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Forecast accuracy

日本気象協会の天気予報精度検証結果(2025年7月~9月)

2025.11.11

日本気象協会は、2023年に独自気象予測「JWA統合気象予測」を開発し、各種気象サービスを通じて、高精度・高頻度・高解像度の「JWA統合気象予測」を提供しています。
*【日本気象協会】JWA統合気象予測

日本気象協会では、天気予報の精度を高めるため、定期的に予報精度の検証を行っています。
今回は2025年7月~9月の「当日の降水の有無の適中率」と「翌日における1時間ごとの天気予報の適中率」の評価を行いました。
「当日の降水の有無の適中率」では日本気象協会は気象庁と同等程度、「翌日における1時間ごとの天気予報の適中率」では気象庁の精度を上回りました。

天気予報にはさまざまな要素があり、「天気予報の精度」にも多数の指標があります。
日本気象協会では、「今日、雨が降るか、降らないか」「明日は、いつ、どんな天気になるのか」を正確に予測できたかを「適中率」で継続的に評価しています。

2025年はイベントが実施される地点・日付の天気予報の適中率の検証を行っています。
今回は、7、8月の各地のお祭りと花火大会、9月の東京2025世界陸上競技選手権大会の会場の検証を行いました。

日本気象協会では、今後も皆さまにとって必要な予報の精度向上に努めていきます。

「当日の降水の有無の適中率」の検証結果(2025年1月~9月)

2025年7月~9月にかけて、毎朝5時に発表した全国の天気予報において「雨が降ると予報した日に、実際に雨が降ったか」という点に着目し、「当日の降水の有無の適中率」の検証を行いました。
検証の結果、「JWA統合気象予測」の適中率は83~85%となり、同じ評価結果を公開している気象庁の精度と同程度になることを確認しました。
(結果は前回検証を行った2025年1月~6月の結果と合わせて掲載しています)

日本気象協会の「朝5時発表の当日の降水の有無の適中率」(2025年1月~9月)

7、8月の「JWA統合気象予測」は、実際に雨が降った際に雨と予測していたかという「補捉率」は良かったものの、雨を予測した際に実際に雨が降ったかという「一致率」が気象庁の予測を下回り、「雨が降ると予報した日に、実際に雨が降ったか」という総合的な指標である適中率は気象庁に比べて1ポイント低いという結果となりました。

適中率・捕捉率・一致率のポイント

  • 適中率:予報が実際の天気と合っていた割合
  • 捕捉率:実際に雨が降った日に雨が降ると予報していた割合
  • 一致率:雨が降ると予報した日に実際に雨が降った割合
適中率・補捉率・一致率の詳細

予報と実況の対比表(分割表)

予報 (JWA統合気象予測)
降水あり 降水なし
実況
(アメダス地点観測)
降水あり A B N1=(A+B)
降水なし C D N2=(C+D)
M1=(A+C) M2=(B+D) N=(A+B+C+D)

N:全予報数

  • 適中率(%)=(A+D)÷N×100
    全体のうち、雨が降ると予報した日に実際に雨が降った日+雨が降らないと予報した日に実際に雨が降らなかった日の割合
  • 捕捉率(%)=A÷N1×100
    実際に雨が降った日(分割表のA+B=N1)のうち、雨が降ると予報していた日の割合
  • 一致率(%)=A÷M1×100
    雨が降ると予報していた日(分割表のA+C=M1)のうち、実際に雨が降った日の割合

当日の降水の有無の適中率 算出方法

評価方法のポイント

  • 当日の朝5時に発表された予報を基準に評価
  • 当日5~24時に降水1mm以上(雪0.5mm以上)で判定
  • 時間帯のずれは無視し、降水の有無で評価

「当日の降水の有無の適中率」は、当日の朝5時に発表した予報をもとに、その日の5~24時に合計1mm以上(雪の場合は0.5mm以上)の降水があったかどうかを評価します。
このため、ある地点で雨が降る時間帯が予報と実際の観測が異なっていたとしても、当日のどこかの時間帯に雨が降れば(あるいは、雨が降らなければ)、天気予報は当たった(適中した)と評価されます。
「当日の降水の有無の適中率」の算出方法 詳細

日本気象協会は「1時間ごとの天気予報も適中させること」が重要であると考えています。
ある地点で“当日どこかの時間帯に雨が降る”という予報だけでなく、“その日の14時に雨が降る”と予想し、実際にその時間帯から雨が降り出すという予測を早期にわかり対応できることが、日々の生活やビジネスの中で役に立つと考えているからです。
このため、我々は、「当日の降水の有無の適中率」だけでなく、翌日の1時間ごとの予測精度を向上することを目的に「翌日における1時間ごとの天気の適中率」についても検証を行っています。

