジネス計画で求められる気象データ
主な目的 季節傾向の把握 年間計画・商品計画・需要予測への活用
予測の長さ 1か月、3か月、暖候期・寒候期など 数か月〜2年など、年単位の計画に対応
時間・要素・地域の単位 期間全体の傾向や平年差 月別・要素別・地域別など、計画に使いやすい単位
活用の仕方 生活・防災・一般的な季節傾向の確認 生産計画、調達計画、在庫計画などで、販売データ・出荷データ・在庫データと組み合わせて判断

2年先長期気象予測でできることと、業務判断への活用

年間計画や商品計画、生産計画では、数か月先までの見通しだけでなく、翌年・再来年の気象傾向を踏まえた判断が必要になる場合があります。

日本気象協会では、気象業界で初となる最長2年先までの気象予測「2年先長期気象予測」を提供しています。

*参考:気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始 ~気象がビジネスに大きく影響するなか、より長期間の高精度な気象予測で支援~

2年先長期気象予測」では、月ごとの平均気温、日照時間、降水量、降雪量について具体的な予測数値を提供します。

2024年6月の提供開始以降、「2年先長期気象予測」は多くの企業で需要予測、資材調達、商品企画、生産調整、マーケティング計画などで活用されています。特に、アパレル企業や日用品小物の製造、食品業界では、商品企画から販売までのリードタイムが長いことから、商品企画から生産調整まで幅広いシーンで活用が進んでいます。

*参考:「2年先長期気象予測」の精度と活用事例

2年先長期気象予測で分かること

「2年先長期気象予測」は、一般的な長期予報では不足しやすい予測期間の長さで、年単位の計画に使いやすい月別・エリア別の定量的予測を提供します。

項目 提供内容
予測期間 最長2年先まで
時間の単位 月ごと
地域の単位 エリア別
気象要素 平均気温、降水量、降雪量、日照時間についての具体的な予測数値
その他の要素 月別の台風発生数・接近数、梅雨入り時期、梅雨明け時期など
提供方法 レポート提供、データ納品、コンサルティングなど

提供内容や提供形式の詳細は、「2年先長期気象予測」をご覧ください。

業務判断への活用シーン

2年先長期気象予測は、年単位で検討する業務判断に気象傾向を反映するためのデータとして活用できます。
たとえば、翌年・再来年の商品投入時期、生産量、調達量、在庫計画、販促時期を前倒しで検討する際に役立ちます。

業務判断 活用例
年間計画・経営計画 気温・降水傾向を前提に、売上・コスト・リスクを見通す
商品企画・MD計画 季節進行を踏まえ、商品投入時期や品ぞろえを検討する
調達・生産計画 長期需要を見通し、生産量や資材調達を調整する
在庫・発注計画 需要ピークや上振れ・下振れリスクを見て在庫を最適化する
販促・マーケティング 売れ始め・ピーク・終売タイミングを見極める
リスク評価・投資判断 気象による需要変動・事業リスクを前倒しで把握する

気象の影響を受けやすかったり、製造から販売までの期間が長かったりする商品やサービスについては、2年先までの気象傾向を把握することで、より早い段階からの計画を検討・見直ししやすくなります。

活用事例・関連発表

2年先長期気象予測は、電力小売、発電事業、アパレル製造小売、日用品小物製造卸、食品メーカーなどさまざまな業界で、電力需要予測、燃料調達、商品企画、生産量調整、年間マーケティング計画などに活用されています。

2年先長期気象予測の活用実績・関連発表を見る
項目 主な活用内容
売上予測誤差 株式会社アダストリアからアパレル販売データの提供協力を受け、「2年先長期気象予測」を活用した場合のファッションロス改善率をシミュレーションしました。
東京都内の店舗における冬物アウターのシーズン合計売上金額について、発注が行われる10か月前時点の長期気温予測を用いて予測をした結果、前年実績を使って生産計画をする場合と比較して、誤差が14%改善するという結果が得られました。
株式会社アダストリア様の導入事例
予測誤差 6か月先までの予測において、従来の手法と、今回の「2年先長期気象予測」の手法による予測の精度を比較したところ、予測誤差に20~40%の改善が見られました。
気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始
電力需給予測 「2年先長期気象予測」を使って2024年5月~9月の東日本(太平洋側)の月平均気温予測を実施したところ、翌年を対象とした電力需給見通しで一般的に利用される「直近10年平均気温」と比較して予測誤差25%低減※1という顕著な効果を確認することができました。
※1 12か月前時点の気温予測データにもとづく評価結果
「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会
受賞歴 『「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会』の取り組みが、日本経済新聞社が主催する「2024年度NIKKEI脱炭素アワード」で大賞を受賞しました。
「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会
「2024年度NIKKEI脱炭素アワード」で日本気象協会が大賞を受賞

