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工場・倉庫の熱中症対策|予報・観測・個別分析で暑熱リスクを管理するポイント
2026.07.31
工場・倉庫の熱中症対策では、環境省・気象庁が発表する熱中症警戒アラートや、天気・気温・暑さ指数(WBGT)の予測値に加えて、地域や拠点ごとに予報データと観測値を活用し、暑熱リスクを早めに把握することが重要です。
地域や拠点ごとのピンポイントな予報データは、本部・管理部門による拠点管理、生産計画、出荷計画、人員配置、休憩計画に活用できます。黒球付熱中症計などを使って屋内外の暑さ指数(WBGT)の観測値を取得することで、実際の暑熱環境をより正確に把握し、当日の休憩判断や作業変更に活用できます。
さらに、自社の設備・作業内容に合った対策を進めたい場合は、個別のリスク分析、指標作成、専門家コンサルティングを組み合わせることも有効です。
本記事では、工場・倉庫の安全衛生担当者、施設管理者、拠点管理者向けに、暑熱リスク対策の考え方と活用できる情報・サービスを解説します。
目次
工場・倉庫の暑熱対策で見るべき指標
梅雨明け後は、気温が上がりやすく、工場・倉庫でも熱中症に特に注意が必要です。
熱中症対策では、気温だけでなく、暑さ指数(WBGT)を確認することが大切です。
暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱・風速などを踏まえて暑熱環境を把握するための指標です。気温が同じでも、湿度が高い、風が弱い、日射が強い、熱源設備や建物からの輻射熱が大きいといった条件では、作業者の暑熱負荷が高まりやすくなります。
*暑さ指数(WBGT)についての解説や、業務判断に活用するポイントは、職場の熱中症対策は暑さ指数(WBGT)でどう判断する?現場確認・アラート・データ連携の使い分けをご覧ください。
工場・倉庫では、一般の住居やオフィスビルと異なる建築構造であることもあり屋内でも暑熱リスクが高まることがあります。特に、空調が効きにくい場所、熱源設備の近く、荷さばき場、搬入口、屋外ヤードなどでは、作業環境や作業内容によって熱中症リスクが異なります。
*関連記事
2025年6月1日から職場での熱中症対策が義務化 必要な対策と暑さ指数(WBGT)の活用
そのため、工場・倉庫の暑熱リスク管理では、以下の3つの視点で対策を考えることが重要です。
- 暑さ指数予報データを活用した施設管理・作業計画
- WBGT観測値を活用した現地対策
- 個別分析・指標作成による自社環境に合った判断基準づくり
工場・倉庫の暑熱リスク管理は「予報・観測・個別分析」の3段階で考える
工場・倉庫の暑熱リスク管理では、暑くなってから対応するだけでなく、予報データで事前に備え、観測データで実際の現場環境を確認し、必要に応じて個別分析により自社環境に合った基準を検討することが重要です。
気象情報などを活用した暑熱リスク対策は、大きく以下の3段階で整理できます。
| 分類 | 目的 | 活用する情報・サービス | 主な判断シーン |
|---|---|---|---|
| 予報データの活用 | 暑くなる前に計画する | WBGT予報、気温・湿度などの気象予報、Weather Data API、気象リスク対策情報、気象データ配信、biz tenki | 生産計画、出荷計画、人員配置、休憩計画、注意喚起 |
| 観測値の活用 | 実際の屋内環境を把握する | 日本気象協会監修の黒球付熱中症計(いまいる場所のWBGT値の観測が可能、JIS b 7922:2023適合) | 作業場所別の暑熱環境確認、当日の休憩・作業変更判断 |
| 個別分析・指標作成・コンサルティング | 自社環境に合った基準を作る | 屋内暑熱リスク分析、過去事例解析、独自指標、専門家コンサルティング | 拠点別基準値、設備別リスク評価、全社ルール設計 |
予報データは、暑熱リスクが高まる日や時間帯を事前に把握するために活用できます。
観測値は、黒球付熱中症計などで実際の作業環境を把握し、当日の安全管理に活用します。作業場所によって異なる暑熱リスクを定量的、リアルタイムに把握することで、より現場に即した気づき・対策が可能となります。
さらに、屋外を想定した暑さ指数(WBGT)予測確認だけでは自社環境に合った判断が難しい場合、日本気象協会では過去事例解析や企業側データを使った個別分析による、独自指標や判断基準づくりの支援も行っています。
判断の目安となる暑さ指数(WBGT)数値
職場の熱中症対策義務化の対象となるのは、暑さ指数(WBGT)28℃以上または気温31℃以上の作業場で、継続して1時間以上または1日あたり4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。
そのため、暑さ指数(WBGT)28℃以上または気温31℃以上の暑熱環境の正確な把握が重要です。
ただし、数値だけで一律に判断するのではなく、作業内容、作業時間、作業場所、従業員の状態と組み合わせて対応を検討することが必要です。
