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2026年秋の天候と電力需要・電力市場価格への影響 ~単発的な高温と気温変化に備える需給運用~
2026.08.07
2026年秋は、昨年のような残暑が長期間続く可能性は低い一方、単発的な高温や日々の気温変化が大きくなる可能性があります。また、秋は冷房需要から暖房需要への移行期であり、気温変化が電力需要や市場価格、需給運用へ影響しやすい季節です。
本記事では、2026年秋の気象の特徴を踏まえ、電力需要・市場価格・太陽光発電・需給運用への影響と、日本気象協会のサービスの活用方法を紹介いたします。
※本記事の天候の見通しは、2026年7月21日に発表された気象庁の3か月予報をもとに、9~10月を対象に解説します。
目次
2026年秋の天候の特徴
2026年秋は、9月と10月で気温の特徴がやや異なる見通しです。
2026年9月と10月の天候のポイント
- 昨年ほど厳しい残暑が長期間続く可能性は低い
- 単発的な高温は発生する可能性がある
- 天気が周期的に変化しやすい
- 北日本を中心に10月は高温傾向が顕著となる
2026年9~10月の天候について、電力需給の観点から押さえておきたい点は以下となります。
9月:残暑は長続きしにくい一方、一時的な高温に注意
9月の気温はおおむね平年並の予想で、近年と比較すると厳しい残暑は続かない見込みです。ただし、一時的な太平洋高気圧の強まりや台風の接近・通過などによって暖気が流れ込み、1日~2日程度の短い期間で高温となる可能性がある点には注意が必要です。
*2026年の詳しい台風傾向については、2026年の台風傾向【7月30日更新】お盆にかけて発生増加の可能性|8月は3~6個が日本に接近する予想をご覧ください。
10月:北日本を中心に高温傾向、季節の進みが遅れる可能性
10月は気温が全国的に平年より高くなる予想で、特に北日本を中心にその傾向が強くなっています。2024年は10月として記録的な高温となりましたが、今年もそれに匹敵する高温となる可能性があります。北日本では平年であれば最低気温が一桁の日も多くなる頃ですが、今年は季節の進みが遅くなりそうです。また、高気圧に覆われて平年より晴れる日も多くなる見通しです。
秋の天候が電力需要へ与える影響
2026年秋の天候が電力需要に与える主な影響は、次の3点です。
① 残暑による冷房需要の上振れ
- 高温が一日だけの場合でも、前日からの気温上昇幅が大きいと、需要が急増する可能性がある。
- 10月でも最高気温が30℃以上となる可能性があり、低需要期でも需要が低下しにくい。
② 急な気温変化による需要予測誤差
- 前日との気温差が大きい日は、過去の需要実績をそのまま予測に適用しにくい。
- 予想以上の気温上昇では冷房需要が上振れし、急な気温低下では冷房需要が想定以上に減少する可能性がある。
- 秋は冷房・暖房の端境期であるため、気温変化に対する需要の感応度が日によって異なりやすい。
③ 高温継続による暖房需要の立ち上がり遅れ
- 10月も高温が続くと暖房の使用開始が遅れ、需要が平年より伸びにくくなる(北日本中心)。
このため、秋の需給運用では、月の気温の傾向だけでなく、前日との気温差や日々の気温予測の変化を確認することが重要となります。
秋の天候が電力市場価格へ与える影響
秋は電力需要の変動により、市場価格も気象条件の影響を受けやすい季節です。急な気温変化により需要予測の不確実性が高まり、電力市場価格やインバランス料金の変動、電力余剰や出力制御につながる可能性があります。
下図は、前日との気温差が大きかった日に、電力需要の増加とインバランス料金の大きな変動がみられた事例です。インバランス料金は気温変化だけでなく、再生可能エネルギーの発電量予測誤差や需給状況など、複数の要因によって変動します。
以下では、インバランス料金、スポット市場価格、電力余剰・出力制御の3つについて解説します。
インバランス料金への影響
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需要予測誤差
急な気温変化により需要予測が外れると、計画値と実績値の差が拡大し、インバランスが発生しやすくなる。
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太陽光発電量予測誤差
天気は周期的に変わり、低気圧や前線などによる雲のかかり方によって日射量が変化し、太陽光発電量の予測誤差が大きくなる可能性がある。
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インバランス発生リスク
