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2年先長期気象予測を事業計画にどう使う?翌年度・翌々年度の意思決定への活用法
2026.06.17
公開:2026年6月17日
最終更新:2026年10月2日
2年先長期気象予測は、将来の天候傾向を確認するだけの情報ではありません。月別・エリア別の気象予測を自社の販売・出荷・需要データなどと組み合わせることで、生産量、調達量、在庫、予算、販促時期などを見直す判断材料として活用できます。
特に9~11月頃は、翌年度の事業計画や販売計画、生産計画、調達計画、予算などを検討する企業も多い時期です。
こうした計画では前年実績が重要な判断材料になりますが、翌年の気象条件が前年と異なれば、需要や生産、在庫、調達コストも変化する可能性があります。
日本気象協会の「2年先長期気象予測」は、最長24か月先までの月平均気温に加え、降水量、降雪量、日照時間などを予測する法人向けサービスです。梅雨入り・梅雨明けの時期、台風の発生数・接近数などの情報も提供し、自社データを用いた解析や気象コンサルティングにも活用できます。
この記事のポイント
- 2年先の予報は、前年実績だけでは捉えられない需要変動や事業リスクを検討するために活用する
- 気温だけでなく、降水量、日照時間、降雪量、梅雨、台風など、事業に影響する複数の要素を確認する
- 予測を見るだけで終わらせず、自社データと組み合わせ、発注量や生産量などの判断へ変換する
本記事では、2年先(24か月先)の気象予測を、年間計画や商品・生産・調達・在庫計画などの意思決定につなげる方法を解説します。
*予測期間ごとの気象データの使い分けについては、気象データはどう使い分ける?短期・中期・長期・超長期予測の違いとビジネス活用をご覧ください。
*サービス詳細は2年先長期気象予測をご覧ください。
目次
なぜ年単位の事業計画策定に2年先の気象予測が必要なのか
前年実績だけでは翌年度の需要を見通せない場合がある
年間計画や商品計画では、前年の販売、出荷、在庫などの実績を基準にすることがあります。しかし、前年と翌年で気温や降水量、降雪量、日照時間、梅雨の時期などが異なれば、商品の売れ始め、需要のピーク、在庫の動き、終売時期が変わる可能性があります。
前年実績だけで計画を立てると、需要の増減を十分に織り込めず、欠品による販売機会の損失や、過剰在庫、廃棄、追加調達コストなどにつながることがあります。
長期気象予測を活用することで、前年とは異なる気象条件になる可能性を計画へ織り込み、需要の上振れ・下振れに備えることができる可能性があります。
気象予測で見直す主な意思決定の例
| 計画・業務 | 気象予測を踏まえて検討できること |
|---|---|
| 年度予算・経営計画 | 売上、原価、光熱費、需要変動リスク |
| 商品企画・MD計画 | 品ぞろえ、商品投入時期、季節商品の構成 |
| 生産計画 | 生産数量、生産開始時期、生産枠の確保 |
| 調達計画 | 原材料、燃料、資材の必要量と調達時期 |
| 在庫・発注計画 | 初回発注量、追加発注、在庫配分、余剰リスク |
| 販促・マーケティング | 販促開始時期、訴求商品、広告・キャンペーン時期 |
| 設備・人員計画 | 設備能力、保守時期、人員配置、稼働計画 |
翌年度だけでなく翌々年度まで確認する意味
2年先までの予測が特に役立つのは、計画を決めてから実行するまでのリードタイムが長い業務です。
例えば、次のような意思決定は、数か月先までの予報が発表されてからでは変更が難しい場合があります。
- 商品開発~販売までに長期間を要する
- 原材料や燃料を長期契約で調達する
- 生産設備や店舗設備への投資を行う
- 年度をまたぐ生産枠や輸送枠を確保する
- 複数年度の予算・事業計画を策定する
最長2年先までの予測を利用することで、詳細な予報が発表される前から気象リスクを把握し、計画の前提や対応方針を検討できます。
事業計画に使う長期気象予測には、何が必要か
事業計画に必要なのは、単なる長期の気象予測だけではありません。
計画期間をカバーする予測期間に加え、月別・エリア別の予測、複数の気象要素、自社データと組み合わせやすい形式などが重要です。
予測を実際の判断へつなげるには、次の観点が重要になります。
| 重要になる観点 | 事業計画で必要となる理由 |
|---|---|
| 予測期間 | 商品開発、調達、予算などの計画期間をカバーするため |
| 時間・地域の単位 | 月別・エリア別の計画へ反映するため |
| 気象要素 | 気温以外の雨、雪、日照などの影響も検討するため |
| データの形式 | 自社の需要予測システムや計画資料に取り込むため |
| 活用支援 | 気象データを自社の業務判断へ変換するため |
| 不確実性 | 予測が変化した場合の対応をあらかじめ決めるため |
気象庁の1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などは、季節の大きな傾向を把握するうえで有用です。