作業強度によって、熱中症対策の目安となる暑さ指数(WBGT)は異なります。暑熱順化の有無によっても基準値が変わるため、暑さ指数(WBGT)の数値だけでなく、作業内容や作業者の状態をあわせて確認することが重要です。
*参考:【「熱中症ゼロへ」プロジェクト】暑熱順化
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則で求められる対応の詳細については、関連記事「2025年6月1日から職場での熱中症対策が義務化 必要な対策と暑さ指数(WBGT)の活用」もご覧ください。
*日本気象協会では、建設業、製造業、運送業、警備業、小売・飲食、農業、観光・イベントなどの作業を対象に、作業の活動レベルと暑熱順化の有無に応じたWBGTの上限の目安を確認できる「業種別WBGT(暑さ指数)作業目安表」を作成しました。作業目安表のダウンロードは、「業種別WBGT(暑さ指数)作業目安表を公開|作業強度別のWBGT上限値の目安と30日先予測の活用」から。
工場・倉庫の暑熱リスク対策に活用できる情報・データ・現場確認
梅雨明け後など、晴れて気温が上昇する日が続く場合、工場や倉庫でも熱中症リスクに注意が必要です。屋外作業だけでなく、屋内作業でも暑熱リスクが高まる場合があります。
暑熱リスク対策では、本部・管理部門と現場、予報データ・観測データの活用など、それぞれの目的に合わせて、実施内容が異なります。以下では、目的に応じたデータ活用を紹介していきます。
本部・管理部門で暑熱リスクが高まる日を早めに把握したい
工場・倉庫の暑熱対策では、暑熱リスクが高まってから対応するのではなく、気温・湿度・暑さ指数(WBGT)などの予報データを使って事前に計画することが重要です。
予報データは、目的に応じて長期・中期・短期で使い分けることで、暑熱リスク対策に活用しやすくなります。例えば、日本気象協会で提供している予報データは、下記のように活用することができます。
- 30日先の見通し:暑熱対策準備、資材準備、月間の要員計画
- 14日先の見通し:生産計画、出荷計画、人員配置、休憩計画の調整
- 時別72時間先・日別7日先の見通し:当日から数日先の注意喚起、作業時間の見直し、休憩判断
日本気象協会のWeather Data API、事業者様向け 気象リスク対策情報、気象データ配信、ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」などは、暑熱リスクが高まる日を事前に把握する手段として活用できます。自社システムに組み込む、画面で確認する、データとして受け取るなど、利用目的に応じて提供が可能です。
本部・管理部門で複数拠点の暑熱リスクをまとめて管理したい
複数の工場・倉庫を管理している場合、地域や拠点ごとに気温・湿度・暑さ指数(WBGT)の高まり方は異なります。そのため、本部・管理部門では、拠点別に暑熱リスクを確認し、注意喚起や休憩計画を出し分けることが必要となります。
事業者様向け 気象リスク対策情報では、拠点ごとの気象予測情報やWBGT近似値を確認できます。複数拠点の暑熱リスクを早めに把握することで、リスクが高まりやすい拠点への事前連絡、人員配置の調整、作業時間帯の見直しなどを検討しやすくなります。
また、オプションのアラートメールを活用することで、注意喚起や休憩判断の見落としを防ぎやすくなります。
現場で実際の屋内施設の暑熱環境を確認したい
屋内施設の暑熱リスクは、屋外の気温や暑さ指数(WBGT)の予報だけでは判断しきれない場合があります。工場・倉庫では、建物構造、空調・換気、熱源設備、作業内容、作業者の滞在時間によって、実際の暑熱環境が変わるためです。
そのため、屋内施設では、日本気象協会監修の黒球付熱中症計などを設置し、作業者が実際に働く場所のWBGTや温湿度を確認することが重要です。
観測データは、以下のような当日の判断に活用できます。
- 作業場所別の暑熱環境確認
- 休憩時間や休憩頻度の見直し
- 作業時間や作業内容の変更
- 作業者への暑熱リスクの掲示・共有などの注意喚起
予報データで暑熱リスクが高まりそうな日を把握し、当日は黒球付熱中症計などの観測値を把握して実際の現場環境を確認することで、事前計画と当日の安全管理をつなげやすくなります。
本部・管理部門が自社システムや現場画面でデータを使いたい
暑熱リスク対策に使う気象データやWBGTデータは、利用目的に応じて確認方法を使い分けることが重要です。本部・管理部門が自社システムで活用したい場合、データとして受け取りたい場合、現場責任者が画面で確認したい場合では、使いやすい形が異なります。
- 自社システムに気象データやWBGTデータを組み込みたい場合:Weather Data API
- CSV、メール、FTPなどでデータを受け取りたい場合:気象データ配信
- 現場責任者や拠点管理者が日々の暑熱リスクを画面で確認したい場合:ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」
- 複数拠点の暑熱リスクを管理したい場合:事業者様向け 気象リスク対策情報