需要と再エネ出力の双方に予測誤差が生じると、調整電源への依存が高まり、追加の調整コストが発生することで、インバランス料金が上昇する可能性がある。なお、実際のインバランス料金は、需給状況や調整力の確保状況など、複数の要因によって変動する。
スポット市場価格への影響
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単発の高温による価格変動
一時的な高温により冷房需要が増加すると、需要ピーク時の供給余力が小さくなり、スポット市場価格が上昇しやすい。
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気温変化に伴う市場価格の変動
秋は需要が日ごとに変動しやすく、市場参加者の需給見通しも変化するため、価格変動が大きくなる可能性がある。
電力余剰・出力制御への影響
- 気温が平年より高く暖房需要の立ち上がりが遅れる一方、太陽光発電量が多い晴天時は、正午ごろを中心に供給力過多となる可能性がある。
- 4月や5月の太陽光発電量が多い時期ほどではないものの、再生可能エネルギーの発電量が需要を上回り、火力発電の出力抑制などで対応しても需給バランスを維持できず、出力制御となる可能性がある。
2026年秋の特徴を踏まえた日本気象協会のサービス
2026年秋は、一時的な高温や日々の気温変化により、電力需要や市場価格が変動しやすくなる可能性があります。また、高温による暖房需要の立ち上がり遅れや、天候変化に伴う再生可能エネルギーの発電量変動なども、需給運用に影響を与える要因となります。こうしたリスクへの対応には、気象情報を活用した需要予測や市場価格予測が重要です。
急な気温変化を踏まえて需要計画や調達量を見直したい
⇒ 電力需要予測 *日本気象協会コーポレートサイト
電力需要は気温や湿度、日射量、降水など、さまざまな気象要素の影響を大きく受けます。日本気象協会では、過去の電力需要の特徴を気象条件や社会活動などの変動要因に基づいて解析し、AIを含む高度なデータ分析技術を組み合わせ、高精度な電力需要予測を提供しています。さらに、気象予報士によるコンサルティングを通じて、日々の需給運用を支援します。急な気温変化による需要変動が大きくなりやすい秋においても、需給計画や市場取引の判断をサポートします。
(ENeAPIでは、WebAPI形式で電力需要予測を提供しています。)
市場価格の変動を見込み、発電・調達・蓄電池運用を検討したい
⇒ プライス予測(電力取引価格予測)
気象条件の変化による電力需要や再生可能エネルギー発電量の変動は、電力市場価格の変動にもつながります。特にスポット市場では、前日時点で翌日の取引価格を決定する必要があるため、翌日の気象条件を正確に把握することが重要です。秋は日々の気温変化や天候の変化が大きく、需要や再生可能エネルギー発電量の予測誤差が価格変動につながりやすい季節です。
日本気象協会では、気象ビッグデータとAIによる解析技術を駆使した高精度な電力取引価格予測サービスにより、翌日受渡分から最大31日先受渡分までの価格を提供します。戦略的な発電・調達・充放電計画を可能にし、エネルギー事業者向けの収益の最大化と事業の安定運用を支援します。
再エネ予測データを自社システムへ自動連携したい
⇒ エネルギー事業者様向けAPIサービス ENeAPI
エネルギー事業向けの気象情報をWebAPI形式で提供するサービスです。日射量・太陽光発電出力予測、風向風速・風力発電出力予測、電力需要予測、電力取引価格予測など、エネルギー事業者様向けに高精度で多様な気象情報を取り揃えています。
太陽光発電量の変動を踏まえ、発電計画や需給運用を見直したい
⇒ 日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar *日本気象協会コーポレートサイト
日射量予測では、前々日や前日断面における予測精度が特に重要になります。秋は天候の変化が大きく、雲のかかり方によって日射量や太陽光発電量が変動しやすいため、高精度な予測が需給運用や発電計画において重要となります。SYNFOS-solarでは、30分ごとの日射量・太陽光発電出力を78時間先まで予測します。予測値の面的な統計補正により、電力エリアごとの日射量分布予測(メッシュ予測)も提供可能です。気象モデルの改良と予測値の統計補正を組み合わせることで、高精度な予測を実現します。
まとめ
2026年秋は、一時的な高温や日々の気温変化により、電力需要や電力市場価格が変動しやすくなる可能性があります。また、太陽光発電量の変動も需給運用に影響を与えることから、気象情報を活用した需要予測や価格予測、発電量予測の重要性がより一層高まります。日本気象協会では、これらの予測サービスを通じて、電力事業者の安定した需給運用や市場取引を支援しています。