一方、年単位の事業計画では、より長い予測期間に加え、月別・エリア別の予測値や、自社データと組み合わせて分析できる形式が必要になる場合があります。
短期・中期・長期・超長期の予測は、どれか一つを選ぶものではありません。
最初に長期予測で計画の方向性を決め、時期が近づくにつれて、6か月予報、1か月予報、2週間予報などへ順次更新していくことが重要です。
*関連記事:気象データはどう使い分ける?短期・中期・長期・超長期予測の違いとビジネス活用
日本気象協会の「2年先長期気象予測」で分かること
日本気象協会の「2年先長期気象予測」は、最長24か月先までの気象予測を、月別・エリア別に提供する法人向けサービスです。
| 項目 | 主な提供内容 |
|---|---|
| 予測期間 | 最長2年先(24か月先)まで |
| 時間の単位 | 月ごと |
| 地域の単位 | エリア別 |
| 気象要素 | 平均気温、降水量、降雪量、日照時間(予測数値) |
| その他の要素 | 梅雨入り・梅雨明け時期、月別の台風発生数・接近数など |
| 提供方法 | レポート、予測データ納品、コンサルティングなど |
※契約内容によって提供する気象要素や形式が異なります。
気温以外の気象要素も組み合わせて検討できる
事業への影響を検討する場合、「翌夏は暑いか」「翌冬は寒いか」という気温だけでは判断材料が不足することがあります。
同じ高温でも、降水量や日照時間によって商品の需要や設備の稼働状況は変わります。
冬季も、平均気温に加えて降雪量を確認することで、季節商品の需要や物流、除雪、設備対策などを検討しやすくなります。
日本気象協会の「2年先長期気象予測」では、気温、降水量、降雪量、日照時間など、複数の気象要素を組み合わせて事業への影響を分析できます。
*参考:気象業界初!日本気象協会「2年先長期気象予測」の提供を開始 ~気象がビジネスに大きく影響するなか、より長期間の高精度な気象予測で支援~
梅雨や台風も事業計画の材料にできる
梅雨入り・梅雨明けの時期や台風の発生・接近傾向は、商品需要だけでなく、製造、物流、建設、エネルギー、レジャーなどの業務にも影響します。
そのため、気温だけでなく、雨の時期や季節の進み方を含めて確認することが重要です。
なお、長期予測で確認できるのは、月・季節単位の大きな傾向です。特定の台風の進路や、個別の大雨が発生する日時まで予測するものではありません。
データ提供から業務への活用まで支援
日本気象協会では、予測レポートや数値データの提供に加え、業界・企業ごとの課題に応じた解析やコンサルティングを行っています。
予測データを自社システムへ取り込む方法や、販売、需要、生産、在庫、電力需要などへ変換する方法まで支援できる点が特徴です。
「2年先長期気象予測」には特許第7569539号の技術が活用されており、2024年には気象業界初の「24か月予報」として気象予報業務許可を取得しました。
また、「2年先長期気象予測」を活用して電力需給の長期的な見通しを精緻化し、エネルギーミックスの最適化や脱炭素社会の実現を支援する取り組みは、日本経済新聞社が主催する「2024年度NIKKEI脱炭素アワード」で大賞を受賞しました。
長期の気象予測を提供するだけでなく、企業の事業計画や需要予測、エネルギー需給などの具体的な課題に活用する取り組みも、外部から高く評価されています。
*詳細:「2024年度 脱炭素アワード」で日本気象協会が大賞を受賞 ~「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会~
詳しい提供内容は、「2年先長期気象予測」をご覧ください。
2年先長期気象予測を事業計画に組み込む方法
2年先長期気象予測は、年単位で検討する業務判断に気象傾向を反映するためのデータとして活用できます。
たとえば、翌年・再来年の商品投入時期、生産量、調達量、在庫計画、販促時期を前倒しで検討する際に役立ちます。
実際に、2024年6月の提供開始以降、「2年先長期気象予測」は多くの企業で需要予測、資材調達、商品企画、生産調整、マーケティング計画などで活用されています。特に、アパレル企業や日用品小物の製造、食品業界では、商品企画から販売までのリードタイムが長いことから、商品企画から生産調整まで幅広いシーンで活用が進んでいます。
| 業務判断 | 活用例 |
|---|---|
| 年間計画・経営計画 | 気温・降水傾向を前提に、売上・コスト・リスクを見通す |
| 商品企画・MD計画 | 季節進行を踏まえ、商品投入時期や品ぞろえを検討する |
| 調達・生産計画 | 長期需要を見通し、生産量や資材調達を調整する |
| 在庫・発注計画 | 需要ピークや上振れ・下振れリスクを見て在庫を最適化する |
| 販促・マーケティング | 売れ始め・ピーク・終売タイミングを見極める |
| リスク評価・投資判断 | 気象による需要変動・事業リスクを前倒しで把握する |
気象の影響を受けやすかったり、製造から販売までの期間が長かったりする商品やサービスについては、2年先までの気象傾向を把握することで、より早い段階からの計画を検討・見直ししやすくなります。
自社データと組み合わせて需要予測へ活用する方法
