News

お知らせ
Topics

2024年~2025年冬の振り返りと商品売上、物流への影響

2025.03.28

今冬(2024年12月~2025年2月)は冬型の気圧配置が持続しやすく、全国的に低温傾向となりました。
2月には2度の寒波があり、北日本から西日本の日本海側を中心に大雪となりました。

一方で太平洋側を中心に晴れた日が多く、記録的な少雨になりました。

ビジネスへの影響としては、暖冬だった前年と比較して、低温傾向により冬商材の売上が大きく伸びましたが、大雪による交通機関や物流への影響も大きくなりました。

今冬(2024年12月~2025年2月)の特徴

  • 今冬は冬型の気圧配置が持続しやすく、全国的に低温傾向が持続。
  • 2月に2度の強い寒気の流れ込み(寒波)があり、北日本から西日本の日本海側を中心に各地で大雪となった。
  • 低気圧の影響を受けにくかった太平洋側や西日本の日本海側、沖縄・奄美では降水量はかなり少なく、東・西日本太平洋側では統計開始以降で冬として1位、西日本日本海側では1位タイの少雨となった。

今冬は冬型の気圧配置が持続しやすく、それにより全国的に低温傾向となりました。

今冬の平均気温と日本の平均気温の平年値(1991~2020年の30年平均値)の差は-0.07℃で、統計開始以降で冬として第2位の高温を記録した昨冬の+1.27℃と比較すると大きく変化しました。

日本の冬の平均気温の基準値(1991~2020年の30年平均値)からの差(1898〜2025年)

2月には、2度の強い寒気の流れ込み(寒波)があり、北日本から西日本の日本海側を中心に各地で大雪となりました。

冬期間(2024年12月~2025年2月)の最深積雪は日本海側で平年を上回ったところが多く、北陸から北海道にかけては局地的に平年の1.5倍以上となりました。

2024/25年冬の最深積雪平年比(%)
2024/25年冬の最深積雪平年比(%) ※平年値は1991~2020年の30年平均値
白丸は平年比が100%の地点を示す。今冬の値が0cmまたは平年値が3cm未満の地点は描画していない。
2024/25年冬の最深積雪平年比(%)
豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法で定められた多雪地域)で平均した
累積降雪量(cm)の経過(2025年3月9日現在) 赤線が今冬(2024/25年冬)を表す。

※上2枚の図は【気象庁】2024年の記録的な高温及び今冬の天候の特徴とその要因についてより

低気圧の影響を受けにくかった太平洋側や西日本の日本海側、沖縄・奄美では晴れた日が多くなり、日照時間は多く、降水量はかなり少なくなりました。

特に雨が少なかったことが顕著で、東・西日本太平洋側では統計を開始した1946~47年の冬以降、冬として1位、西日本日本海側では1位タイの少雨となりました。

今冬の低温や大雪の理由

気象庁の異常気象検討会によれば、上空の2つの偏西風(北側の寒帯前線ジェット気流、南側の亜熱帯ジェット気流)がともに日本付近で南に蛇行する傾向にあったため、北極側の寒気が南下しやすく、冬型の気圧配置が持続しやすくなりました。

南側の亜熱帯ジェット気流の蛇行には、太平洋熱帯域がラニーニャ現象に近い状況で推移したことなどにより、フィリピン付近の積雲対流活動が平年よりも活発だったことが主な要因として考えられています。

さらには北側の寒帯前線ジェット気流が日本付近で南に蛇行しやすく、極渦(北極域上空に存在する大規模な寒気の渦)が分裂して日本付近に南下しやすかったことに加え、こうした対流圏での大きな偏西風の蛇行が成層圏へと伝わり、もう一度対流圏へと伝わることで大きな偏西風の蛇行を生み、さらに日本付近に寒気を南下させたと考えられます。

強い寒気の流入に伴い、日本海側では降雪量が多くなりました。
文部科学省気候変動予測先端研究プログラムの合同研究チームによると、地球温暖化による気温や海面水温の上昇に伴って、大気中の水蒸気量が増加し、地上付近の気温が低い地域では降雪量の増加につながった可能性があるとのことです。

地球温暖化に伴い降雪・積雪は減少する傾向が予測されていますが、強い寒気の流れ込みがあった時には、地球温暖化の影響により降雪量が増加する可能性が示唆されています。
※詳細は【気象庁】2024年の記録的な高温及び今冬の天候の特徴とその要因について参照

今後の天候への影響

今冬はラニーニャ現象に近い状態で推移したことも影響して低温傾向となりましたが、現在も太平洋熱帯域の海面水温はラニーニャ現象に近い分布となっています。
ラニーニャ現象発生時は、冬は寒く、夏は猛暑となる傾向があります。