社会・防災事業部の小越 久美が、文部科学省による「令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)」を筑波大学 生命環境系 植田宏昭教授と共に受賞しました。
社会・防災事業部小越 久美が令和7年度 文部科学大臣表彰(科学技術振興部門)を受賞 「季節予報の基盤技術の開発に基づく社会実装の振興」

また、電力・エネルギー業界からの反響も大きく、長期の電力需要予測や燃料調達の最適化に役立っているとの声が寄せられています。利用企業からは「電力需要予測精度が30%向上した」という報告もあります。

まとめ|年単位の計画には、2年先まで見通す超長期気象予測の活用が重要

ビジネス計画では、直近の気象だけでなく、年単位の気象傾向を把握することも重要です。
「2年先長期気象予測」は、最長2年先までの気象予測を提供し、長期計画の意思決定を支援します。

  • 一般的な長期予報は、季節傾向を把握するうえで有用ですが、ビジネス活用では、さらに長い予測期間、月別・要素別の粒度、業務データとの組み合わせが求められます。
  • 日本気象協会の「2年先長期気象予測」により、企業は1年以上先の天候による社会影響や商品需要を把握でき、精緻な生産計画、調達計画、販売計画、経営計画の立案が可能となります。

*サービスの詳細は、2年先長期気象予測をご覧ください。

また、需要や売上は、気象だけでなく、市場、価格、販促、在庫、消費者行動などにも左右されます。日本気象協会では、各企業が保有する販売データ、出荷データ、POSデータ、在庫データなどと気象データを組み合わせた解析・コンサルティングも行っています。詳しくは下記サービスページをご覧ください。

各種課題や疑問点については、お気軽にご相談ください。

FAQ|よくある質問

Q1. 長期予測はビジネスで何に使えますか?

A. 長期予測は、年間計画、商品計画、生産計画、調達計画、在庫計画、販促計画などに活用できます。
気温・降水量・降雪量、日照時間などの気象傾向を把握することで、需要変動や在庫リスク、販売機会を早めに検討しやすくなります。

Q2. 一般的な長期予報と2年先長期気象予測は何が違いますか?

A. 一般的な長期予報は、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などにより、季節傾向を把握するための情報です。
日本気象協会の「2年先長期気象予測」は、最長2年先までの気象傾向を、月ごと・エリア別・要素別に確認でき、年間計画や商品計画に活用しやすい点が特徴です。

Q3. 2年先長期気象予測では何が分かりますか?

A. 2年先長期気象予測では、最長2年先までの平均気温、降水量、日照時間などの具体的な予測数値を確認できます。
そのほか、月別の台風発生数・接近数、梅雨入り時期、梅雨明け時期なども提供要素に含まれます。

Q4. 2年先長期気象予測はどのような業務判断に使えますか?

A. 2年先長期気象予測は、年間計画、商品企画・MD計画、調達・生産計画、在庫・発注計画、販促・マーケティング、リスク評価などに活用できます。
たとえば、翌年・再来年の商品投入時期、生産量、調達量、在庫計画、販促時期を前倒しで検討する判断材料になります。

Q5. 長期気象予測を需要予測や生産計画に活用するには何が必要ですか?

A. 長期気象予測を需要予測や生産計画に活用するには、気象データだけでなく、販売データ、出荷データ、POSデータ、在庫データなど自社の計画・実績データと組み合わせることが重要です。

プロフェッショナル紹介

小越 久美(おこし くみ) 一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部

小越 久美(おこし くみ)

一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部 気象DX事業部 シニアデータアナリスト
気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士

筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学)卒。
2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。

現在は日本気象協会の商品需要予測事業にて、食品、日用品、アパレル業界などのマーケティング向け解析や商品の需要予測を行い、さまざまな企業の課題を解決するコンサルティングを行っている。

著書に「かき氷前線予報します~お天気お姉さんのマーケティング~」「天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん」がある。