翌日における1時間ごとの天気の適中率の検証結果(2025年1月~9月)

夕方17時に発表した全国を網羅する代表都市141地点の翌日の1時間ごとの天気予報を調査対象とし、1時間ごとの天気(晴れ・曇り・雨・みぞれ(雨または雪)・雪)の予報が、実際の天気を当てていたかを確認しました。
2025年7月~9月の予報を検証した結果、「JWA統合気象予測」の適中率は7月が74%、8月が73%、9月が68%と、いずれの月においても気象庁の適中率を上回りました。
(結果は前回検証を行った2025年1月~6月の結果と合わせて掲載しています)

日本気象協会の「翌日における1時間ごとの天気の適中率」(2025年1月~9月)

7月~9月の3か月間を通してみると、「JWA統合気象予測」の適中率は気象庁の予報を平均で11ポイント上回る結果となりました。

翌日における1時間ごとの天気の適中率 算出方法

評価方法のポイント

  • 前日の17時に発表された明日の予報を基準に評価
  • 1時間ごとの天気を正確に予測できたかを検証
  • 「明日14時に雨が降る」など時間帯を含めて判定

「翌日における1時間ごとの天気の適中率」は、予報として日本気象協会の「JWA統合気象予測」と気象庁の「天気分布予報」の翌日の天気予報を用いています。
実際の天気は、気象庁の推計気象分布の「天気マーク」を用い、1時間ごとに予報と比較し、適中・不適中を判定しています。

日本気象協会の「翌日における1時間ごとの天気の適中率」算出方法

「翌日における1時間ごとの天気の適中率」の算出方法 詳細

2025年 特定の地点・日付の天気予報の適中率を検証

2025年、日本気象協会では、全国で天気が重要となる屋外イベントが開催される日を中心に、特定地点・日付の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証(※)しています。
検証日程とイベント一覧

※各地点の実際の天気(結果)について、これまで気象庁の推計気象分布を利用していましたが、より正確に降水の状況を把握するため、今回から解析雨量による降水の判定を追加して検証を行っています。

7月~9月の検証

7月17日 「祇園祭」(京都府 京都市)
予報適中率79% 明け方~夕方に雨を予測、ほぼ的中

「祇園祭」は八坂神社の祭礼で、7月1日から7月31日の1か月間行われます。なかでも、見どころは7月17日と7月24日に行われる八坂神社の神輿渡御と34基の山鉾が市中を練り歩く山鉾巡行。
今回は前祭として「山鉾巡行」が行われた7月17日の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証しました。(検証地点:「祇園祭」の「辻回し」が行われる四条河原町交差点)
当日の天気は明け方から夕方にかけて雨となりました。日本気象協会では前日から雨を予測しており、適中率は79%でした。

【日本気象協会】7月17日 祇園祭(京都府 京都市)の1時間ごとの天気の適中率
7月26日 隅田川花火大会(東京都 台東区/墨田区)
予報適中率100% 1日中晴れ、完璧的中

江戸時代に八代将軍徳川吉宗が打ち上げた「両国川開きの花火」を起源とする日本最古の花火大会。国内最大級20,000発の花火に、100万人近い人々が集まります。
隅田川花火大会が開催された7月26日の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証しました。(検証地点:隅田川花火大会 第一会場)
当日は1日中晴れ、日本気象協会の予報通りで適中率100%となりました。

【日本気象協会】7月26日 隅田川花火大会(東京都 台東区/墨田区)の1時間ごとの天気の適中率
8月2日 長岡まつり大花火大会(新潟県 長岡市)
予報適中率71% 午前の降水を外すも傾向予測成功

昭和20年8月1日の長岡空襲で亡くなられた方々への慰霊と長岡の復興を願って翌年に開催された「長岡復興祭」を起源とする「長岡まつり」。中でも大河信濃川の両岸を観覧席として開催される「長岡まつり大花火大会」では、直径約650mもの大輪の華となる「正三尺玉」や打上げ幅約2㎞に及ぶ「復興祈願花火フェニックス」など、大型花火が夜空を埋め尽くします。
「長岡まつり大花火大会」の開催された8月2日の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証しました。(検証地点:信濃川河川敷)
当日は午前中に3時間ほど降水があると予報していましたが実際には降りませんでした。一方で、夕方から夜にかけて晴れる傾向を予測できており、適中率は71%となりました。