FAQ|よくある質問
Q. 2026年秋の天候は電力需要にどのような影響がありますか?
A. 2026年秋は、昨年ほど残暑が長期間続く可能性は低いものの、一時的な高温や日々の気温変化が電力需要に影響を与える可能性があります。また、10月の高温により暖房需要の立ち上がりが遅れ、平年より需要が伸びにくくなることも考えられます。
Q. 一日だけの高温でも電力価格は上昇しますか?
A. はい。一日だけの高温であっても、冷房需要が急増すると需給がひっ迫し、スポット市場価格が上昇することがあります。特に前日との気温差が大きい日は、需要予測誤差が生じやすく、市場価格の変動につながる可能性があります。
Q. 秋はなぜ電力需要予測が難しくなるのでしょうか?
A. 秋は冷房需要から暖房需要への移行期であり、同じ気温でも季節の進み具合によって電力需要の変化が異なります。また、日々の気温変化が大きいため、過去の需要実績だけでは需要を予測しにくい季節です。
Q. 太陽光発電量予測は秋に外れやすいのでしょうか?
A. 秋は高気圧と低気圧が交互に通過し、天候が周期的に変化しやすい季節です。雲の広がりや日射量が短時間で変化することがあり、太陽光発電量予測の誤差が大きくなる場合があります。
Q. インバランス料金はどのような場合に高くなりますか?
A. 急な気温変化による需要予測誤差や、日射量の変化による再生可能エネルギー発電量予測誤差が大きくなると、需給調整に追加の対応が必要となり、インバランス料金が上昇する可能性があります。
Q. 秋の電力需給で注意すべき気象要素は何ですか?
A. 気温、日射量、雲量、降水、台風などが代表的な要素です。特に秋は前日との気温差や天候の変化が大きくなりやすく、電力需要や再生可能エネルギー発電量に影響を与えるため注意が必要です。
Q. 気象予測は電力需給運用や市場取引にどのように活用できますか?
A. 気象予測を活用することで、電力需要や再生可能エネルギー発電量、電力市場価格の変動をあらかじめ見込んだ需給計画や市場取引が可能になります。需要予測や価格予測の精度向上は、インバランスリスクの低減や効率的な発電・調達計画にも役立ちます。
プロフェッショナル紹介
監修:鈴木 純二(すずき じゅんじ)
一般財団法人 日本気象協会 環境・エネルギー本部 エネルギー事業部 予報サービス課 課長
気象予報士
日本気象協会に入社後、エネルギー事業者向けの気象情報提供業務を担当。
2019年からは電力・再生可能エネルギー分野を中心に、気象情報提供やコンサルティング業務に従事。
2025年4月からは「エネルギーサポートチーム」の運用を担当し、電力需給運用や事業判断を支援するサービスの高度化を推進。
エネルギー業界の実務に寄り添った提案と、わかりやすい情報発信を行っている。