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「農作業と熱中症に関する実態調査結果」と農業での気象データ活用

2025.06.27

近年、気候変動の影響で記録的な暑さが続いています。
2025年は梅雨明け前から厳しい暑さとなりました。

屋内・屋外に関わらず、暑い環境で農作業をする際は熱中症に注意が必要です。今年の6月1日からは、職場での熱中症対策が義務化されており、農作業時の熱中症対策も必須となっています。

今回は、日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトで若手青年農業従事者90人を対象に行った「農作業と熱中症に関する実態調査」結果と、気象データを活用して深刻化する暑さ対策を行う方法を紹介します。

農作業と熱中症に関する実態調査

日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、全国農協青年組織協議会(JA全青協)協力のもと、若手青年農業従事者90人を対象に「農作業と熱中症に関する実態調査」を行いました。

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:全国農協青年組織協議会(JA全青協)の各県域委員長・会長等の若手青年農業従事者
  • サンプル数:90人(20代~50代)
  • 調査時期:2025年3~4月

※調査結果は、端数処理のため合計しても必ずしも100%とはならない場合があります。

調査結果まとめ

夏の暑さにより作業環境や働き方、作業時期に影響があったと感じた人は、90%以上となりました。

具体的な影響として

  • 1日の休憩頻度を増やす
  • 作業時間帯をずらす
  • 作業時間数を変更する
など、暑さを避ける行動をとる人が多く見られました。

こうした工夫が広がる一方で、農作業中もしくは農作業後に「熱中症にかかったことがある」、または「周りでかかった人がいる」と回答した人は約6割となりました。

若手農業従事者が特に熱中症に注意が必要だと感じるシーンは「重労働や1人になりやすい環境」で、

  • 草刈り作業や薬剤散布などの重労働
  • エアコンの効いていないトラクターで作業するとき
  • 個人農家やハウス内での水やり作業時
などが挙げられました。

また、暑さは農作物へも影響しています。
「暑さにより農畜産物自体への影響を受けた」と感じた人は約95%、「暑さにより、農作物の収穫量が減った」と回答した人は約77%となりました。

調査結果(1)夏の暑さによる働き方の変化、約9割が影響を実感

直近2年程度の夏の暑さについて、作業環境や働き方、作業時期への影響があったと回答した割合は、「とても影響を受けた(68.9%)」、「やや影響を受けた(22.2%)」と、合わせて約90%に上りました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_夏の暑さの影響(割合)

具体的な影響について聞いたところ、暑さを避けるために農業従事者の「1日の休憩頻度を増やした」が最も多く72.0%、「1日の作業時間帯を前後にずらした」が次に多く58.5%、「1日の作業時間数を変更した」が39.0%と、働き方への工夫がみられました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_夏の暑さの影響(内容)

調査結果(2) 農作業中もしくは農作業後に「熱中症にかかったことがある」、または「周りでかかった人がいる」と回答した人は約6割

農作業中、または農作業後で過去に熱中症にかかったことがある、または周りでかかった人がいると回答した人は約6割で、そのうち20.0%の人が「医療機関で診察、治療を受けた/受けさせたことがある」と回答しました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_熱中症にかかったことがある割合

調査結果(3)熱中症に注意が必要なのは「重労働や1人になりやすい環境」

農作業中、農作業後において熱中症に注意が必要だと感じる人の中で、注意が必要な具体的なシーンや理由について詳しく尋ねたところ、「草刈り作業や薬剤散布などの重労働のとき」、「トラクターでエアコンが効かなくなったとき」、「個人農家やハウス内での水やり作業などの1人になりやすいとき」、などが挙げられました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_熱中症に注意が必要なシーン例

調査結果(4) 農畜産物自体への影響、約95%が実感

夏の暑さについて、農畜産物自体への影響はどの程度受けたと感じるか聞いたところ、「とても影響を受けた(65.6%)」、「やや影響を受けた(28.9%)」と、合わせて約95%が影響を受けたと回答しました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_農畜産物への暑さの影響(割合)

具体的には、暑さにより「農畜産物の収穫量が減った」が76.5%、「農畜産物の生育が不十分だった」が64.7%と、農畜産物の「生育・収穫量」に関して影響を感じていることが分かりました。

【熱中症ゼロへ】農作業と熱中症に関する実態調査結果_農畜産物への暑さの影響(内容)