【日本気象協会】8月2日 長岡まつり大花火大会(新潟県 長岡市)の1時間ごとの天気の適中率
8月7日 青森ねぶた祭(青森県 青森市)
予報適中率71% 雨の止むタイミングを部分的に外すも傾向予測成功

東北三大祭りの1つで国の重要無形民俗文化財に指定されている「青森ねぶた祭」。「人形ねぶた」と呼ばれる山車に続き、「跳人(ハネト)」と呼ばれる踊り子たちが「ラッセラー、ラッセラー」と掛け声を上げながら踊り歩きます。祭は毎年8月2日~7日に開催。8月2日~6日までは2か所の出発地点からそれぞれねぶたが1台ずつ動き出します。最終日の7日は大賞を取ったねぶたを先頭に順次運行し、夜に海上運行(台船に乗せられた受賞ねぶた6台が青森港を運行すること)が始まります。
祭りの最終日で海上運行の行われた8月7日の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証しました。(検証地点:ねぶた運行開始地点である本町一丁目交差点)
当日は雨の止むタイミングを適中させることができなかった時間帯もありましたが、夕方まで雨が降り、夜に晴れる時間があるという傾向を予測できており、適中率は71%となりました。

【日本気象協会】8月7日 青森ねぶた祭(青森県 青森市)の1時間ごとの天気の適中率
9月14日 東京2025世界陸上競技選手権大会(東京都 新宿区)
予報適中率42% 午前~午後に曇りや雨あり、夜の晴れを予測

東京2025世界陸上競技選手権大会(World Athletics Championships Tokyo 25)は2025年9月13日から21日までの9日間、東京・国立競技場で開催されました。大会には約200の国と地域から2,000人以上の選手が参加し、全49種目で世界一を競いました。
大会期間中の9月14日の天気予報(前日17時発表)の適中率を検証しました。(検証地点:国立競技場)
日本気象協会は明け方から午前中にかけて晴れ、午後は曇り、夜遅くには晴れると予報していましたが、実際には午前から午後にかけて曇りで雨の降る時間もありました。夜遅くの晴れを予測していたものの、晴れる時間が少し早まったこともあり、適中率は42%でした。

【日本気象協会】9月14日 東京2025世界陸上競技選手権大会(東京都 新宿区)の1時間ごとの天気の適中率

今後の取り組みポイント

  • 当日の降水有無だけでなく、1時間ごとの天気予報の精度向上
  • 生活やビジネスで役立つ予報情報の提供

さまざまに天気が変化する状況において、時間のずれなく予報を適中させることは非常に難しいことです。
日本気象協会では、日々の生活やビジネスに、より精度の高い天気予報をご活用いただけるよう、今後も、予測の改善に努めてまいります。

日本気象協会の天気予報サービス

ビジネスと気象には多くの関連性があり、「世界の全産業の1/3は何らかの気象によるリスクを抱えている」と言われています。
廃棄ロスや機会ロスの削減、省力化・効率化、コスト改善などビジネスにおけるさまざまなロスの削減に向けて、日本気象協会の高精度な気象データをご活用ください。

  • ビジネス向け天気予報アプリ「biz tenki」
    「biz tenki」は、ビジネスパーソンや法人を対象としたビジネス向け天気予報アプリです。 月額650円で、1kmメッシュの高精度な気象データを基に、30日先までの天気・気温・風・日射などの気象要素を確認することができます。さらに、気象データをビジネスに活用するヒントコメントや前年値との比較、大雨・降雪確率予測など、ビジネスに特化した情報が利用可能です。 「biz tenki」は、アプリストアからサブスクリプション購入(月額650円)でご利用いただけます。無料トライアル期間もご用意していますので、ぜひお試しください。
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    天気、気温、降水確率などの気象要素に加え、「体感指数」「暑さ指数(WBGT)」「気圧」「30日先予測」などもAPIで提供しています。
    「Weather Data API」は日本域を対象としたJapan版と、日本国内外を対象としたGlobal版があり、どちらもWeather Data API お問い合わせからお申込みいただけます。
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    日本気象協会では、業界で初めて、従来よりも精度が高く、予測期間の長い予測手法を開発しました。
    急な高温や長い残暑、大雨や大雪といった気象リスクが増加する今、精度の高い長期予報は、年間計画策定や資材調達・発注、製造・販売・CM計画、新商品の開発といった重要なビジネスシーンにおいて、根拠ある意思決定に重要な役割を果たします。
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    「2年先長期気象予測」の精度と活用事例
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    日本気象協会では、各種ビジネスの計画や予測にご活用いただける「今日・明日の天気予報から、最長2年先までの長期にわたる気象予測情報」を、お客様のニーズに合わせて提供しています。
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