企業には、商品ごとの販売実績やPOSデータ、出荷実績、在庫実績など、これまでの需要の動きを示すデータがあります。
これらの自社データと、同じ期間の気温や降水量などの気象データを組み合わせて分析すると、「気温が高かった時期に、どの商品群の販売が伸びたか」「降水量や日照時間によって需要がどのように変化したか」などを確認できます。
その関係に将来の気象予測を当てはめることで、商品需要や売上、出荷量などの予測に活用できます。
例えば、仮に翌年の夏に高温傾向が予測された場合、次のような流れで検討します。
- 過去の高温時に販売・出荷・在庫がどのように変化したかを分析する
- 降水量や日照時間など、気温以外の影響も確認する
- 将来の気象予測を用いて、需要の基準シナリオを作成する
- 需要の上振れ・下振れに応じた生産量、調達量、在庫量を設定する
- 予報更新に合わせて、発注や販促の実施時期を見直す
このように、長期気象予測を自社データと組み合わせることで、「暑くなりそう」「雨が多そう」という情報を、発注量や生産量などの具体的な意思決定へ変換することができます。
日本気象協会では、企業が保有するデータと気象データを組み合わせた解析や需要予測やコンサルティングも行っています。お気軽にお問い合わせください。
2年先長期気象予測の活用業界と検証例
「2年先長期気象予測」は、電力、アパレル、日用品、製造、小売などさまざまな業界で、需要予測、燃料・資材調達、商品企画、生産調整、マーケティング計画などに活用されています。
アパレル分野の検証例
株式会社アダストリアからアパレル販売データの提供協力を受け、東京都内の店舗における冬物アウターのシーズン合計売上金額を対象に、ファッションロス改善率のシミュレーションを行いました。発注が行われる10か月前時点の長期気温予測を使用した結果、前年実績を使って生産計画をする場合と比較して、誤差が14%改善しました。
*詳細:株式会社アダストリア様の導入事例
エネルギー分野の検証例
「2年先長期気象予測」を使い、2024年5月から9月までの東日本太平洋側の月平均気温を12か月前時点で予測した結果、電力需給見通しで一般的に用いられる「直近10年平均気温」と比較して、予測誤差を25%低減しました。
長期の気温予測を電力需要の見通しに活用することで、将来の需要変動を早期に把握し、経営計画の策定や、供給力確保・電源調達計画の検討に役立てることができます。
*『「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会』の取り組みが、日本経済新聞社が主催する「2024年度 脱炭素アワード」で大賞を受賞しました。
詳細:
・「2年先長期気象予測」で実現する電力需給の最適化と脱炭素社会
・「2024年度NIKKEI脱炭素アワード」で日本気象協会が大賞を受賞
*関連記事:再エネ事業における気象リスクとは?エネルギー関連事業に必要な気象データの使い分け【予測の長さ別に解説】
なお、これらは一定の条件下で行った検証結果であり、すべての商品、地域、期間で同じ改善率を保証するものではありません。実際の活用では、自社の商品特性やデータ、判断時期に合わせた検証が必要となります。
2年先の予測はどこまで信頼できる?活用時の注意点
2年先長期気象予測は、特定の日の天気を正確に予測するものではありません。
月・季節単位の大きな傾向を、年度計画や中長期の事業判断に利用する予測です。
日本気象協会による精度検証では、従来手法と比較して、6か月前時点の予測誤差が最大40%改善しました。
また、前年実績を用いた予測との比較では、検証条件下において、予測誤差が6か月前時点で約半分、24か月前時点でも約3割減となりました。
*詳細:2年先長期気象予測
ただし、長期予測には不確実性があります。活用する際は、次の点が重要です。
- 予測値を確定値として扱わない
- 基準シナリオだけでなく、上振れ・下振れのシナリオも用意する
- 気象以外の価格、販促、市場、在庫、消費者行動なども考慮する
- 予報の更新に合わせて計画を見直す
- 実行時期が近づいたら、より短期間の予報へ置き換える
長期予測の価値は、将来を一つに決め打ちすることではなく、起こり得る変化を早めに把握し、計画変更の準備をしておくことにあります。
まとめ|2年先予報を、確認する情報から意思決定を変える情報へ
2年先長期気象予測は、翌年・翌々年の天候傾向を知るだけの情報ではありません。
- 前年実績だけでは捉えられない需要変動やリスクを検討する
- 気温だけでなく、降水量、降雪量、日照時間、梅雨、台風などを組み合わせる
- 自社データとの関係を分析し、需要やコストへ変換する
- 発注量、生産量、在庫、予算などの具体的な計画へ反映する
- 予報の更新に合わせて計画を見直す
この流れによって、2年先・24か月先の気象予測を、企業の意思決定に活用できます。
月別・エリア別の詳しい予測や、気象データを自社の販売・需要・操業データと組み合わせた分析をご希望の場合は、「2年先長期気象予測」をご覧ください。
FAQ|よくある質問
Q1.2年先の気象予測はビジネスで何に使えますか?