*調査結果全体は【熱中症ゼロへ】熱ゼロ研究レポート:農作業と熱中症に関する実態調査をご覧ください。

「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは

日本気象協会では、熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、「熱中症ゼロへ」プロジェクトを推進しています。(【熱中症ゼロへ】公式サイト)

※「農作業と熱中症に関する実態調査」結果等、「熱中症ゼロへ」プロジェクトのコンテンツの利用については、【熱中症ゼロへ】公式サイトの文章や画像利用の申請受付をご覧いただき、「熱中症ゼロへ」プロジェクトにお問い合わせください。

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、プロジェクトにご賛同いただき、商品・サービスを通じて熱中症対策を共にサポートするオフィシャルパートナー企業様を募集しています。
詳しくは【熱中症ゼロへ】オフィシャルパートナーになるにはをご覧ください。

熱中症リスク対策、農畜産物の生育計画のための気象データ活用

熱中症リスク対策としての暑さ指数(WBGT)の活用

熱中症リスクを事前に確認するためには、暑さ指数(WBGT)の活用が重要です。
WBGT(暑さ指数)とは、暑熱環境による熱ストレスの評価を行う指数です。「気温」「湿度」「日射・放射」「風」の要素をもとに算出されます。

2025年6月1日には労働安全衛生規則が改正され、職場での熱中症対策が義務化されました。

その中では「熱中症を生ずるおそれのある作業」として、「WBGT28℃以上」もしくは「気温31℃以上」の環境で、「連続1時間以上」または「1日4時間以上」の実施が見込まれる作業と定義されています。

今年は梅雨明け前から最高気温30℃以上の真夏日が続出していますが、梅雨明け後には日差しが強く、気温の高い日が続く可能性があります。
気温やWBGTが高くなる環境では、熱中症に特に注意が必要です。

*職場での熱中症対策については6月1日から職場での熱中症対策が義務化 必要な対策と暑さ指数(WBGT)の活用をご覧ください。

農作物生育計画に気象データ活用を

暑さによって農畜産物への影響も増加している中、事前の計画や、大雨や暴風といった気象災害リスクへの対策には、気象データの活用が有効です。

月額650円でご利用いただけるビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」では、気温を実況値と予報値から積算気温を算出してグラフ化する「積算気温コンテンツ」も搭載しています。

日本気象協会のデータ提供

日本気象協会では、暑さ指数(WBGT)の提供や、気象データ配信を行っています。
圃場やハウス、畜舎、選果場など、通常の天気予報では分からないピンポイントな地点のデータの提供も可能です。お気軽にお問い合わせください。

  • 気象データ配信:天気や気温、暑さ指数(WBGT)などニーズに応じて気象データを提供。
  • Weather Data API:1kmメッシュで任意地点の高精度な気象データ(過去実況値、気象予測)を提供。気温や降水、天気などの基本的な気象要素だけでなく、大雨や暴風といった気象災害リスク確率の予報も提供可能。
  • シナリオ型台風予測情報:気象庁の一般向け台風情報で発表されるのは5日先よりも長い、最大10日先までの情報を提供。台風予測を従来のような1つの予報円ではなく複数の「確率付きシナリオ予測情報」。

農業でも!ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」

ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」は、農業を含む働く人や法人を対象としたビジネス向け天気予報アプリです。

「biz tenki」では月額650円で、1kmメッシュの高精度な気象データを基に、30日先までの天気・気温・風・日射などの気象要素を確認することができます。

さらに、長期の予報として、12週先までの週ごとの最高・最低気温予報、6か月先までの月ごとの体感気温も確認可能です。

農業向けとしては、気象データを農業に活用するヒントコメントや前年値との比較、積算気温を実況と予報から算出してグラフ化する「積算気温コンテンツ」も搭載しています。
「積算気温コンテンツ」では、起算日、積算温度目標値から、目標に到達する週や昨日までの積算気温の経過を表示します。

そのほか、14日先までの大雨や暴風などの気象災害リスクを知ることができる「気象災害リスク予報」も掲載しています。

「biz tenki」は、アプリストアからサブスクリプション購入(月額650円)でご利用いただけます。
(1か月無料トライアル実施中)

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*農業向けの「biz tenki」の提供についてはこちらをご覧ください。

気になる点ございましたら、お問い合わせください。

*梅雨明け予想とその後の夏の予報は2025年梅雨明けは関東甲信を含む東~北日本で7月上旬の予想をご覧ください。

*今夏の台風の傾向予想は2025年の台風傾向 日本への接近数は8月から「平年より多い」 8月以降の台風は発生から接近まで短い可能性をご覧ください。