今後もラニーニャ現象に近い状態の影響は残り、2025年の夏も暑くなると予想されます。
観測史上1位の高温になった過去2年(2023年、2024年)の夏と比較すると、地球の大気全体の昇温はやや落ち着く予想となっているため、過去2年には及ばないものの、2025年も気温は平年よりかなり高く、猛暑となるでしょう。

*詳しい夏の予報は2025年の夏も全国的に猛暑 観測史上1位タイの高温となった2024年との違いは?をご覧ください。

今冬の気象が商品売上・物流に与えた影響

暖冬だった前年(2023年~2024年冬の振り返り)と比較して、低温により冬商材の売上は好調だった一方、2月は夏商材の立ち上がりが遅れ、大雪による交通機関や物流への影響も大きくなりました。

低温の影響で前年より売上が伸びた商材は、ハンドクリーム、リップクリームなどのスキンケア商品、入浴剤、使い捨てカイロ、家庭用手袋、絆創膏、鍋具材、シチュー、ココアなどです。

一方、2月の低温により立ち上がりが遅れた夏商材は、殺虫剤、制汗剤、スポーツドリンクなどで、花粉の本格飛散が遅れたことから目薬の売上も前年より少なくなりました。

*夏商材の立ち上がりタイミングは2025年春は寒暖差大、夏は猛暑に 夏商材の立ち上がりは東京で4月下旬頃をご覧ください。

2月の寒波では、大雪によって航空便の欠航、鉄道の遅れや運休、高速道路の通行止めなど交通機関への影響があり、物流にも打撃を与えました。

2月上旬の寒波では各地で記録的な大雪となり、2月3日~4日には北海道道東地域で通行止めが発生し、2月7日には岡山県と鳥取県を結ぶ米子道で車両スタックが発生、約100台の車がおよそ2kmに渡って滞留し、9日まで通行止めとなりました。

日本気象協会では、気象状況が輸送手段に与える輸送影響リスク情報を提供し、物流業務において命と荷物を守る判断をサポートするWEBサービスGoStopマネジメントシステムの提供も行っています。

*今冬の大雪時のGoStopマネジメントシステム予報事例:
2025年2月3日(月)~4日(火)の北海道道東地域の記録的大雪
2025年2月7日(金)に発生した米子道の大雪による車両スタック

リスク対策・省力化・効率化のための天気予報

天気予報をビジネスに活用することで、リスク対策や機会・廃棄ロスの削減、調達・生産・配送・販売の省力化や効率化につながります。

手軽に気象データの活用を始めるならビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」(月額650円)やWeather Data API、長期の情報を活用するなら2年先長期気象予測などがあります。
個別のデータ提供や気象データ活用・需要予測コンサルティングについてもお問い合わせください。

  • ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」
    「biz tenki(ビズテンキ)」では月額650円で、30日先までの天気や気温、体感の変化や、2週間先までの降雪確率・大雨確率を確認することができます。
    体感が「寒い」から「肌寒い」、「快適」へ感じるタイミングへの切り替わりを把握する、前年値と比較して需要を予測するなど、気象情報をビジネスで手軽にお使いいただけます。
    ダウンロード・サブスクリプション購入は各アプリストア(iOS/Android)から。
    「biz tenki」アプリ画面イメージ
  • Weather Data API
    1kmメッシュで任意地点の高精度な気象データ(過去実況値、気象予測)を取得できる天気予報APIです。天気、気温のほか、人の気温の感じ方の違いを加味した「体感指数API」や、14日先までの降雪確率・大雨確率がわかる「気象災害リスク予測API」も提供しています。
    Weather Data APIは日本域のJapan版、日本国内外のGlobal版どちらもWEBからの申込が可能です(一部データを除く)。お問い合わせはこちら
  • GoStopマネジメントシステム
    気象状況が輸送手段に与える輸送影響リスク情報を提供し、物流業務において命と荷物を守る判断をサポートするWEBサービスです。
    悪天候の最大6日前から、地図や表により輸送影響リスクを提供します。
    冬季には大雪や吹雪における輸送影響リスク情報、夏季には大雨や台風時の暴風・越波を提供しています。お問い合わせはこちら
  • 2年先長期気象予測
    日本気象協会では新たな気象予測モデルの開発を行い、気象業界で最長となる2年先までの長期気象予測の提供を開始しました。
    翌年度の年間計画策定や資材調達・発注、製造・販売・CM計画、新商品の開発といった重要なビジネスシーンにおいて、根拠ある意思決定を支援します。
    2025夏シーズンや2025年冬シーズンを含む、月別の気温や降水量、梅雨入り・梅雨明けの梅雨情報、台風情報などを提供しています。お問い合わせはこちら
    *2年先長期気象予測を活用した株式会社アダストリア様のファッションロス削減事例

お気軽にお問い合わせください。