A.年間計画、商品計画、生産計画、調達計画、在庫計画、販促計画などに活用できます。特に、意思決定から実行までの期間が長く、数か月先の予報が発表されてからでは変更が難しい業務に適しています。
Q2.一般的な長期予報との違い何ですか?
A.一般的な長期予報は、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などにより、季節傾向を把握するために有用です。
日本気象協会の「2年先長期気象予測」は、最長24か月先までの気象予測を、月別・エリア別に提供し、数値データの納品や、自社データを使った解析・コンサルティングにも対応します。
Q3.2年先(24か月先)まで、どのような気象要素を確認できますか?
A.月ごとの平均気温、降水量、降雪量、日照時間などの具体的な予測数値を確認できます。梅雨入り・梅雨明けの時期や、月別の台風発生数・接近数なども提供要素に含まれます。
Q4.特定の日の天気や台風の進路も分かりますか?
A.特定の日に雨や雪が降るか、個別の台風がいつ、どこへ接近するかまで予測するものではありません。
月・季節単位の大きな傾向を、中長期の事業計画の前提として利用します。
Q5.2年先の予報はどの程度信頼できますか?
A.日本気象協会の精度検証では、従来手法と比較して6か月前時点の予測誤差が最大40%改善しました。
また、前年実績を用いた予測との比較では、検証条件下で24か月前時点でも予測誤差が約3割減となりました。ただし、個別の年、地域、気象要素について同じ精度を保証するものではありません。
Q6.2年先長期気象予測はどのような業務判断に使えますか?
A.2年先長期気象予測は、年間計画、商品企画・MD計画、調達・生産計画、在庫・発注計画、販促・マーケティング、リスク評価などに活用できます。
たとえば、翌年・再来年の商品投入時期、生産量、調達量、在庫計画、販促時期を前倒しで検討する判断材料になります。
Q7.長期予測だけで生産量や発注量を決められますか?
A.長期予測だけで決めるのではなく、自社の販売、出荷、在庫、価格、販促、市場動向などと組み合わせることが重要です。
予測される気象を基準シナリオとし、高温・低温、多雨・少雨などへ振れた場合の計画も用意します。
Q8.長期気象予測を需要予測や生産計画に活用するには何が必要ですか?
A.長期気象予測を需要予測や生産計画に活用するには、気象データだけでなく、販売データ、出荷データ、POSデータ、在庫データなど自社の計画・実績データと組み合わせることが重要です。
Q9.自社データがなくても利用できますか?
A.気象予測レポートやデータのみを利用することも可能です。
自社データがある場合は、過去の販売、出荷、需要、在庫などと気象との関係を分析することで、より具体的な需要予測や計画変更に活用できます。
プロフェッショナル紹介
小越 久美(おこし くみ)
一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部 気象DX事業部 シニアデータアナリスト
気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士
筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学)卒。
2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。
筑波大学 植田宏昭教授の助言・協力のもと、季節予報の新たな技術開発に取り組み、気象業界で初めて最長2年先までの気象予測手法を開発(特許第7569539号)。食品、日用品、アパレル、エネルギー業界向けに「2年先長期気象予測」を使った気象コンサルティングを行っている。
「季節予報の基盤技術の開発に基づく社会実装の振興」により令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞(科学技術振興部門)」を受賞。