例えば、本部ではAPIやデータ配信を使って全社システムに取り込み、現場では画面やアラートで日々の暑熱リスクを確認する、といった使い分けも可能です。
自社環境に合った判断基準を作りたい
一般的なWBGT確認に加えて、自社の設備・作業内容に合った暑熱リスク基準を検討したい場合は、個別分析や指標作成も選択肢になります。これは、予報データや観測データによる基本的な対策に加えて、自社環境に合わせた判断基準を検討したい場合に有効です。
個別分析・指標作成には、オープンデータを使って過去事例から傾向を把握する方法と、自社のデータを使って自社の拠点・作業内容に合わせて個別に算出・指標化する方法があります。
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オープンデータを使った、暑熱リスク予測
熱中症搬送者数等のオープンデータや過去気象データを使って、熱中症リスクが高まりやすい時期、時間帯、気象条件、作業環境の傾向を解析することが可能です。過去事例解析にもとづいて暑熱リスクが高まりやすい条件を把握することで、注意喚起や休憩判断に活用できるリスク予測の検討につなげられます。
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自社データを使った、拠点・作業内容に合わせた個別の算出・指標化
自社の過去事例(ヒヤリハット含む発症事例など)、現場測定データ(気温・湿度)、設備条件、作業内容などを使うことで、各拠点や作業内容を踏まえた熱中症リスクの個別算出・指標化も検討できます。必要に応じて、自社独自の予測情報や判断基準として活用することも考えられます。
日本気象協会では、こうした暑熱リスクの分析や判断基準づくりについて、気象データの解析や専門家の知見を組み合わせた支援を提供しています。分析結果は、注意喚起、休憩、作業変更、全社ルール設計などに反映しやすくなります。自社環境に合った暑熱リスク分析や判断基準づくりを検討したい場合は、事業者様向け 気象リスク対策情報の活用に加え、個別にご相談ください。
まとめ
工場・倉庫の熱中症対策では、気象庁の熱中症警戒アラートやポイント予測に加えて、予報データ・観測データ・個別分析を組み合わせ、暑熱リスクを事前計画と当日の現場判断に活用することが重要です。
- 予報データは、例えば30日先、14日先、時別72時間先・日別7日先などの時間軸で、暑熱対策準備、生産計画、出荷計画、人員配置、休憩計画に活用できます。
- 観測データは、日本気象協会監修の黒球付熱中症計などで屋内施設の暑さ指数(WBGT)や温湿度を確認し、当日の休憩判断、作業変更、注意喚起に活用できます。
- 自社環境に合った暑熱リスク管理を行いたい場合は、オープンデータや企業側データを使った個別分析により、独自指標や判断基準づくりを検討できます。
FAQ
Q1. 工場・倉庫の熱中症対策では、何を確認すればよいですか?
A. 工場・倉庫の熱中症対策では、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)、気温・湿度の予報、現場の観測値を確認することが重要です。
予報データで暑熱リスクが高まる日を把握し、黒球付熱中症計などで実際の作業環境を確認します。
Q2. WBGTとは何ですか?気温だけを確認するのと何が違いますか?
A. WBGTは、気温・湿度・輻射熱などを踏まえて暑熱環境を把握するための指標です。
気温が同じでも、湿度、風、日射、熱源設備や建物からの輻射熱によって、作業者の暑熱負荷は変わります。なお、【環境省】熱中症予防情報サイトで公開されている暑さ指数(WBGT)はWBGTの実測値や実況推定値です。
Q3. 工場・倉庫の屋内でも熱中症リスクは高まりますか?
A. はい。工場・倉庫では、居住環境のような断熱構造を検討していない場合も多く、屋内であっても空調が効きにくい場所、熱源設備の近く、荷さばき場、搬入口などで暑熱リスクが高まることがあります。
建物構造、換気、作業内容、作業者の滞在時間によってもリスクは異なります。
Q4. 熱中症警戒アラートや暑さ指数(WBGT)だけで、屋内の暑熱リスクは判断できますか?
A. 屋内の暑熱リスクは、熱中症警戒アラートや暑さ指数(WBGT)だけでは把握しきれない場合があります。屋内では、黒球付熱中症計などで作業者が実際に働く場所のWBGTや温湿度を確認することが重要です。
Q5. 工場・倉庫の暑熱リスク対策に、予報データはどのように活用できますか?
A. 予報データは、暑熱リスクが高まる日や時間帯を事前に把握し、施設管理や作業計画に活用でき、暑熱リスクの見通しを、生産計画、出荷計画、人員配置、休憩計画、注意喚起に役立てられます。
Q6. 自社の設備や作業内容に合った暑熱リスクの判断基準を作ることはできますか?
A. はい。オープンデータや過去気象データ、自社の過去事例、現場測定データ、設備条件などを使って、独自指標や判断基準づくりを検討できます。
日本気象協会では、気象データの解析や専門家の知見を組み合わせた支援も提供しています。